キンプリ妄想歌詞小説「Seasons of Love」エピローグ①〜20話宙 (ソラ)の裏側のお話〜

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キンプリ歌詞小説「Seasons of Love」のエピローグになります。

最終回では、どっちとくっつくの!?と思わせておいて、廉くんしか出てこないじゃん!紫耀くんどこいった!?と思われた方、多いのではないでしょうか…。

 

最終回のその後のお話。

そして、花凛を迎えに来ていたはずの紫耀が姿を現さなかった理由について、タネ明かしのお話となっております。

時系列としてはここのすぐ後の話。

 

でも順番としては、最終回の後に読むことをオススメします。

 

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(優太サイド)

「あ!紫耀くんだ!紫耀くんかっこいいー♡」

 

 

海人「さっちゃんは本当に紫耀のファンだよね」

幸「ねーぇー、紫耀くんは本当にパパのお兄ちゃんなの?」

 

 

幸が、廉の背中から首に腕を回して体重をかける。

 

 

廉「ほんまやで?だからパパもイケメンやろ?」

幸「えー、でも幸、紫耀くんの方がタイプー」

廉「なっ…!! Σ( ̄Д ̄l)」

幸「それに1度も会ったことないじゃーん。パパ、今度おうちに紫耀くん連れてきてよー」

 

 

昔は、紫耀が出ているテレビ番組は、なんとなくみんな空気を読んで避けていた。

しかし、この5歳児に“空気を読む“と言う概念は無い。

 

 

それに、廉と花凛は結婚して子供も生まれて、さすがに紫耀のことを気にする必要はなくなったのだろう。

 

 

あの日、紫耀が花凛の前に現れていたら、今、目の前にある光景は変わっていたかもしれないけれど…。

 

 

 

あの日、俺は廉を裏切って、紫耀を花凛のもとに送り出したはずだった。

しかし、花凛を見つけ出したのは廉だった。

なぜそんなことになったのか、最初は意味がわからなかった。

しかし数日後、紫耀から連絡があった。

 

 

「葬儀でバタバタしていて、すぐに連絡ができなかった」と。

 

 

(紫耀サイド)

「花凛!」

花凛がゆっくりと振り向く…。

 

 

すると、携帯が短く揺れた。

メールか。

チラッとチェックすると、メールは山田くんからだった。

 

本文の冒頭だけ見えた。

 

「彩さんが死んだ。」

 

 

あまりに衝撃的な内容に、思わず携帯を片手に端の方へと小走りに移動する。

すぐに山田くんに電話をして、どういうことなのか事情を聞いた。

 

 

彩さんとは、ちょうどスキャンダル真っ最中の“福利厚生“の女の子。

俺のグループの、俺以外の4人が全員その子を使っていたことで、スキャンダルが報じられてから、4人のファンから相当なバッシングに遭っていた事は知っている。

 

 

自殺か…?

 

 

しかし、山田くんの言葉を聞いて、わけがわからなくて頭の中が真っ白になった。

 

山田「死因は自殺で間違いないらしい。だけど、そこまで追い込んだのは事務所なんだ。殺されたんだよ」

紫耀「なん…で…そりゃ、メンバーと関係を持っていたことがバレたら、ファンの妬みの対象になるのはわかるけど、そういう目的で会社が雇っていた女の子なんだから、情報が漏れてしまったからには、守ってやるのが筋じゃないですか。」

山田「そもそもそこが間違っていたんだよ。“情報が漏れた“じゃない。“情報を漏らした“のは、事務所だったんだ」

紫耀「…っ⁉︎な、なんで…」

山田「俺をおとなしくさせるためだよ」

紫耀「山田くんを?山田くんと彩さんに、どんな関係が?」

山田「俺と彩さんには直接の関係は無い。見せしめだよ。俺、事務所の反対を押しきって、彼女と結婚を発表しようとしていただろ?

“ファンの妬みにさらされたら、どんなことになるのか。これでわかったでしょ?彼女のことが本当に大事なら、あきらめなさい“って言われたんだ…」

紫耀「そんな…!」

山田「俺も最初はそこまでするなんて信じられなかった。

わざわざ自分の事務所のグループの価値を下げるようなことをするなんて。

でも、彩さんの件には、お前は関わっていない。他の4人がダメになっても、お前だけは生き残れる。お前は社長のスペオキだから、このままグループの人気が戻らなくて解散なんてことになっても、お前だけはソロでも生き残れるように何とかしてもらえるはずだ」

紫耀「お、俺はそんな事は望んでいません…!」

山田「そうだよ…、望んでいなくても、逃げられない。何があっても、たとえグループがなくなったとしても、社長はお前を放しはしない。

逃げられないんだ、俺もお前も…」

 

 

山田君は、彼女との熱愛が発覚したお揃いのネックレスの件には「まったくの偶然です。彼女とは全く関係はありません」とコメントを発表し、彼女と別れることを決めた。

彼女を守るために。

 

 

そしてそれは、俺も同じなのだと、山田くんは忠告してくれたのだ。

 

 

すぐそこに、花凛がいるのに。

もう一度名前を呼べば、俺に気づいてもらえる距離にいるのに。

 

 

また、その手を取ることはできないのか…。

 

 

 

人影に隠れて、花凛の姿を見る。

花凛は空耳でも聞いたかのように、不思議そうに首をかしげながら、あたりを見回していた。

 

 

最後に目に焼き付けるようにじっと見つめる。

もう二度と出会う事はないだろう。

 

 

