ドラマ King & Prince SMAP キンプリ妄想歌詞小説「Seasons of Love」17話You are my Princess〜どうか迷わず僕の手を取って〜

キンプリ妄想歌詞小説「Seasons of Love」17話You are my Princess〜どうか迷わず僕の手を取って〜

紫耀の裏切りにより、傷ついた花凛を慰めた廉。

そして2人は逃避行…!?

前回のお話はこちら↓

私の小説では、キンプリの曲の歌詞をもとにストーリーを構成しています。今回のテーマ曲は「you are my princess」です!

キンプリ妄想歌詞小説「SeasonsOfLove」you are my princess僕の手をとって

今夜は帰らない

廉「さて、そろそろ帰るか」

しばらく黙って手を握ってくれていた廉くんが、そう言って立ち上がる。
だけど、私は引っ張られた手にぎゅっとブレーキをかける。

「無理、帰れない」
廉「は!?」
「だってこんな顔で帰ったら絶対お兄ちゃんに何があったんだって聞かれちゃうもん」
廉「うっわ⁉︎ホンマや!めっちゃブスやん!」

顔を上げた私を見て、廉くんが声を上げる。泣きすぎてお岩さんみたいに目が腫れてる。

「言ったでしょ!お兄ちゃんにはこの話を知られたくないのー!」
廉「いやいやいや、でもだからってどうすんねん!?」
「友達の家に泊まるって連絡するから、今日は家に帰らないッ!」
廉「は、はぁ~~っ!?」
「廉くんは帰っていいよ!」

ぷんっとむくれると、「んなわけにはいかんやろ…」とやれやれといった感じで呆れた廉くんが、再び私の隣に腰を下ろした。

そっと抜け出そう 僕らだけのshow time

ガラスの靴も脱ぎ去ってgoing on

follow me tonight

King & Prince「you are my princess」

作詞:KOMU,作曲: Josef Melin

ホテル

え、え、えぇーっ!?
なんで私達こんなところにいるんだっけ!?

紫と黄色と青がミックスされたような照明にムーディーに包まれた大きなベッドを前に、手を繋いだままの私達は固まって立っていた。

家出して、行くあてなんてないけど、一晩くらい公園で野宿でもいいかなーなんて安易に考えてた。

だけど、季節は秋。

夜になったら信じられないくらい冷え込んできて、とてもじゃないけど、外で一晩明かすなんて無理だと気付いた。

かといって、私達が住んでいるこんな田舎の町には、漫画喫茶も24時間営業のファミレスもない。

唯一あるのはさびれたラブホテル…。

暖を取るためとは言っても、男の子と一緒に入るなんて抵抗があった。

だけど「なんもせぇへんから、安心せぇ!凍え死にたいんか!?」という廉くんの強めの態度に押し流されるように、入って来てしまった。

「あ、あの…そろそろ手…」

海で、震える私の手を廉くんが握ってくれて、なんだかすごく心がほっとした。
しかし、その後もずっと離すタイミングを逃したかのように、その手はずっと握られたままで。
こんな場所でずっと手を握りあっていたら、何か間違いが起こってしまいそうで、ちょっとハラハラする。

そういえば紫耀くん、さっき手を振り払っちゃった時、すっごく悲しそうな顔してたな…。

「触らないで、汚い!」なんて、すごくひどいこと言っちゃった…。
思い出すと、胸が痛くなる。

あれ?なんか、デジャブみたいな…

そうだ!私も廉くんに手を振り払われて、「触んなや、汚い!」って言われて、何が何だか分からなくて、すごく傷ついたんだ!

急にビッチ呼ばわりされてさ、意味わかんない…!
なんで私と紫耀くんが”した”ことを、廉くんが怒るのよ!

私は怒って当然でしょ?
だって私は紫耀くんのことを本気で好きなんだもん。紫耀くんが他の人としてたなんて知ったら、傷つくじゃん…!

ん…?
他の人としてるのに傷つくのは、好きだから…?

