キンプリ妄想歌詞小説「Doll」6話~もしもボックスで願うこと~

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こちらはキンプリの曲「Doll」の歌詞からインスパイアされた小説です。

前のお話はこちら↓

キンプリ永瀬廉小説
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ドラえもんの秘密道具、一番コスパがいいのは?

廉「まずは家具屋でいい?」

花凛「うん!先に大物見て~、ご飯食べて~、それで小物系の必要な物買って帰ろ!」

廉「おっけぇ~」

運転席に座った廉が、ハンドルを大きく回して角を曲がっていく。

今日は、家族でお買い物。
大きな家具は持ってくるよりも買いなおした方が安いということで、ほとんど前の家に置いてきてしまった。実家では、2階全部を私たちで自由に使っていいと言ってくれていて、お母さんは完全にこの先もずっと二世帯で住むことを狙っている。

廉「自動車学校の方は順調?」

花凛「えっ…!?あー、えーっと…」

廉「その感じやと、順調ではないな?花凛、運転とかめっちゃ苦手そうやもんなぁ(笑)」

紫耀くんのことが思い浮かび、返答に口ごもってしまったが、廉はそれを教習に苦戦しているからだと思ったみたい。(それもあながち間違ってはいないのだけれど)

廉「無事、免許取れそう?」

花凛「うーん、微妙(笑)」

廉「はは。花凛めっちゃ運動音痴やもんな」

花凛「いっそ未来の世界でどこでもドア発売されるのを待った方が早いんじゃないかと思うよ」

廉「どこでもドアって、値段いくらか知ってる?」

花凛「え、知らない。めっちゃ高そう」

廉「そう思うやん!?ところがびっくり!どこでもドアって64万円なんやって!職場の人に教えてもらった」

花凛「えぇ!?めっちゃ安いじゃん!!絶対買う!今すぐ買う!!そしたら苦労して免許なんて取る必要ないじゃん!?」

咲人「ぼくもどこでもドアほしい~~!そしたらすぐに学校行けるもん」

後部座席から、咲人が話題に入ってくる。

廉「でも、現実的にどこでもドアって使いづらいと思うんよな。家からどっか行くはええけど、その後どこでもドアの置き場所に困らん?いつもはドラえもんが一旦ポケットにしまって、また帰るときに出してくれるからええけど、どこでもドア単体でもらった場合、あんなでかくてかさばるもの持ち歩けへんし、かと言ってそこらへんに置いといたら、あんな日本一有名なピンクのドア、絶対盗まれるから!!だからドラえもんとセットやないと、使えへんってことやな」

花凛「うーん、そっか…じゃあタケコプターでもいいや!」

廉「でもな、タケコプターもあかんねんで?あれ、ドラえもんの世界だと普通に使ってるけど、普通のこの世界でタケコプターで飛んでる人おったら、めっちゃなにあれ!?ってみんなに見られるやん。恥ずかしいで?スカートなんて履いてたらパンツ丸見えやで?あれは石ころ帽子とセットやないと使えへんな。あ、ちなみにタケコプターは1個15000円らしいで?めっちゃ安いよな?」

花凛「15000円!?それ、今すぐ買うじゃん!家族分買う!」

廉「やな。みんな買ったら指さされんくなるけど、今度は飛んでる人いっぱいおって危ないから空に信号とかできて、結局タケコプターも免許取らないとあかんくなるな。そんで空でも渋滞起こるから、結局車と同じやな。てか、寒い暑いがあるあら、むしろ車の方が便利ってことになるな」

花凛「えぇ~~じゃあダメじゃん!じゃあじゃあ!廉は、ドラえもんの道具の中で一つだけもらえるとしたら何がいいの?」

廉「うーん俺やったらぁ~、何やろなぁ…グルメテーブルかけ…も捨てがたいけど…、でもやっぱりもしもボックスかな。

もしもボックスがあれば、さっきの移動の件も”瞬間移動ができる体質だったら”って願えば解決やし!