幸せになってくれ。

隣にいるのは、俺じゃないけど。

 

それでも君の幸せを願ってる。

 

 

結局俺にはこんな愛し方しかできない。

何度、時が戻っても、きっと同じ選択をする。

わかっていたのに、なぜもう一度幸せをつかもうなんてバカな考えを起こしてしまったのか。

俺は抜け出せない檻の中で、ぐるぐると歩き続けるクマのように、一生ここから抜け出すことができないんだ…。

 

 

 

そして背中を向けて歩き出す。

前にもこんなふうに胸を引き裂かれるような辛い別れがあったな。

でも今回は、花凛に気づかれていない。

辛いのは俺だけ。花凛を傷つけていないだけよかった。

 

 

これから俺ができる事は、テレビの中で精一杯笑うこと。

俺は幸せだよって、君に届けること。

そうすれば君も、心おきなく幸せになれるだろう?

 

 

願っている、ずっと願っている。

心から、君の幸せを。

 

 

(優太サイド)

海人「それにしてもこの曲、売れたよねー。もう5年位前に出した曲じゃない?」

花凛「6年前かな。だって私がライブに行った時に初披露された曲だもん」

廉「ライブに行った…なんか忌まわしい記憶がよみがえってきたような…」

花凛「まだそんなこと言う!?」

 

 

廉は「だってさ…」と口をとがらせていじけている。

 

 

確かに、初めてこの曲を聞いたときに、なんとなく花凛のことを歌っているんじゃないかと思った。

花凛もそう感じて、あの日、神社で紫耀を待っていたのかもしれない。

 

 

でも、花凛を見つけたのは廉で、それが運命を廉の方向に引き寄せた結果となった。

 

 

あの時あの場所で、紫耀が花凛に声をかけていたなら、今、ここにある光景は違っていたのかもしれない。

 

 

 

花凛「でも私、あの日迎えに来てくれたのが廉くんで本当に良かったなと思ってるよ。だって、過去の出来事の何か1つでも違って、もし廉くんと結婚できない人生があったとしたら、幸に会えないってことでしょ!?幸がいない人生なんて考えられないもん!」

廉「え!幸だけ!?俺は!?」

花凛「もちろん廉くんも!」

幸「ねー!何の話ー?」

 

 

また、幸が廉の背中に体重を乗っけてくる。

 

 

廉「ママが、幸とパパのことをだーい好きって話やぞー♡」

花凛「さてと!そろそろお風呂入ろうか!」

幸「うん!」

廉「俺も一緒に入る!」

花凛「えー3人じゃ狭いよー」

幸「ママ、パパを仲間外れにしためーよ!パパのこと大好きってさっき言ってたでしょ?」

廉「そーやぞ!」

花凛「しょうがないなぁ」

 

幸の笑い声がケタケタと響く。

「幸せ家族です」と紙に書いてペタッと貼ってやりたいほどの、幸せそうな3つの背中が風呂場に消えていく。

 

 

 

海人「紫耀はやっぱり持ってるよねー。あのスキャンダルで、グループ解散になっちゃってどうなることかと思ったのに、ソロになった方がもっと人気出てるもんね。やっぱすごいよ、紫耀は」

 

“持ってる“か…。

 

 

岸「紫耀はずっとさ、何でもできてすごいとかうらやましいとか、人から期待と羨望の目を向けられて、ずっとその期待に応えようとプレッシャーに耐えてきたじゃんか?」

海人「うん?」

優太「廉は何も持っていなかったから、“欲しい“も“寂しい“も躊躇なく言えた。それで正面から体当たりしていて、花凛を手にいれたみたいなところあるんだよな。

だけど廉だって、もし紫耀と一緒に生きてこなかったら、本当は紫耀側の人間だったんだ。いつも隣に華やかな紫耀がいるから、“不憫“なんて言われたりもしたみたいだけど。

本当に“持ってる“のはどっちなのか?本当に“不憫“なのは、どっちだったんだろうな…」

海人「な、何、急に!?何の話?哲学⁉︎」

優太「いや、なんでもない…」

 

 

 

紫耀が作詞を手がけたこの曲は、切ないバラードとして大ヒットし、6年経った今でもよく歌番組で歌われている。

 

 

この曲を聴くたびに、紫耀の悲痛な叫びが聞こえるような気がするんだ。

その身を削りながら、「どうか幸せになって」と。

 

 

言葉が宙に待って壊れたとしても

この想いは弧を描いて

キミに届くはず キミに届いて

 

今の僕にできる事は

一つ一つ言葉にして    このソラの向こうの

キミが笑う場所へ    声にかえて

King & Prince「宙(SORA)」

作詞:田鹿ゆういち、作曲:田鹿ゆういち・Octobar

 

エピローグ②、ほんとのほんとに完結です!

コメント

  1. みつき より:

    めちゃくちゃ感動しました!!
    なんかほんとに芸能界の裏側の世界みたいでちょっと怖かったけど
    ジャニーズ事務所が
    この物語の紫耀くんの事務所みたいな場所ではないことを願っています(笑)

    • ちゃちゃ より:

      芸能界の闇、描かせてもらいました(笑)(まぁ、そこもちょっと”本当にあったエピソード”的なものを盛り込んであるんですが…キンプリの話じゃないですけどね)
      どこのグループへの熱量が増えてきているんですか?
      また再燃して戻ってきてくれることを願ってます!!(笑)
      エピローグ②をもって、本当の完結とさせていただくつもりなので、また読みに来てください!

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