ってことは、

え、まさか…

廉くんって、私の事…

「好きやで」

恐る恐る覗き込んだ隣にたたずむその美しい顔は、まっすぐにこちらに向けられていた。

「俺、花凛のことが、好きやで?」

う、うそでしょ…。

オイデyou are my princess
その瞳ごと手に入れたくてtonight
We look up at starry sky(僕らは星空を見上げる(閉じ
過去も未来もゆだねてgoing on
follow me tonight(今夜はついてきて)
because I love you(君を愛してるから)

you are my princess

King & Prince「you are my princess」

作詞:KOMU,作曲: Josef Melin

自分のことを好きな男とホテルで二人っきりって、めっちゃ危険な状態じゃないかーー⁉︎

「わ!わ!わ!すごい!お風呂、ジャグジー!私、温泉とか大好きだからさ、“1人で“ゆっくりお風呂入るの凄い好きなんだよね!」

「え!え!え!ホテルってこんなレストランみたいなルームサービスみたいのあんの!?何か食べる!?あ、でも2人の所持金かき集めて宿泊料金ギリギリだったー!お金ないじゃん!あーお腹すいた!お腹空きすぎて、今日はもう“運動とか“絶対できないわー」

1人で部屋の中をバタバタと駆け回り、ひっきりなしにしゃべり続ける私を、廉くんは冷ややかな目で見ていた。

廉「別に変なムードにならんように、無駄にはしゃがんでもええし、“しない“アピールせんでも、別に何もせんから安心せぇや」

み、見透かされてる…。

廉「じゃぁ俺、先シャワー使っていい?その後、ゆっくり“1人で“お風呂どうぞ」

そう言って、淡々と洗面所へと消えていった。

なんだよ、向こうが告ってきたのに、私の方が意識しちゃって、格好悪いじゃん。

さすがあれだけのイケメンは、ホテルにいるって言うのに余裕だな…。

きっと今までも、何度もこういうとこ来たことあるんだろうな。

私なんて初めてなのに…。

紫耀くんも…何度も、こういう場所で、知らない女の人たちと…。

廉くんと交代でお風呂に入り、ジャグジーやら色とりどりに代わるライトやらを思う存分楽しんで、すっかり長湯をしてしまった。
お風呂から出ると、ベッドに廉くんが横になっていた。

そうか…!当然ベッドは1つ。先にベッドとられた…!

私は、どこに寝ればいいのぉー⁉︎

「ちょっと廉くん!先にベッドとっちゃうなんて、ずるいじゃん!普通こういう時って、男の子の方が“俺はソファーに寝るから“って言ってくれるもんじゃない!?」
廉「まーた、これだから兄ちゃんたちに甘やかされているやつは…。俺の身長で、あのソファーきついやん」

確かにソファーはあるけど、寝るには小さい。

「じゃ、じゃぁ私がソファーで…」

しぶしぶソファーのほうに行こうとすると、布団の中からすっと細い腕が伸び、手をとられてベッドの中に引きずり込まれた。

廉「掛け布団を1つしかないし、ソファーじゃ寒いで?」
「きゃー!だからって、ない!ないない!」
廉「別に何もせぇへん、言うてるやろ!?ちょっとは信用せぇや!いつも海人と一緒に寝てる言うてたよな?それと同じと思えばええやろ?
それとも、俺のことを“男“としてそんなに意識しとんの?」

片腕で体を支えた廉くんの大きな猫目が、私を見下ろす。

「そんなわけないでしょう⁉︎別に!全然⁉︎同じベッドで寝ても平気だけど⁉︎廉くんなんて、海人と同じ弟みたいなもんだし!」

ベッドは広いし、別にくっついて寝るわけじゃないしね。端と端に寝れば、結構距離あるし。

「じゃぁ私こっちで寝るから、廉くんはあっちね! 1番端っこね‼︎」
私がムキになって、落ちそうな位ベッドの端っこに横たわると、「へいへい」と呆れた様子で、廉くんも反対側のベッドの端までゴロゴロと転がっていった。