あとは、”もしも花凛がめっちゃ料理が上手だったら”とか(笑)」

花凛「ちょっとー!なんで私にばっかやらせようとすんのよ!この亭主関白!だったら、私だって”もしも廉がめちゃくちゃ家事を手伝ってくれる旦那さまだったら”ってお願いするから!」

廉「え~。じゃあ、いっそのこと”うちが家政婦さん雇えるくらいお金持ちだったら”にしとくか!

花凛は?何の道具欲しい?」

花凛「私は~、着せ替えカメラかな!そしたら500円で雑誌1冊買って、オシャレな服着放題じゃん♡」

廉「それやったら、もしもボックスで、”いっぱい服が買えるくらい、お金持ちやったら”って願えばええやん?」

花凛「置き場に困らない?」

廉「やったら、”めっちゃでっかい家に住んでたら”って。いっそのこと、”大富豪やったら”って頼めばええやん?

それにもしもボックスを最初に手に入れて、”もしもうちにどこでもドアがあったら”とか”もしも家にドラえもんがいたら”って言っちゃえばもう無敵やで?何でも手に入る!だからもしもボックスがいっちばんコスパがええってことやな!」

花凛「ほんとだー!すごい!廉、あったまいいー!!」

秘密の共有

「ママ~トイレ~!」

家具屋さんのソファからストンと降りた咲人が、ジタバタする。廉は気になってるソファがあるようで、店員さんと話し込んでいる。

本当はトイレには廉に付き添ってもらいたいんだけど、仕方がない。

花凛「咲人、男の子の方行ける?女の子の方でもいいよ?」

トイレの前で問いかけると、

「ぼく、男の子の方行ける!」

と男子トイレの方に駆け込んで行った。

最近のお店は、女子トイレにも子供用の立ってするトイレがある場合が多い。でも、小学校に上がってから、咲人は女子トイレに入るのを嫌がる。

意気揚々と一人で男子トイレに入っていった咲人だったが、しばらくすると半べそをかきながら出てきた。

咲人「マ~マ~~!流すとこわかんな~い!」

花凛「えぇっ!?なんか、上の方にボタンないの?」

咲人「だって、押してもジャーってなんないんだもん」

大人用のだと、ボタンが高い位置にあるので、やっと届いてもグッと押さないとボタンが反応しないのかも。

花凛「えー、どうしよう、中入れないし…がんばってもう一回押してみて!グッと!」

咲人「えーん!できなーい…!」

中から咲人の泣き声。

えーどうしよ。だからトイレの付き添いは廉にやってもらいたいのにぃ~~!!あーもう、誰も中にいないなら、入っちゃおうかな!?

「あ、あのー…」

後ろから声をかけられた。

振り返ると、

「しょ、紫耀くん!?」

「え、花凛!?何やってんの!?」


花凛「ほんっとごめんね…ご迷惑をおかけして…」

紫耀くんに連れられてトイレから出てきた咲人を隣に抱えながら、紫耀くんにペコペコと何度も頭を下げる。

紫耀「いや、別にそんな謝ることでもないって。ボタン押しただけだし」

花凛「いやいやいや、トイレのお世話してもらうとか本当に申し訳ない!!」

紫耀「てか、見つけたのが俺でよかったよ。男子トイレの中、必死に覗いてる怪しい女って不審者通報されるところだったよ?」

「えっ…///」

恥ずっ…!!

