キンプリ妄想歌詞小説「雨音」12話 サマーデイズ〜不意打ちのkiss、でも夏に許して〜

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今回で第一章が完結!

紫耀とヒロインの恋の結末は…!?

 

これは、キンプリの曲「雨音」「Seasons of Love」の歌詞からイメージしたストーリーの歌詞小説です。

 

キンプリ歌詞小説「サマーデイズ」

この回の違和感のあるところはどこでしょう〜?

実は前回の挿絵と、同じ日の設定なのに、長袖が半袖になってる…。

ストーリー書いてて、あ、夏の設定だったわ…と気づいたんだけど、描き直すのめんどくさかったので、そのままにしちゃいました〜!

違和感に気付いた方、すごい…!

 

前のお話はこちら

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ファーストキスの相手(紫耀サイド)

部屋に戻ってからも、花凛はずっと泣き続けていて、俺はずっとイライラが続いている。

多分これは「花凛を傷つけられたから」じゃなくて、単純に好きな女のファーストキスを奪われたことに対するイラつきだ。

 

昨日、花凛が「まだキスもしたことがない」と知ってウキウキしていたのに、どん底に突き落とされた気分。

油断していないで、とっとと俺が奪ってやればよかった。

 

怒りと嫉妬でぐちゃぐちゃになってて、今、ベッドにこうして2人で並んで座っているのも、自分を止められなくなりそうだ。

このまま押し倒して、キス以上のものを奪ってやりたい。

そうしてジンのキスを上書きして、花凛の“初めて“を全部俺に塗り替えてやりたい。

 

でも、もちろんそれはしない。

花凛はずっとストーカーに怯えていて、それが信頼していたジンの仕業だったとわかって、そのジンにキスを奪われて、今すごく傷ついている。

そんなボロボロに傷ついている花凛に、自分の気持ちを押し付けることなんてできない。

 

…というか、そんな勇気ない。

無理矢理襲って、花凛に嫌われるかもしれないって思ったら、そんなことできない。

 

 

 

紫耀「ごめん…俺が守るって約束したのに。また、約束守れなかった…」

そう謝ることしかできなかった。

 

紫耀「それは傷つくよな…。初めてだったんだもんな…」

「…がよかった…」

紫耀「ん?なに?」

「…初めては…紫耀くんが…よかった…」

 

え?

えぇーーーーっ⁉︎

 

(花凛サイド)

 

自分でも、何を言っているんだろうと、言葉を発した後に気づいた。

でも頭がぐちゃぐちゃで、本音が口から溢れてくる。

 

 

紫耀「え…お、俺が、良かった…の?」

 

 

どうしよう…紫耀くん、びっくりしてるよぉ〜。

突然そんなこと言われて、引いてるかも。

なんかオロオロしてるもん…。

 

 

でも、もう自分の気持ち、隠していられないよ。

小学校の時だって、自分の気持ちを伝えられないまま離れ離れになっちゃって、すっごく後悔した。

あの時、ちゃんと気持ちを伝えていたら私たちどうなっていたんだろうって…。

 

 

せっかく再会できたのに、またいつまでも気持ちを伝えられなくて、こんなことになっちゃった。

起きてしまった事はもう戻せない。

 

だからこれ以上、後悔したくない…!

 

 

紫耀「…ほんとに、俺がよかったの?」

 

 

紫耀くんが真剣な眼差しで問いかける。

そして私も、真っすぐに紫耀くんの目を見てコクリと頷いた。

 

 

 

青春の1ページ

戻らない瞬間

この気持ち伝えたい…

King & Prince「サマーデイズ」

作詞:草川瞬、作曲:Susumu Kawaguchi、草川瞬

 

 

 

 

紫耀「花凛…!」

 

紫耀くんが私の両肩をつかんで、自分の方を向かせる。

 

 

「紫耀くん…」

 

もしかして、キス…してくれるの?

 

 

紫耀「大丈夫だ!お前のファーストキスの相手は、俺だ!」

「へ?」

 

 

(紫耀サイド)

今だ!今が、そのタイミングだ…!

 

 

紫耀「花凛…!あのな!