そうだよ、廉君は弟の友達だから、弟みたいなもんだし。
彼氏の弟なんだから、本当に弟になるかもしれなかった人で…。

このまま、私が紫耀くんとずっと付き合って、結婚とかしたらの話だったけど…。
もうそんな事はなくなっちゃったけど…。

本当に、なくなっちゃったのかな…。
もう、紫耀くんとは終わりなのかな…。

1人で暴走してるかもしれないけど、私は本気で紫耀くんと結婚したいと思ってた。
この先、紫耀くん以上に好きな人なんて、絶対現れるはずがないって確信してた。

それなのにこんなに簡単に壊れてしまうなんて。

きっとそれを決めるのは私。紫耀くんとの関係を壊すも修復するも、私にかかっている。

私が、紫耀くんのしていたことを許せるかどうか。

紫耀くんが、好きだよ。
今でも好き。
いっそ、何もなかったことにして、受け入れることはできないだろうか。

でも…。

紫耀くんも、もしかしたらこのホテルに来たことがあるかもしれない。もしかしたら、この部屋の、このベッドで、したことがあるかもしれない。

そう思ったら、
やっぱりどうしても受け入れることができない。

許せないのに、忘れられない。

私は一体どうしたらいいの…?

廉「泣いとんのか?」

息を殺して静かに涙だけ流していたつもりなのに、廉くんに気づかれていたみたい。
ベッドの端っこから小さな声が届いた。
部屋の電気を落として、ムーディーな間接照明だけが揺れている。

「男の人ってさ、好きじゃない人とでもできるものなのかな?」
廉「俺はできん」
「そうなの?めちゃくちゃ遊んでてもおかしくない顔なのに」
廉「どんな顔やねん。俺は好きな子としかせえへんっちゅーねん!」

その言葉、紫耀くんが言ってくれたらどんなに良かったか…。
また涙が溢れてきて、グスンと鼻をすする。

するとゴロゴロゴロっとベッドの端から勢い良く廉くんが転がってきて、そのままガバッと抱きしめられた。

「キャーー⁉︎今、”しない”って言ったばっかりじゃん!」
廉「誰とでもはせんけど、好きな子とはする言うたやん!」

そうだった…!こいつ、私のこと好きなんだった…!

やばい、やられるぅーーッ!┌(; ̄□ ̄)

廉「でも何もせんから安心せい言うとるやろ!?そんなぐずぐず泣いてるから、放っておけんだけや。」

「でも、だって好きな子とはするって…。私の事好きなんでしょ…?」

廉「好きやで。でもやらん。

俺は、好きな子としかやらん!そんで、俺のことを好きな子としかやらん!」

後ろから抱きしめられられながら背中に感じる薄っぺらい体は、確かに海人と同じような感覚だったけど、それはやっぱり弟じゃなくて男の人のぬくもりで、それなのにきっぱりと放たれた言葉は、なぜかものすごく信用できて、恐怖心は一切なくなっていた。

だからtrust me (僕を信じて), my princess(僕のお姫様)
僕だけのmy princess
君だけにall my love(僕の全ての愛を)
捧げるよforever(永遠に)
どうかこのままcome with meついておいで

King & Prince「you are my princess」

作詞:KOMU,作曲: Josef Melin

朝帰り

あ、れ…本当に何もそれなかった… (チーン)

いや、いやいやいや!何かされたかったと言うわけではなくて!

でも、「好きだ」と言われて、あんな風に一晩中後ろから抱きしめられてて、「何もしない」と言われたからって、そうそう信じられるわけもなく、昨日は一晩中緊張して眠れなかった。

それなのに結果、本当に何もされないと言うのも、女としてどんだけ魅力なかったんだろうかと、ちょっと複雑な気持ちになるわけで…。

廉くんって、こんな見た目イケイケのギャルおフェイスなのに、案外マジメなのかな…?

