キンプリ妄想歌詞小説「雨音」9話

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ついに紫耀と廉がご対面!

気になる2人の関係は…!?

 

これは、キンプリの曲「雨音」「Seasons of Love」の歌詞からイメージしたストーリーの歌詞小説です。

 

前のお話はこちら

 

 

キンプリ歌詞雨音平野紫耀

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兄弟

「え、紫耀くん、廉くんと知り合いなの?」

 

紫「知り合いっていうか、…弟」

 

 

「え、えぇ~~~~っ!!?」

 

 

声を上げたのは、私だけじゃなかった。

え、だって…えぇ~~??頭がこんがらがってくる。

 

 

「ちょ、ちょっと待って。紫耀くん、弟なんていなかったよね!?2歳差なら、小学校の時、いたはずだし」

 

海「うん!俺、同級生に廉、いなかった!!」

 

 

紫「まぁ、実の弟じゃないから。」

 

優「あ!!紫耀の母ちゃん、再婚したんだ!?」

紫「そういうこと」

 

 

「え?でも、紫耀くんのお母さん、確か今もシングルってジンくんが…」

紫「ま、いろいろあって離婚して」

 

 

海「離婚したのに、廉だけ残ったの?」

優「ばか!いろいろと事情があんだろうよ!察しろよ!」

 

お兄ちゃんが海人の頭をパコっと叩く。

 

海「痛ぁ~い!なんで俺だけ叩くんだよぉ!姉ちゃんだって、今、いろいろ聞いてたじゃんか!」

優「うっせ!」

海「全く兄ちゃんは、姉ちゃんにだけ甘いんだから…!」

 

 

 

優「で、まぁそこの“いろいろ“は置いといて…。君はなんでさっき、うちの妹と抱き合ってたのかな?説明してもらおうか?紫耀の弟だからって、特別視しないよ?」

 

 

うわっ、怒りのオーラ出まくってる。

お兄ちゃんは、私を溺愛している。

幸い?今まで一度も彼氏なんてできたことがないため、お兄ちゃんにとっては平穏な日々だったのだ。

 

 

廉「や、“抱き合ってた”んじゃなくて、“抱きつかれてた”だけですけど。さっき部屋にゴキ…」

「だぁああーーーっ!!!」

 

慌てて、廉くんの後ろから両手を回し、口を塞ぐ。

家にゴキブリが出たなんて、好きな人には絶対バレたくない…!

 

「言わないで、言わないで…!」

廉「は?なんでや?」

「いや、恥ずかしいでしょ!普通に!」

 

 

優「だから、何を兄の前でイチャイチャしてんだよ…っ!(怒)」

 

 

また頭から怒りの湯気をゆらゆらと上げながら、お兄ちゃんが一歩踏み出す。

 

 

海「あ!!あぁ~~っ!!!兄ちゃんストップ!!ゴキブリ踏む!!!」

 

優「え?」

 

 

お兄ちゃんがあと一歩足を出していたら、グシャリと踏んでいただろう。

 

「そうだ、退治したけど、まだ死骸があったんだった!!やだやだやだー!!」

海「キャー!誰か取って取ってぇ~~!!」

 

また海人と二人で大騒ぎして、廉くんの服をひっ張りながら後ろに隠れる。

こうしてあっけなく、紫耀くんに家にゴキブリが出たことがばれてしまった…。不潔女子と思われて引かれたかもしれない…。無念…。

 

優「なんだそういうことか。海人はこんなのも取れないのか、しょうがないなぁ」

お兄ちゃんは、ティッシュを2、3枚ぱぱっと取って、さっとGを包んでトイレに流してくれた。

 

「さすがお兄ちゃん!虫得意だもんね!かっこいい!」

 

お兄ちゃんはいつもはちょっと頼りないけど、虫に関しては平気で触れるタイプなので、こういうときにはとっても頼りになる。

海人は全く頼りにならないから…。

手を洗って帰ってきたお兄ちゃんの腕にまとわりつくと、お兄ちゃんは満足げに鼻高々として海人に言う。

 

 

優「全く海人は、そんなんじゃ大好きな姉ちゃんのこと守れないぞ?」

海「いいんだもん!俺は、姉ちゃんに守ってもらうからいいんだもん!」

 

 

海人がプン!とふくれて、「やれやれ」とお兄ちゃんは苦笑いをした。

優「花凛、大丈夫だぞ」

「お兄ちゃん、ありがとう〜〜!」

 

 

廉「海人、お前の兄貴、空気読めへんな」

海「え?何?」

廉「せっかく俺がヒーロー扱いやったのに…」

海「え?なになに?聞こえないよ〜」

廉「うっさい!何でもないわ!」

 

スパコーン!

 

海「いって!なんだよ〜!?みんな、俺にばっか八つ当たりするの、やめてよね〜!もぉっ!」

 

 

 

アーン(紫耀サイド)

 

くっそ〜、廉のやつ〜〜。

ゴキブリが出たときに居合わせるなんて、なんて運のいいやつなんだ!

それで、花凛に抱きつかれてたのかよ!?

俺だって、その場にいれば…

でも俺、虫、ちょっと苦手だからな…。

でも花凛の為なら!ゴキブリだってやっつける!

俺が花凛を助ける正義のヒーローになりたかったのにぃ〜〜!

 

 

でもなんか2人、やたらと仲良さそうだったな。

廉のやつ、普段女と仲良くすることなんてないのに。

いつの間に花凛と出会って、あんなに仲良くなってたんだよ。

ま、まさか、もう2人はすでに付き合ってるとか…!?

