キンプリ妄想歌詞小説「雨音」5話

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King & Prince「MAGIC TOUCH/Beating Hearts」のカップリング曲「雨音」と「Seasons of Love」の歌詞をもとに、小説を書きました!

私は曲の歌詞からストーリーを構成する“歌詞小説“と言うものを描いています。

 

しょうれんの間で揺れるお話だったはずなのに、さらにジンくんまで参戦して…⁉︎

前のお話はこちら。↓

 

キンプリ小説「雨音」イラスト背中に描いた好きの文字

 

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席替え

「席替えするぞー!」

 

 

担任の先生が、うれしそうに自作のくじを入れた箱を片手に教室に入ってきた。
まず黒板に、先生が生徒の人数分のマスを書いて、そこにランダムに数字を書く。
次に順番に箱の中から1枚くじを引いて、紙に書かれた番号と同じ番号が書かれた黒板のマスに名前を書いていく。
と言う方式だ。

 

 

席替えって、いくつになってもドキドキワクワクするもんだよな。
紫耀くんの近くになれるかな…。

 

 

紫耀くんの番。
「うしっ!」小さくガッツポーズをした後、紫耀くんの名前が、真ん中の列の1番後ろの席に記入された。
戻ってくる際、ジンくんと「うぃ〜!」「居眠りし放題〜!」と言いながらグータッチしている。

 

 

紫耀くんの隣、出ますように…。
祈りながら、くじを引く。

 

 

やった…!
なんとまさに念じていた番号が出た!
こんな奇跡ある!?最近私、運良すぎじゃない!?

 

 

「あ、岸さん…!ちょっとちょっと!」
くじを受け取って、黒板に名前を記入する役をやっていた例の派手ギャルが、こっそりと両手を合わせて「お願い!」と言ってきた。
何事かと思ったら、「私と番号変わって!」と頼み込んできたのだ。

 

 

教室の中は、くじを引き終わった生徒たちが「どこだった?」「席近いじゃん!」などワイワイ雑談していて、私たちのやりとりに気づくものはいない。

 

 

「岸さんは、紫耀と家も近いし、いつでも話せるんだからいいじゃん!私は学校でしか会えないんだから!私、紫耀のことが好きなの!お願い!いいでしょ?ね!?」

 

 

そんな…。私だって、紫耀くんの隣になりたかったのに。
偶然隣の席を引き当てるなんて、こんな奇跡またとないのに…。

 

 

「それとも、岸さんも紫耀狙いなの?」

ギャルがギロリと睨み付ける。

 

 

その迫力にひるんだのか、この場で「私も好きなの!」と宣言するのが恥ずかしくてためらわれたのか、そろそろとくじを渡してしまった…。

 

 

 

はぁぁぁ〜〜〜。
てことで、真ん中の列前から2番目の席に私の名前が記入された。
よりによって、先生から1番丸見えの1番人気のない席じゃん。

 

 

担任「じゃぁ、みんな机動かせー」

みんな一斉に、ガタガタと自分の机を移動させ始める。

しょんぼりしながら、机を移動させ終えると、

 

 

「よっ!席近いな」

 

と、前からハスキーな声が聞こえてきた。

 

 

「えっ!?紫耀くん、なんで!?」
なぜか、紫耀くんが私の前の席で、ニコニコと微笑んでいた。

 

 

 

「俺、目悪いから変えてもらった」

 

 

 

何でも譲ってくれるジンくん

「え?紫耀くん、目悪かったっけ?」

平「そうそう、一番前じゃなきゃ見えないもーん」

神「紫耀、横暴すぎ」

 

 

ジンくんが後ろの席を指さすので、本当は紫耀くんがなるはずだった席を振り返ってみると、ぐるぐるメガネの男子のクラスメイトが座っていた。

 

 

 

え!!絶対あの子の方が目悪いし…!!

 

 

 

神「おい、あいつ、かわいそうだろうー?別に他の子に頼めばよかったじゃん」

平「いや、とりあえず男子を潰しとこうかと思って」

紫耀くんとジンくんが何やらヒソヒソと話していたけど、聞こえなかった。

 

 

 

紫耀くん、何でそうまでして席を変わってもらったんだろう…?
もしかして、私の近くになりたかった…なんてあるわけないか。
願望出すぎ。

 

 

 

見渡すと、偶然周りは女子ばっかり。
まさかこの中に好きな子がいるとかじゃないよね…( ;゚Д゚))

 

 

 

平「もしジンがこの辺の席だったら、ジンに代わってもらったんだけどな。ジンは優しいから、いつも何でも譲ってくれるもんなー!」

「そうなの?ジンくん、いいの?こんなこと言ってるよ?」

平「ほんとほんと!服の趣味とか結構被ってるけど、だいたい欲しい服が被った時は譲ってくれるんだよ。なーっ?」

 

 

 

「あはは」と頷きながら爽やかに微笑んでいたジンくんの笑顔がふっと消えたことに、私も紫耀くんも、気付いていなかった。

 

 

 

 

背中に書いた好きの文字

「ぅ、うぅ〜〜〜」

さっきから、前の席の紫耀くんがずっと小さなうなり声をあげて、背中を丸めている。
先生に当てられた問題の答えが、わからないのだ。
何とか、答えを伝える方法ないかな…?でも、この席は先生の目の前だし…。

 

そうだ!
持っていたシャーペンの背中を、すーっと紫耀くんの背中を滑らせる。
背中に文字を書いて、答えを教えてあげるのだ!

 

 

一瞬ピクンと背中を伸ばした紫耀くんが、私の意図に気づき、じっと背中に神経を集中させているのが分かった。
平「…〇〇!」

 

紫耀くんが大声で答え、クラス中はぽかんとなった。
そうだった、昔から、紫耀くんは背中に文字クイズ、めちゃくちゃ苦手だったんだ…。

 

小学校の時、背中に書いた文字を当てるクイズが流行って、私たちもやったことがある。
紫耀くんが「書いて」と言うので、私が紫耀くんの背中に文字を書いた。
いくつか書いて、紫耀くんが全然当てられなくて、「もう一回!もう一回!」と何度もやるうちに、書く言葉が思い浮かばなくなって、こんなに全然当てられないんだったら…と思って、勇気を出して書いたことがある。

 

 

 

「すき」

 

 

と。

 

 

 

その時も、紫耀くんはやっぱりわからなかった。

 

 

こうして人生最初で最後の告白は、スルーされた。

今となっては、甘酸っぱい思い出。

 

 

 

先生「全く平野は〜…もうちょっと勉強しろよ!」
平「はぁーい」

 

 

紫耀くんがこっそりと半分だけ振り返り、脇の下から片手で手刀を切って、「ありがとう」と伝えてきた。

 

 

なんかこうやって、授業中に2人だけしかわからない会話って、ちょっとキュンキュンする。
思わず顔がにやける。

 

 

その時、ポケットの中で携帯が振動した。先生に隠れて、こっそりチェックすると、メールが入っていた。
そしてそのメールを開いて、青ざめる。

「君のことを、いつも見ているよ…」

 

な、なにこれ…。

 

 

続きはこちら↓

 


今回の小説で採用したネタは、「何でも譲ってくれるジンくん。」

平野くんが、雑誌で言ってました。

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