執筆がなかなか進まなくてすみません…。なんかどんどん苦しい展開になってきてなかなか書けないよ~。最終回も近くなってきているんだけど、こうなっちゃうと、もう誰も幸せになれないのよね…。
花凛サイド
廉「こんな時間までどこ行ってたん?」
あまりにびっくりして、言葉が出なかった。
こんな平日に、廉が来てるなんて思いもしなかった。
「あの、えっと…咲人がお泊まりだから、あの…ママ友の家に…」
廉がゆっくりと近づいてきて、私の手を取り指をさする。
「指輪は?ママ友と遊ぶのに、なんで指輪外すん?」
そうだ、指輪、外したままだ…。
朝、身支度を整える時に指輪を外していることを思い出したけど、紫耀くんの前でつけることはできなくて、後でつけようと思っていた。
何も言い訳が思いつかず口をつむぐ。
廉は私の指をさすりながら、そのままドサッとソファに押し倒し、のしかかるように覆いかぶさってきた。
花凛「ちょっ…廉、リビングはダメだよ…お母さん達来たらどうするの!?」
廉「今日はお義父さんもお義母さんも旅行やろ?こんな朝早く帰ってこんやん。…なんで知ってんのって顔やな。別に、お義母さんと電話した時に聞いただけやけど」
まるで何でも見透かされているみたいで、ドキッとした。
キスをされ、荒々しく胸を揉まれる。
いつも感じる幸福感は全くないのに、「んっ」とか声を出して感じているふりをしながら考えていたことは、さっきまでしてたってこと、バレたりするんだろうか…ってこと。
バレませんように…ただ目をつぶって祈っていた。
廉「実家のリビングでってエロいな。どう?ちょっといけないことしてる感じが萌えるんやろ?」
廉、何言ってるの?
廉「教習所での秘密のドライブは楽しかった?」
え…
廉「俺が何も知らんと思ーてた?」
…!?
廉、知ってる…!
廉のあまりにも冷たい視線に、背筋が凍りついて何も言葉が出ない。
廉「8年ぶりの再会?偶然?え、それとも紫耀がいるって知ってて、こっちに引っ越すことに決めたん?」
声が出なくて必死で首を横に振る。
廉「ふーん、じゃあ、偶然の再会ってことか。それ、運命とか感じちゃったりしたんやない?」
息が…息が苦しい。
廉「そういうドラマチックな状態やったから、つい魔が差しただけやんな?」
廉の手が私の首に伸びる。
廉「俺がなんで、全部知ってること、今まで黙ってたかわかる?本当に偶然再会しただけやったら、やましい気持ちがないなら、花凛から紫耀に会ったって話してきてくれるって思うてた。
俺、言うたやんな?浮気の定義。秘密にしたら浮気。
賭けやったんや。花凛が話してくれたら、信じようって思ってた。
それやのに、何で…
ただ、運命的なシチュエーションといけないことしてるドキドキ感で、一時的に盛り上がっただけやろ?なぁ、そうやろ?」
どうしよう、言葉が出ない。
廉「そうやって言うてや…そうやなかったら何で…、何で俺を裏切ったん…?
俺はこんなに花凛を愛してるのに…!」
廉が両手に力を込める。
くる…しい……
花凛サイド
目が覚めると、ぼんやりとした視界に、キッチンで水を飲む廉の姿が映る。
私は裸でソファーに横たわっていて、タオルケットがかけられていた。
状況から考えて、私が意識を失った後に、廉が私の服を脱がして、行為の続きを行ったのだろう。
夫婦なんだし、同意がないとかいちいち騒ぐような子娘でもないけど、何だか背筋がゾクッとした。
廉に無理やりされたのは、今回以外に一度しかない。
私が紫耀くんに会いに同窓会に行ったと疑われたとき。紫耀くんからもらったクマのストラップをずっと大切に持っていたことがバレて、狂ったように怒った。
廉は紫耀くんのこととなると、正気を失う。
あの時は廉の勘違いだったけど、今回は本当にそうなのだから、何をされても仕方がないんだ。
「あ、起きた?」
私が目を覚ましたことに気づいた練習が近づいてきて、「はい、水飲む?」とグラスをくれる。
のっそりと起き上がり、水を飲みほすと、廉は「ん」とグラスを受け取って、テーブルに置いてくれた。
「大丈夫?気分悪くない?」
とびきり優しい声でそう言って、私の頭をふわりと撫でる。
また背筋にゾクリと寒気が走る。
「あ、そろそろ咲人のお迎えの時間…!」
廉は時計を見て「ああ」と小さく言って、「じゃあ一緒にお迎え行こ」と床に落ちている私の服を拾ってくれた。
洗面所に入り鏡の前に立ったら、首にアザができているのとに気付いた。
さっき、首を絞められたからだ…。
「花凛…?」
後ろから声をかけられ、ぎょっとして振り向く。
「さっきは、ごめん…大丈夫?」