 

 

素知らぬ顔でソファーに座って携帯をいじっている廉と、キッチンに立つ花凛を鋭い目線で交互に見比べる。

優太が、「2人とも今日はうちで飯食ってけよ!」と言ってくれたので、夕飯をご馳走になることになった。

 

 

岸家では、夕飯は3人で作ることになっているらしく、優太も海人も一緒にキッチンに入っている。

はぁ〜〜、エプロン姿も、かわいいぜ…。

 

 

「ん?紫耀くん、何ニヤニヤしてんの?」

 

ハッ!やば…ついつい顔が緩んでたぜ!

 

 

 

紫「花凛、何作ってんの?」

ごまかすようにそう言ってキッチンに入り、花凛の横から覗き込む。

 

「今日はポテトサラダだよ」

海「うちはいつも、3人でそれぞれが一品ずつ作るルールになってて、姉ちゃんが1番料理下手だからいつも副菜担当なんだよね!」

「海人、うるさい!」

 

花凛がばしっと海人の頭を叩く。

海「痛ぁーい!もぉ、姉ちゃんまで叩かなくてもいいじゃん!」

 

 

紫「ちょっと一口!味見、味見!」

「え…あ、じゃぁ、はい」

 

ヒナみたいに口を開けてねだってみたら、花凛が「アーン」してくれた。

 

フッ…見たか、廉!!

俺と花凛のイチャイチャを!!

勝ち誇った気持ちでチラリと廉に視線を移したが、廉は向こうを向いたままソファーに座って携帯をいじっていて、気づいていないようだった。

 

岸「俺のも味見すっか?」

紫「いや、良い。ポテサラの味が消えちゃう」

岸「はっ!?こっちはメインだぞ!?肉だぞ!?」

海「俺のも味見していいよ〜♡」

紫「だからいらねっつの!」

海「なんでぇー?姉ちゃんのばっかり!」

岸「あーっ!わかった!紫耀、お前、あれだろ…!?」

紫「え、え、え?何⁉︎」

 

やべ!ちょっとあからさますぎたか!

こんなみんながいる前で、「お前、花凛のこと好きなんだろ?」なんて言われたら…

 

岸「小学校のときの調理実習のトラウマだろ!?」

紫「へ?」

岸「ほら!あの殺人級の親子丼…!」

 

紫「あーっ!思い出した!」

 

殺人級の親子丼(花凛サイド)

全くお兄ちゃん!なんでそんなこと思い出させるのよ!

私の人生の汚点なのに…!

 

家庭科の調理実習で、親子丼を作ったことがあった。

その時に、砂糖と塩を間違えて、塩を30グラムも入れてしまったのだ!

出来上がった親子丼は、とても食べられるレベルではないほどにしょっぱかった。

 

岸「砂糖と塩を間違えるって、ギャグじゃん!?ほんとにやるやつ、いるんだな!」

紫「確かにあれは伝説だった… (笑)」

岸「いまだにうちでも伝説になってるぞ!」

「もぉ〜〜〜、いいよその話は…!」

 

今でこそ笑い話だけど、その時はうちの班の他の子たちのテンションがだだ下がりで、かなり微妙な空気になった。

そうしたら、他の班だった紫耀くんがうちの班に椅子を持ってやってきて、「俺が食うぞ!」と食べてくれたんだよね。

途中で先生に止められてたけど…。

それくらいに危険な代物だったのに、多分私が班員たちに責められているような雰囲気になってたのを助けるために、そんなことをしてくれたんだよね。

 

それで、その後、毎回調理実習のときには、紫耀くんは途中で味見をしに来るようになった。

また私がミスを犯してみんなに責められるのを防ぐためか、また自分が殺人級の代物を食べる被害に遭うのを防ぐためか…。

 

(紫耀サイド)

ま、あの時の親子丼は本当に死ぬかと思ったけど、それを理由に、その後の調理実習では毎回俺が味見役として花凛の班に出向くようになり、花凛に「アーン」してもらえるようになったので、結果オーライだ。

 

ストーカーからのメール(花凛サイド)

ピロロ〜ン。

携帯の着信音がして、ポケットから携帯を取り出しチェックする。

 

 

え…⁉︎

また、ストーカーからのメールだった。

しかも今度は…

うちの家の写真…。

 

やっぱり、自宅の場所を知っている人間が犯人…!?

 

 

すぐさまバッと前を向き、廉くんを確認。

けっ、携帯いじってるーーーーっ‼︎

やっぱりこいつかーーーっ!?

 

 

 

「ちょっとちょっとちょっとーー!携帯見せて!!」

 

キッチンから飛び出して、ソファーに座っている廉くんに飛びかかる。

 

廉「うわぁっ⁉︎なんやねん!?」

「だから携帯見せて!」

廉「だからなんでやねん!?」

 

廉くんが手を上に伸ばして携帯を見せてくれないので、無理矢理携帯を奪おうとして廉くんの上をよじ登る。

 

「よしっ!取った!」

廉くんの手から携帯を奪い取り画面を確認すると、ゲームの画面だった。

 

「あれ?メールじゃ…ない」

 

 

廉「おい…っ!ちょっと…さすがに、これは、あかんやろ…!」

 

 

ふと下を見ると、耳まで真っ赤になった廉くんの顔があった。

携帯を奪うことに必死になりすぎて、私はちょうど廉くんの顔に胸を押し当てるようにして、のしかかっていたのだ…。

 

 

 

海「姉ちゃん、さっきから廉のこと襲ってばっかりだよね…。え?姉ちゃんて、もしかして、廉のことが好きなの?」

 

 

バシッ!!!

 

海「痛ぁ〜〜い!なんで紫耀が叩くんだよぉ〜〜〜!」

 

 

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