廉「危ない…!」

廉くんに手を引っ張られ、我に返る。

「何しとんねん!?踏み切り閉まってんぞ!」

早朝にホテルを出て、昨日眠れなかったせいでぼーっとしている頭で、いろいろなことを考えていたせいで、踏み切りが閉まっていることにも気づかず、そのまま突っ込んでいくところだった。

廉「全くしゃーないなぁ。危なっかしくて、1人にしておけんわ。家まで送るわ」

廉くんはワシャワシャと頭をかきながら、めんどくさそうに言う。

本当はそこで別れるはずだった踏切を、2人で渡る。

だけど、送ってもらわないほうがよかったと後悔するのは、そのすぐ直後…。

「花凛…!廉…やっぱりお前か…!?」

家の前で待ち構えていた紫耀くんが、私に気づき駆け寄ってきて、そして横にいる廉くんと見比べ、ものすごく怖い顔をしている。

紫耀「昨日、優太から“花凛は友達の家に泊まるらしい“って連絡来たけど、廉が家に帰ってこないから、もしかしてと思ってたんだよ。

廉、お前、なに花凛を連れ回してんだよ…!?」

「違うよ!昨日は、私が家に帰りたくないって言って、それで廉くんが一緒に…」

…一緒にホテルに泊まってくれたんだよ、とは言えない。

別に何かあった訳じゃないけど…いや何もなかったとは言えないか。

好きだと告白されて、一緒のベッドで後ろから一晩中抱きしめられながら寝た。

これは完全に世の中的にはアウトだろう。

だけど、紫耀くんがしたことの方がひどすぎて、逆に私たちがしたことなんて清廉潔白…!!

紫耀「花凛!ちゃんと話そう!こっちこい…!」

紫耀くんが私の腕を掴んで、ぐいぐいと引っ張る。

「痛い…!痛い!紫耀くん離して!」

それでも紫耀くんは全く聞く耳を持たない。

どちらかと言うとチワワみたいなかわいい系の顔の作りなのに、キッと上がった凛々しい眉の眉間を少ししかめ、くっきりとした目を最大限に見開いてどこかをにらみつけている紫耀くんは、背筋が凍るほど恐ろしいオーラを放っていた。

廉「や、やめぇや…!離せっ‼︎」

体当たりするかのように、私と紫耀くんの間に割って入ってきた廉くんは、私の手をきつく握る紫耀くんの手を引き剥がそうと、両手でその手をこじ開けようとしているが、全然効果はないらしい。

振り返ってすごく冷たい視線を廉くんに向け、紫耀くんは小さな虫でもひねり潰すかのように自分の手にまとわりついている廉くんの手を、もう片方の手で取ってポイと投げ捨て、そしてまた私を引っ張って歩いて行こうとする。

「紫耀くん!痛いってば…!離して…!」

廉「ぅおら~~っ!!」

廉くんは、また効果のない体当たりをして、がむしゃらに紫耀くんの体に食らいついた。

廉くんの方が背が高いのに、その姿は、まるで全くかなわない父親に向かっていく子供のように見えた。

廉「やめて…やめてください…痛がってるから…離してあげてください。お願いします…」

ついに廉くんは、力では全くかなわないと観念したのか、今度はうなだれるようにして、震える声で頼み込む。

はっとして紫耀くんが手を離す。

廉くんは泣いていた。

泣きながらも、放たれた私の手をすかさず取って、ぎゅっと握ってきた。

廉くんはガタガタと震えていて、紫耀くんは青ざめた顔で立ち尽くしていた…。

廉の父親

廉「俺の親父さ、紫耀のお母さんに暴力振るって、離婚されたんよね。」

今度ゆっくり話す時間を持つと約束して、紫耀くんには帰ってもらった。

さっきまですごい剣幕だったのに、紫耀くんはあっさりと引き下がった。

そんな紫耀くんの態度の変化も含めて、先程の二人の態度には何かあると直感し、事情を聞くために廉くんには家に上がってもらった。

私の手を握り震える廉くんは、さっき私を紫耀くんから取り返そうとしていた勢いは跡形もなく、私にすがりついて恐怖に怯えているように見えて、ほってはおけないと思った。

「俺の親父もさ、懲りずにまたすごい美人の紫耀のお母さんなんて好きになってもーたもんやから、また浮気されるんちゃうかって心配で心配で、結婚したとたん束縛が激しくなってったらしい。