廉が後ろからそっと抱きしめてきて、首を優しくなでる。
「うん…大丈夫。あ、ちょっとハイネックになってる服着てこっかな。なんかいいのあったかな~…」
服を探しに行くふりをして、そっと廉の腕を振り払って洗面所を出た。
背中に走る寒気はまだ続いていた。
先に来ていたママ達がふと振り向き、分かりやすく二度見する。
そして、隣にいるママ友をバシバシと叩き振り返らせ、振り返ったもう1人のママ友も目を丸くして二度見して、途端に辺りはざわめき始める。
「ちょっとちょっと!咲ちゃんママ!ご主人~!?」
誰にでも話しかける明るいタイプのママが近づいてきて、私に話しかけているようで、視線は完全に廉一点で、「ほほほ~」と浮き足立っている。
他のママも集まってきて、途端に私と廉の周りには人だかりができてしまった。
「やだぁ~!咲ちゃんのパパ、こんなにイケメンだなんて知らなかった~!そういえば、咲ちゃんのパパって初めて見るかも!」
「あ、単身赴任なので、いつもはいないんです」
「え~そうなのぉ~!?あら~、それは寂しいわねぇ」
「はい、寂しいんですよ。本当は毎日会いたいんですけどね」
廉が答える。
私に言ったはずなのに、思いがけず廉から返事が返ってきて、さらに廉が「なっ?」なんて言いながら私の腰に手を当て抱き寄せたものだから、周りにいたママたちは一瞬言葉を失って、次の瞬間「キャー!」と顔を赤くして大はしゃぎだった。
「あれっ!?パパァ~~ッ」
バスが着いてぞろぞろと降りてくる子供たちの中から咲人が飛び出してきて、廉に飛びつく。
「なんでっ!?なんでパパいるの!?」
「ん~?咲人とママに会いたいから来ちゃった~ダメ?」
「いいよ、いいよー!パパ、嬉しい!」
「うしっ!じゃあ帰るか!今日は家族水いらずやな!じゃ、失礼します」
ママたちに会釈をして、3人で歩き出す。
「水いらずってなぁに~?」
「ん~?他人に邪魔されない家族だけの時間ってこと~」
普通に言葉の意味を説明してるだけなのに、なんだか体がピクっとしてしまう。
「ねぇ、またビューンやって!」
咲人は私たちの真ん中に入り、手を繋いで持ち上げて欲しいとせがむ。
「今日はダメ~」
「え~なんで?」
「パパやって久しぶりにママと会えたんやから、ママとも手繋ぎたいもん」
キョトンと目を丸くした咲人が、
「じゃあいいよー!パパ真ん中ね!」
と廉の片方の手を握る。
「そっちはママだよ!」
咲人に促されて、廉の差し出した手に自分の手を重ねる。
後ろではママたちが「キャー、ラブラブゥ~!」と喜んでいる。
隣を歩く廉がそっと顔をかがませて、私の耳元で囁く。
「俺、絶対別れんから」
またゾクリと背中が凍る。
お迎えに一緒に来るって言った時からなんとなく違和感あったけど、やっぱりみんなに見せつけることを目的としてたんだ。わたしがこれ以上、身動き取れなくなるように。
この時の私は余裕がなさすぎて、さっきのママたちの人だかりには入らずに、1人のママが怪訝な視線を私たちに向けていることには、気づきもしなかった。
代償(花凛サイド)
異変を感じたのは、廉と一緒に咲人のお迎えに行った翌日のことだった。
咲人が疲れが残っていたのか、朝、学校に行くのをしぶったので、久しぶりに学校まで一緒に歩いて送っていった。
同じように送ってきていた親が数名いて、子供を見送った後、正門の前で輪になって話していた。
咲人を連れてその井戸端会議の輪の近くを通り過ぎたとき、パタッと会話が止まったのだ。
なんだか嫌な感じがした。
会釈をするだけで通り過ぎると、今度はヒソヒソ声で会話が再開した。
元々そういった輪に入るほど、ママ達に馴染んでいた訳ではないから噂話に入れてもらえないのが不自然というわけではないけど、昨日、廉と一緒にいた時にはあれだけ輪の中心となって囲まれたので、それをきっかけにちょっとは声をかけてくれるんじゃないかなとは思っていた。
でもやっぱり昨日は廉がいたから特別だったのか。
私一人なら、井戸端会議に迎え入れてもらえるほどの距離感ではないんだなぁと思った。でも、別に井戸端会議に入りたいわけじゃないから、全然いいんだけど。
その時は、それくらいにしか思っていなかった。
その後、学校の近くのドラッグストアで買い物をしていたら、クラスメイトのりくくんのママを見かけた。
目が合ったタイミングで挨拶をしようと思って近づいていくと、りくくんママがこちらに気づいて一瞬ぎょっとしたような表情をして、すぐに目をそらして逃げるように行ってしまった。
え、今、絶対避けられたよな…?