子供の頃、夏祭り一緒に行くはずだったのに、花凛が熱が出て行けなくなって。俺がお見舞いに来たの覚えてるか?」

「あぁ…なんとなく…?高熱だったから、あんまり意識なかったけど。え?何の話?」

紫耀「実はな…!あの時、あまりにお前が苦しそうだったから、何とか俺が風邪をもらってやらないかなって、こう…チュッて…」

「え…えぇーーーっ⁉︎寝込みを襲ったの!?」

紫耀「いや!襲ったとかじゃなくて…!風邪って、人にうつしたら治るって言うから!ほら!だから俺、その後熱出て学校休んだじゃん!?」

 

まぁ、単純にキスしたかったっていう下心が90%だったけど…。

 

 

「だ、だからって…!えー!やだー!ヤダヤダー!」

紫耀「えぇっ⁉︎ヤダって…ガーン( ̄д ̄;)

だって、ファーストキスの相手、俺がいいって…。」

 

 

今まで、言ったら怒られると思って隠し通してきたのに…こんなに嫌がられるなんて…暴露しなきゃよかった…。

トラップに引っかかった気分…。

 

 

「ヤダヤダー!寝込み襲うとかヘンターイ!私、意識ないしー!」

「花凛、落ち着けって!」

花凛がまだ大騒ぎするので、慌ててまた両肩を掴んだその時…

 

 

バーン!

 

優太「紫耀ぉ〜〜〜!お前ぇ〜〜〜!」

 

昨日のデジャブ?

優太が部屋のドアを開け飛び込んできて、ベッドの上で花凛の両肩をつかんで、動きを封じ込めようとしている俺の姿を見て、怒りで髪の毛が逆立っている。

 

 

紫耀「いや!ちが…これは…」

 

優太「今、帰りに廉とすれ違って、そしたら“アンタの可愛い妹さん、ファーストキス奪われて傷ついてるから慰めてやって“って言われたんだよ…。

どこのどいつか知らんが、絶対殺す!と思ってめっちゃダッシュで帰ってきたら…紫耀、お前だったとはぁ〜〜〜っ!!ぜってーーー許さん!!!」

 

 

優太が猿みたいに飛びかかってきて、完全にヘッドロックをかけられた。

 

「お兄ちゃん…違う!あれ?違わないのかな…?実際、寝てるとこ襲われてたわけだし…」

優太「寝てるとこ襲ったぁーー!?紫耀、お前!部屋に不法侵入して、花凛が寝てるとこ襲ったのか!?犯罪者かーー‼︎」

優太はさらに怒り狂って、ぐいぐいと俺の首を絞める。

 

紫耀「く、苦し…」

 

 

ドーン…!

 

窓の外で大きな音がして、3人で「え?」と振り返る。

窓の外に、色とりどりの花火が落ちてくるのが見えた。

 

お祭り(花凛サイド)

「あ!今日じゃん!そのお祭り!」

 

毎年やってる、家の近くで花火が上がる小さなお祭り。

公民館の敷地に出店が3つ位しか出ないような、町内でやってる本当に小さなお祭り。

 

いつも、紫耀くんたちの家族と一緒に行くのが恒例だった。

その年だけ、私が熱が出て行けなかったの。

「来年こそは一緒に行こうね」って約束したのに、次の春には私が転校してしまって、その約束は果たされないままだった。

 

 

 

紫耀「花凛!花火、見に行こ!」

「うん!」

 

優太「こら、待てーー!!」

 

背中にお兄ちゃんの怒鳴り声を聞きながら、紫耀くんに手を引かれるままに走っていく。

 

 

 

毎年、お祭りの日はどっちかの家に集まっていて、一発目の花火の音を皮切りに、みんなでキャーキャー言いながら、公民館までサンダルをつっかけて走っていくのが恒例だった。

子供だけで走って行けちゃう距離だから、お母さんたちは後からゆっくり歩いてくる。

すっごく楽しみな夏のイベントだったんだ。

 


「うっわぁー!すごーい!」

 

花火も15分くらいの小規模なものだけど、近くで上がる分、大きく見えてすごく迫力がある。

市が主催する大きな夏祭りよりも、こっちの方が楽しみだった。

 

 

「ねぇ!もっと近くに行こ!」

私が走り出そうとすると、後ろから紫耀くんにグイっと引き止められた。

 

紫耀「いいじゃん、ここで。」

「なんで?そのほうが、もっと大きく見えるよ?」

紫耀「いいの!ここで!公民館行くと、近所のおじちゃんとかおばちゃんとかいっぱい知ってる人いるから。

 

…2人で見たい」

 

 

 

え…。

花火で興奮して、完全に童心に帰っていたけど、さっきキスがどうとか、結構エロティックな雰囲気になってたのすっかり忘れてた…。

ファーストキスを奪われたばかりだと言うのに、何をはしゃいでんだ、私。

しかも、ファーストキスの相手も本当は紫耀くんだったとか、わけわかんないこと言い出すし…。

私、全然覚えてないのに…。

 

 

思い出したら、急に二人っきりなことに緊張してきた…。

そのまま2人で無言のまま花火を見続けた。

子供の頃は、「すぐ終わっちゃうね」と感じていた15分の花火が、やけに長く感じた。

 

 

そして、畳み掛けるような怒涛の花火。

クライマックスだ。

 

「これ、そろそろクライマックスだ…ね」

 

最後の言葉を言い終わるか言い終わらないか、紫耀くんの方を振り向いたのと同時に、優しく引き寄せられてキスをされた…。

 