紫耀「今日は家族で来てるの?」

花凛「え、あぁ、うん、そう」

紫耀「廉に、挨拶したほうがいいかな」

うっ…!それはちょっと昨日の流れからだとやばいかも…!なんか昨日、浮気の話とかにもなったし、廉に紫耀くんのこと話してなかったの、すごく勘ぐられそう。

花凛「あ、えーと、実は廉に紫耀くんと会ったこと言いそびれちゃって、突然だとびっくりしちゃう…かな」

紫耀「へー、そっか…」

プルルルル

紫耀「あ、ちょっとごめん…」

紫耀くんがズボンのポケットからスマホを取り出す。

「あ、もしもし、あ、そう、トイレ。え?あ~トイレすごい混んでて!あーいや、いい、いい!もう戻るから!すぐ行く。はい、はーい」

紫耀くんは電話を切ると、

「ごめん、俺もう行かなきゃだから、廉に会うのはまた今度ゆっくり」

と言った後、しゃがんで咲人と目線を合わせた。

「もしまた困ったときは、いつでも呼んで?助けに来るからね」

紫耀くんは、咲人の頭をなでると、少し慌てたように駆けていった。


廉「ソファ、ほぼ俺が決めちゃったけど、あれでよかった?」

花凛「うん、いいよ、いいよ!廉、かなり気に入ったみたいだもんね。いいの見つかってよかったね」

廉「でも、あれ人気商品で、来るまでけっこうかかるんやって~。あ~、早く欲しいな~」

花凛「廉がこっちに引っ越しするまでに、ゆっくり家具とかいろいろ揃えればいいよね」

廉「あ~、早く3人で暮らしたいわ~。な~、咲人~?」

廉が咲人を抱きしめながら、どさくさに紛れて私のことも抱きしめる。

花凛「はいはい、わかったから外でイチャイチャしない」

廉「相変わらず冷たいなー。じゃあ外じゃなかったらイチャイチャしてもええってことやな?」

咲人「イチャイチャ~?」

廉の腕をするりと抜け出すと、廉は「ちぇー」と少し拗ねながら前を歩きだした。

お金じゃないもの

紫耀「うわぁ~~~っ!ストップ、ストップ!!」

ブレーキを一気に踏み込むと、ガクンと車が止まった。

紫耀「花凛、週末で先週習ったこと、全部すっ飛んでない??」

花凛「あ、はは、そうかも…」

月曜日、朝から教習所に来たけど、紫耀くんの言うように土日運転してなかったから、すっかり習ったこと忘れちゃったみたいで、また初日に逆戻りの運転技術になっている…。
いや、”運転技術”というほど、先週何をできるようになっていたわけでもないんだけど。それにしてもひどい…。

花凛「はぁ~~、もう、なんで私ってこんなに運動神経がないんだろ…」

紫耀「運動神経なのか?これは。でも、確かに今までの教習生の中でも絶望的にセンスないかも」

花凛「がーん… はぁ~、もうほんと、どこでもドア欲しいよ~~」

紫耀「どこでもドア?」

花凛「そしたら、車なんて必要なくなるでしょ?」

紫耀「うーん。でも、俺、もしもどこでもドア持ってても、車は乗るかな」

花凛「えー?なんで?」

紫耀「まず車って移動手段としてっていうか、乗り物として好きだしさ。ドライブって気持ちいいじゃん。渋滞は嫌だけど。あ、でも隣に誰か乗ってれば、渋滞でもいいかな。車の中でこうやってくだらない話するのとかってなんかよくない?一瞬で移動できちゃったら、それこそ、ドラえもんの道具の話とか、絶対に話題に出ないじゃんね(笑)こうやって好きな人と同じ方向いてさ、こうやってたわいもない話したりするのって、なんかいいじゃん。」

花凛「え…」

「隣に誰か」が「こうやって好きな人と」になってて、ちょっと戸惑う。

紫耀「ん…?あ、違うよ!?好きな人とって、そういう意味じゃないからね!?一般論として…!!」

花凛「あ、うんうん、わかってるわかってる!!」

またなんかぎこちない空気になっちゃった。

花凛「あ、じゃあさ!紫耀くんはドラえもんの道具でどれか一つだけ手に入るってなったら、何が欲しいの?」

紫耀「俺?俺は、タケコプター!」

花凛「タケコプターも便利だよね。でもね、あれってドラえもんの世界だから普通に使ってるけど、この世界でタケコプターで飛んでたら、めっちゃ人に見られるよ?恥ずかしいよ?」