紫耀のお母さんは全然そんな女やあらへんのに、前に痛い目見たのがほんまにトラウマみたいになってたんやろな。

それで、仕事先とかにまで監視に行くようになって、”今日店長と楽しそうに話してたー”とかケチつけるようになって、それがどんとんエスカレートして、暴力になって…。

一度、紫耀がお母さん守ろうとして突き飛ばされたことあって、それで紫耀のお母さんはすぐに離婚決めたみたいなんや。

結婚してから、1年も経たんうちの事やった。全く親父もしょうもなさすぎるやろ」

知らなかった…そんな事情で紫耀くんのお母さんと廉くんのお父さんが離婚していたなんて…。

ふと、離婚する時、廉くんはお父さんの連れ子なのに、お父さんに連れて行かれなかったんだ…?という疑問が浮かんだ。

でも、暴力を振るうような父親だから、連れて行かれたら危険だしな…。

「お父さん、廉くんにも暴力を?」

廉「いや、俺にはない。でも、紫耀のお母さんが、たぶんあの父親と一緒に暮らすのは危険だと判断して、俺を引き取ってくれたんや」

「すごい…紫耀くんのお母さん、かっこいい…」

私が知ってる頃の紫耀くんちも、もともとシングルマザーで生活にゆとりがありそうには見えなかった。

それが、もう1人、他人の子供を引き取って育てるなんて。しかもたった数ヶ月、まだ自分の子供として情がわくほど一緒にいたわけじゃないはずなのに。

廉「うん、だからすごい感謝してる。

3人暮らしになってから、生活は大変だったはずやけど、紫耀のお母さんは必死に仕事掛け持ちして働いてくれて、お母さんが家にいられない分、紫耀がご飯とか作ってくれて俺の面倒みてくれた。

なんやアパートの更新の都合か何かようわからんけど、うち、めっちゃ引っ越し多くて、転校しない程度に、近場で転々と5回位引っ越しして、そういうのもあってめちゃくちゃ金かかってさ。

働き過ぎて、紫耀のお母さんがいちど倒れて、その頃ちょうど紫耀が高校生んなって、バイト始めるようになって、その頃から引っ越しもせんようになって今のアパートに落ち着いて、それでちょっと生活も落ち着いてきたっていうか。

でも、まさか紫耀がそんなバイトして金稼いでるなんて知らんかったから…。言ってくれれば、俺やって少しはバイトして生活の支えになったのに、紫耀も紫耀のお母さんも、いつも“廉はいいから“って。そう言われるたび、いつも、俺は本当の家族ちゃうんやなぁって、寂しかった…。」

いつも廉くんが「紫耀のお母さん」って言うの、気になってた。廉くんにとって、自分を引き取ってくれた人だけど、本当のお母さんって思えるようにはなっていないのかなって。

紫耀くんや紫耀くんのお母さんが、廉くんを大事にしてきたのはわかるけど、その気遣いが逆に廉くんを孤独にしてしまっていたんだね…。

廉「でもさぁ、紫耀のお母さんが紫耀ばかりを頼るのは当たり前なんよな?」

「え?どうして?」

廉「紫耀のお母さんが殴られた時、前に立ちはだかったのは紫耀だけやった。俺は、後ろで1人、おびえてうずくまって泣いてるだけやった。」

「そ、それは…仕方ないじゃん。紫耀くんにとっては本当のお母さんだもん。廉くんにとっては、今ではすごく感謝しているお母さんかもしれないけど、その時はまだ再婚して数ヶ月だったんでしょう?紫耀くんとお母さんへの想いが違ったって当たり前だよ」