 

 

高鳴る心臓の音に重なって、クライマックスの花火の音が体の芯まで鳴り響いていた。

 

 

打ち上がる恋の花火

夜空を駆け巡る恋の光

さりげなく肩抱き寄せて

不意打ちのkiss

でも夏に許して

King & Prince「サマーデイズ」

作詞:草川瞬、作曲:Susumu Kawaguchi、草川瞬

 

(花凛サイド)

 

花火の連打音が止み、あたりは静寂に包まれ、そっと唇が離れる。

 

 

紫耀「これで、上書き完了な?」

「あ、あの…あの…紫耀くん…⁉︎」

 

今のキスはどういう…?

私が「紫耀くんがよかった」って言ったから、してくれただけ?

それとも…

 

 

紫耀「まぁ、アレだな…!ジンの前と後、挟み撃ちしてやったから、ジンのアレはもう帳消しってことでいいだろ!」

「う、うん…その理論はちょっとよくわかんないけど…」

紫耀「お前は認めたくないかもしれないけど、正真正銘、お前のファーストキスの相手は俺だから。嫌かもしんないけど…」

「い、嫌ってわけじゃ…」

紫耀「だってさっきヤダヤダって騒いでたじゃんか…(←意外と傷が深い)

“初めては俺がいい”って言ったくせに、わけわかんねー…」

「そ、そうじゃなくて…。せっかく好きな人にキスしてもらえたのに、それ全く覚えてないなんて、悲しいっていうか、もったいな過ぎるっていうか…紫耀くんはどういうつもりでしたのかはわかんないけど…でも、私にとっては…」

紫耀「す、す、好ぅっ…(きな人って今、言った⁉︎)…っ‼︎」

 

 

紫耀くんは、ただ私のリクエストに応えてキスしてくれただけかもしれないけど、

傷ついている私を慰めようとしてくれてるだけかもしれないけど、

 

 

それでも、

ちゃんと伝えたい、

この想い…!

 

 

「だって私、紫耀くんのこと、ずっと…」

 

 

 

 

「ずっと好きだったから…!!」

ピタリと二人の声がハモった。

 

 

 

 

「え…?」

紫耀「好きだよ。ずっと好きだった…!!

だからキスした。あの時も、今も」

 

 


 

 

「来年もまた一緒にここの花火見たいなぁ」

紫耀「見れるよ。来年も再来年も、この先もずっと一緒に、見ようぜ?」

「あ、なんか織り姫と彦星みたいだね。」

 

ここのお祭りは、毎年7月7日に行われることになっている。

 

紫耀「じゃあ、毎年この日はここの花火、一緒に見るって約束な!卒業してこの街離れても、社会人になってどんなに忙しくても、この日だけは絶対ここで待ち合わせな!」

「うん!約束!」

紫耀「指切り、する?」

「いや、それ、逆に約束が守られないジンクスみたいになっちゃってるから… (笑)」

紫耀「じゃあ、約束のチューにしとく?」

「えぇっ⁉︎」

紫耀「な、なんちゃってー…!嫌ならい…」

「す、するっ‼︎」

紫耀「えっ‼︎い、いいの…?」

「よ、よろしくお願い…します…」

 

 

 

紫耀くんに体を正面に向け、目を閉じる。

大きな手がそっと髪に添えられ、紫耀くんの体温が近づいてくるのを感じた。

 

 

無理矢理でもなく、寝ている間の知らないうちにでもなく、不意打ちでもない。

これが、正真正銘、私のファーストキスってことで、いいよね?

 

 

予期せずキスを奪われた最悪な1日は、ずっと大好きだった人にキスしてもらえた最高の1日に変わった。

もう花火は終わったはずなのに、体の奥からドクドクと激しい連打音が響いていた。

 

鳴り響く恋のファンファーレ

赤く染まる心 溶けてしまうほどに

 

身も心も焦がして

世界で1番!サマーデイズ!

King & Prince「サマーデイズ」

作詞:草川瞬、作曲:Susumu Kawaguchi、草川瞬

 

 

 


これにて、第一章終了となります!

めでたく紫耀と結ばれたヒロインですが、まだ「雨音」の歌詞のストーリーが再現できていないので、まだまだストーリーは続きます!

「雨音」は、昔の恋人を思い出しているような歌詞になっていますが、その恋人たちの幸せだった頃の“昔“を描いたのが、この第一章と言うイメージです。

 

第二章からは、「SeasonsOfLove」の世界観で、廉が主役となっていきます!

お楽しみに!

 

第二章はこちらです

コメント

  1. みつき より:

    第1章終わりましたね!
    花凜ちゃんも意外と天然で読みながらクスクス笑っちゃいましたw
    第2章も楽しみにしています!

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