なんで?
前に公園で会った時には向こうからすごく気さくに話しかけてくれたのに。
今の態度は絶対におかしい。
りくくんのママはさっきの井戸端会議の輪の中にいた。集団でいると話しかけられないけど、向こうが一人だったら挨拶がてら少しくらい会話しようかなと思っていた。前に公園で話している仲だし、子供同士も仲良くしている。
モヤモヤしながら店を出ると、また別のクラスメイトのママがちょうど入ってくるところだった。学校の近くでこんな早い時間から開いている店はここしかないので、知り合いに会いまくる。
「あっ…咲人くんママ」
とっさにそう声に出てしまったらしく、「しまった…」とばかりに口を覆う。
そして、観念したように気まずそうな表情で近づいてきて、「ちょっとちょっと」と手招きして少し脇の方に来るように促すと、声を潜めて話し始めた。
「あのね、ちょっと言いにくいんだけど…あの、咲人くんママのことが噂になっててね」
「え?噂、ですか?」
「…えっとね…昨日、一緒にお迎えに来ていたイケメンの旦那さんいるでしょ?あの人とは別の男の人とね、咲人くんのママが会ってたって、噂になってるの。そのー…本っ当に言いにくいんだけど、…咲人くんのママ、不倫してるんじゃないかって」
一瞬目の前が真っ白になって何も考えられなかった。
なんで?
なんで小学校のママがその事を知っているの?
それでハッとした。
りくくんのママのよそよそしい態度。
そうだ、公園で、りくくんのママに会った時、紫耀くんを多分パパだと勘違いして会釈していた。
あの時、紫耀くんは遠くにいて顔までは見えなかったはずだけど、紫耀くんと廉は体型も服の感じも違うし、遠くから見ても別人であることはきっと分かる。
確かに公園で3人で仲良く遊んでいるなんて、傍から見たらまるで家族。
そうでないなら、ただならぬ距離感の相手ということになる。
「けっこう噂が広まっちゃってるから、もし違うんだったらちゃんと否定した方がいいよ。もし子供の耳に入って、かわかわれたりしたら、咲人くんがかわいそうでしょ?
まぁ、あんまり気にしない方がいいよ。美男美女の夫婦だと噂の的になっちゃって大変ね」
彼女はポンと私の肩をたたいて、軽く手を振って店に入っていった。彼女は本当に心配してくれているようだった。
本当は不倫なんてしてないのに、噂好きのママたちが面白おかしく話を大きくしているだけだと信じているようだった。
でも違う。
本当に私は…
ただならぬ焦燥感にかられて、足早に家へと向かう。
背中にはびっしょりと汗をかいている。
罰が当たったんだ。
何の覚悟もないのに、ただあの時の感情だけで行動してしまった。
廉にバレたときには、”廉が怒っている”という恐怖しか感じていなかった。
でも、本当はこれはもっともっと恐ろしい事だったんだ。
私のせいで、咲人を傷つけてしまうかもしれない。
小さな町だ。
噂はきっと小学校だけにはとどまらず、商店街の人たちを通してうちの両親も知ることになるかもしれない。
そうなれば、両親にも迷惑をかける。
なんて恥さらしな娘なんだ。
もう、この町にいられなくなるかもしれない。
今になって、自分のしたことの代償の大きさを実感していた…。
コメント
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!?!?!?!?!?!?!?!??!?!
りゃん?!((最近りゃんって呼ぶのにはまってます笑
なんかやばいことになってる、
結構廉怖い笑
アップありがとうございます!続き楽しみにしてますねヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。
ここがどうしようか2パターン迷ってるって言ってたとこ…
廉くんが闇落ちして壊れていくか、優しいままの理想の旦那様で居続けるか。
真逆のパターンで迷ってた(>ω<〃)
えぇ、、、笑
どっちもいいですね、、
闇落ちだとどんな感じで、優しいままだとどんな感じで、、、というのを
簡潔に説明してもらってもいいですか、、?
すいません(・・;
闇堕ちだとどんな結末になるかはストーリーのネタバレだからダメで、優しいままだとどうだったかっていうのは、あとがきでちょっと触れようと思ってるよ!
一応ちょっとだけ優しいバージョンで書き始めた部分を残してあるので、そこを未公開バージョンとして、あとがきで公開します!
了解です!!
ありがとうございます!