廉「本当の母親のことも助けなかったとしたら?」

「え…?」

廉くんは虚ろな瞳で遠くを見つめるようにして言った。

廉「親父、俺の本当の母親にも、暴力ふるってたことがあったんや。俺、まだ小さかったからようわからんかったけど、紫耀のお母さんが殴られた時、今までの記憶がぶぁって記憶が蘇ってきたんや。

父親が暴力振るうような男やったから、母親が他の男に走ったんか、母親が浮気者やったから父親が暴力を振るうようになったのか、それはわからん。

でも、父親は母親を殴ってた。俺は、それに気づいていて、母親を助けなかった。1人で布団をかぶって、ガタガタ震えていただけやった。

だから、母親に捨てられても、仕方のない子供やったんよ。

俺が先に、母親を見捨てたんやから…」

廉くんがうつむいたままズボンの膝のところをぎゅっと握り、ポタリと大粒の涙がたれた。

「廉くん…!」

気づいたら、ガバッと廉くんを丸ごと抱きしめていた。

「しょうがない、そんなのしょうがないじゃん…!廉くん、その時子供だったんだもん!お父さんに立ち向かったって勝てるわけないじゃん!お母さんを守れなくてもしょうがないよ!廉くんが悪いんじゃない!廉くんが悪いから捨てられたんじゃないんだよ!

廉くんだって辛かったよね!お母さんのこと守れなくて、辛かったよね…!」

(廉サイド)

こんなふうにずっと誰かに抱きしめて欲しかった。

ずっと誰かに許されたかった。

自分が母親を守れなかったことから目を背けるために、母親の浮気癖ばかりを恨んできた。

母親が出て行った理由を、”父親の暴力”じゃなくて”母親の浮気”としていたのは、そう、自分の罪をごまかすため。

今まで誰にも言わなかった秘密を君に打ち明けるのは、俺の全てを知った上で、受け入れてほしいから。

最初は、紫耀に勝ちたい気持ちだけで興味を持った。

次は、母親に似ていることに気づいて気になりだした。

でも今は、ただただ純粋に、君が好きだ。

Let you know (知って欲しい)今この瞬間は君だけのtop secret

飾らない僕をlet me show you now(君に見せたい)

last night(昨夜) 胸の鼓動が眠れない程にbeating(ドキドキした)

君のせいだろうねbaby

King & Prince「you are my princess」

作詞:KOMU,作曲: Josef Melin

紫耀が紫耀のお母さんを守るために、俺の父親に立ち向かったのを見て、衝撃を受けた。

絶対にかなわない相手に向かっていくかっこよさ。

大切な人を絶対に守るんだという男らしさ。

俺はその時に紫耀に対して完全なる敗北を喫し、それと同時に強い憧れと嫉妬の感情を持った。

それから一度だって、紫耀に勝てたことなんてないけど、でも、いつか大切な人ができた時には、あの時の紫耀みたいにその人を全力で守るんだと、ずっと思い描いてた。

まさか、その立ち向かう相手が、紫耀だなんて、思いもしなかったけど…。

ずっと憧れ続けてきた絶対的ヒーローであるはずの紫耀が、親父と同じように嫉妬に狂って力ずくで女をどうにかしようとする姿なんて見たくなかった。

暴れる父親を思い出して、体がガタガタと震えた。

でも、俺はもう部屋の隅で震えて何も出来ない小さな子供じゃない。

それに、どんなにかなわない相手だったとしても、大切な人を守るために俺は立ち向かうとずっと決めていた。

だから

だから

俺を抱きしめる花凛の体を一旦離し、その手をギュッと握り返す。

廉「好きや。俺にはお前しかおらん。花凛のことが、ほんまに好きやねん」

だからお願い。

迷わずに俺の手を取って。

君じゃなきゃ in my heart(僕の心は)

満たされない need your love(君の愛が必要)

どうか迷わず take my hand(僕の手をとって)

離さないで

King & Prince「you are my princess」

作詞:KOMU,作曲: Josef Melin

そして花凛のもう片方の手が、俺の手の上に重なる…。

続く

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