廉のうけうりで話題を広げてみる。

花凛「それでね、タケコプターってひとつ15000円なんだって。安くない?」

紫耀「えぇっ!?安っ!!絶対買う!!」

花凛「でしょー?そしたら、みーんな買ってさ、空でも渋滞とか起っちゃうんだよ。そしたら結局早く移動できないんだよ」

紫耀「別に俺、移動手段のためにタケコプター欲しいわけじゃねーもん」

花凛「え?」

紫耀「俺はただ空飛んでみたいだけ。気持ちよさそーじゃん?」

なんか、目からウロコな気分だった。

ドラえもんの道具でどれ欲しい?って話題が出るとき、どれが一番お得か、便利か、使いまわしがきくか、そんなことを一生懸命考えてしまう。

”便利”とか”お金”に関係ない道具を答えた人って、初めて見たかも。

ただ、空を飛びたい。

時間が節約できるわけでもない、お金が節約できるわけでもない。

それでも、その時間を楽しみたい。

ただそれだけで理由は成立している。

どこでもドアがあっても、好きだから車に乗るという紫耀くんらしい、なんてピュアで素敵な答えなんだろう。

キーンコーンカーンコーン。

紫耀「あ、やっべ。無駄話してたら、時間終わっちゃったよ!今日はこれ、さすがに丸あげらんないわ~」

花凛「”無駄話”じゃないよ。なんか紫耀くんと話して、すっごく心洗われた!」

紫耀「心洗われた??なにが??」

花凛「こういう時間が楽しくて大切ってことだよね。どこでもドアでいつも忙しがってたら、生まれない時間だもんね」

そもそもどこでもドア持ってたら教習所に通わなかったから、紫耀くんと再会できてなかったしね。世の中にどこでもドアがなくてよかったよ。

紫耀「あれ、でも花凛、この前も丸もらえてないじゃん。2回連続!?」

花凛「え?…あーっ、そうだ…、先週の金曜日、大坪先生だったんだけど、落とされちゃってさぁ…」

紫耀「あー、大坪先生、結構厳しいからなぁ。でも甘くつけて外で事故ったら大変だからな。言い方とかキツイからちょっと誤解されやすいけど、 、真面目なだけなんだよ」

紫耀くん、あの人のことかばってるんだ、やっぱり好きなのかな、付き合ってるのかな。

紫耀くんって大坪先生と付き合ってるの?って聞いてみようか…。

紫耀「じゃあ、次は絶対丸あげられるように俺が教えてやるよ。明日は来る?」

花凛「え?次も紫耀くんが見てくれるの?そういうのって調整できるものなの?」

紫耀「ある程度は。来る時間とはわかってれば。」

お、これは自然な流れで連絡先を聞けそうな流れ…?聞いちゃうか?いや、でも、なんで?って思われる?何をメールしてくる気だよ?って思われる?
いや、だから教習所に来る日を連絡するだけだって。うーんでも、だからそれを今聞いてんだから、ここで答えればいいだろって?

あーダメだ!やっぱり聞けない!

花凛「じゃあ、明日も9時くらいで!」

紫耀「オッケー!じゃあ待ってる!」

ま、いっか…。別にメールとかしてまで連絡取るような用事ないしね。ここに来て教習中にちょこっとたわいない話をできるだけで、十分楽しいし。

それに、ね…紫耀くんが本当に大坪先生と付きってるなら悪いしね。

というか、私もだ。廉にまだ紫耀くんと再会したこと言えてないし。

それなのに紫耀くんと連絡取り合ったりしてたら、廉、発狂しちゃう。

私と紫耀くんは、教習所の先生と生徒。

それ以外で会うことも連絡取ることもないし、そうするつもりもない。

紫耀くんと再会したことで浮かれていたのは事実だけど、廉を裏切るつもりなんてこれっぽっちもないのだから。

とりあえず今のうちは黙っておくよ(Ren side)

ハンドルを握る花凛が少し首を傾け楽しそうに笑う。

どういった会話をしているんやろう、目を丸くしてみたり、感心したように頷いてみたり、そしてその後にはやはり楽しそうに笑う。

助手席に座る男と見つめ合いながら。

それはそれは幸せそうな光景だった。

花凛と咲人に会いたくて、金曜のうちにこっちに来て、週末、家族で幸せな時間を過ごし、ギリギリまで一緒にいたいから、月曜の朝一の新幹線で東京に戻ることにした。

ということにしておいたが、こっそり新幹線の時間を遅らせた。

金曜の夜、明らかに花凛の様子がおかしかった。

まず、指輪を外していた。浮気の定義について詳しく聞いてきた。

その後、珍しく向こうから積極的にシてくれた。

俺が「隠していたら浮気」と言ったら、表情が変わった。

新しい出会いでもあったのかと疑った。

もしそうなら学校関係、もしくは最近通いだした教習所だろうと、目星をつけた。

今までも、花凛の周りに現れる男には常に警戒していた。

パート先の店長も若いバイトも、しっかりチェックした。

でも、見ると逆に安心できた。

ちょっとしたイケおじも、若くてチャラそうなイケメンも、とうてい叶わない相手とだけ、俺はずっと戦っているんやから。

花凛の心の中からずっと消えずにいるのは、紫耀だけだから。

俺はちゃんと花凛に愛されている。

俺が勝てない相手は紫耀だけ。

他にどんなにたくさんの男が寄ってこようと、俺は花凛に選ばれる自信がある。

たった1人、紫耀だけを除いては。

だから、紫耀が突然姿を消した時、みんなと同じように心配しているふりをして、俺は密かにホッとしていた。

紫耀がいる限り、花凛がどんなに俺を好きだと言ってくれても、俺は安心することができなかった。

だから、考えてしまうんや。

紫耀がこの世から消えてくれればいいのに…。

血の繋がらない俺を弟として受け入れてくれて、ずっと大切に守ってくれた紫耀に、そんなひどいことを。

だから、紫耀が姿を消したと聞いた時に、本当にホッとしたんだ。

そんな忌まわしいことを、もう二度と考えずにすむように、この先もずっと、俺たちの前に姿を現さないでくれと、心の中で願った。

それなのに、今、花凛が幸せそうに笑うその隣に、紫耀がいた。

なんで?

なんで紫耀が?

え?紫耀がこっちにいることを知っててこっちに引っ越すことにした?

いや、違う。こっちに引っ越すことを勧めたのは俺や。

じゃあ本当に偶然?

じゃあ、なんで花凛は紫耀に会ったこと、俺に言わんかった?

紫耀に会うから、指輪を外したん?

もう2人はすでに…

ドラえもんの道具で1番欲しいのは、もしもボックスって話した。

理由は1番コスパが良くてお得やからって。

でも、もし本当にもしもボックスが手に入ったら、俺は違うことを願う。

金とか得とか、そんなんどーでもええわ。

金ではどうにもできないことを願う。

紫耀がいなくなれば…と願って、それが叶ったと思っても、それでも俺はずっとビビってた。

いつか紫耀がまた俺たちの前に現れて、俺から花凛を奪っていくんやないかって。

それがずっと怖くて、花凛の中からずっと紫耀が消えていないのが耐えられなくて、紫耀の思い出からさえも引き離そうと、引っ越すことを強く勧めたのに。

なんや、完全に墓穴掘っとるやん。

それとも、2人が運命の糸で引き寄せられてるってやつ?

ずっと恐れてたことが、やっぱり起こってもーたやん。

だからな、俺はもしもボックスがあったら、こう願う。

紫耀という存在が、最初からこの世界になかったら…。

心の中にグルグルと黒い渦が沸いてきて、今にもこのフェンスを飛び越えて、2人が笑うあの幸せな空気漂う車内に飛び込んで2人を引き裂いてしまいたい。

だけど、とりあえずまだ黙っておこう。

早まった行動をして、花凛を失いたくない。

きっと2人は何もない。

本当に偶然再会しただけや。

花凛が俺に紫耀と会ったことを言わなかったのも、ただ言いそびれてしまっただけやろう。

そのうちきっと話してくれる。

これは、俺が花凛にあげる猶予。

話してくれたら、2人には何もないと信じよう。

俺は、

花凛を信じてる。


7話に続く。

コメント

  1. リノア(ちゃちゃすいっちさん大好き!) より:

    名前変えました!!
    dollの7話、楽しみにしています!!
    ほんとに!

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