キンプリ妄想歌詞小説「Doll」1話〜再会〜

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君が俺の方を見て笑ってくれたらって、ずっと夢見てた。
夢が現実になって、それでもずっと不安やった。
いつかこの幸せな夢が覚めてしまうんやないかって…。

永遠に君を失わないようにするには、どうすればいい?
いっそガラスケースの中に閉じ込めて、誰の目にも触れさせないように、部屋の中に飾っておきたい。
そして俺だけに、永遠に微笑みかけて…。

このお話は、「雨音」「Seasons Of Love」の続編です。←こちらの小説をまだ未読の方は、ご注意ください!いきなり結末のネタバレあります!!

雨音は、しょうれんとの三角関係のお話で、最後までどっちとくっつくの!?というストーリーでした。ネタバレしちゃうと、廉と結ばれるのですが、その結末には賛否両論で、「紫耀くんとくっつくバージョンも書いてほしい!」というリクエストをいただきました。そういうパラレルワールドで紫耀くんVer.も書いてみようかな~と思ったのですが、とりあえず最初にこっちのストーリーの構想があったので、続編としてSeasons Of Loveのラストから8年後?くらいの設定で書いていこうかなと思い、執筆を始めました。

テーマ曲は「Doll」です!

ま、この曲を使うって時点で、なんか暗い話になりそうな予感がするのと、やはりキンプリ脱退ニュースで私の心がまだ平常心ではないということをふまえた上で、心してお読みください。
Dollって、めっちゃ闇落ちソングですからね~。

※ルンルンキュンキュン系のお話が好きな方にはオススメしません。

キンプリDoll歌詞小説
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幸せな結婚

「無事についた?」
「咲人(さくと)の体調はどう?」
「週末には俺もそっち行くから」

新幹線から降りる前に携帯をチェックしたときに、廉から立て続けにメールが入っていることに気付いたけど、息子の咲人の手を引いて荷物を抱えてとても返信できる状態ではなく、そのまま忘れていた。
実家についてほっと一息ついているときに思い出してまた携帯を開くと、

「あれ?まだ着いてない?」
「着いたら連絡して!」
「おーい」

というメッセージがまた追加されていた。

相変わらずちょっとストーカーっぽいな…なんて、クスッとする。

「なぁに~?携帯見てひとりで笑って。廉くん?」

お母さんがからかうように言いながら、私の前にお茶を置いてくれる。

「あぁ、うん、なんかストーカーみたいにいっぱいメール入ってて、おかしくってさ」

母「ほんとに、愛されてるのね~。あんなにイケメンなのにこんなに一途なんて、ほんと理想の旦那様よねぇ~、ほんと、お母さんも廉くんに感謝しなくっちゃ」
お母さんはほほほと嬉しそうに笑っている。

廉と結婚してからもう10年になるけど、自他ともに認める超ラブラブ夫婦。
そのラブは完全に廉→私への方向が強くて、こんなに愛されてもちろん私自身も幸せだと思うし、親孝行もできていると思うし、本当にいい旦那様と結婚できたなって思う。

廉と出会ったのはまだ高校生の頃で、私には別に好きな人がいた。その恋はうまくいかなくて、悲しみのどん底にいた私を救い上げてくれたのが廉だった。

私はなかなか過去の恋を忘れられなかったのだけれど、それこそ”ストーカーのように”廉に追いかけ回されて(と言ったら廉は怒るかな笑)、いつしか私も廉のことが大好きになった。

まぁ、ちょっとすったもんだあったものの…咲人ができたことを機に結婚し、それからはずっとラブラブだ。

もう、過去の恋を思い出すことも…ない。

母「お母さん、あんなイケメンとこれから同居するなんて、緊張しちゃうわぁ~、どうしましょ困っちゃう~」

困った困ったと言いながら、ウキウキしている。

うちの親は転勤族で色んな街を転々としていたけれど、やっと父も役職を降りて1箇所に留まれることになり、その頃住んでいた新潟に定住することになった。

私はある事情があり、高3の時に親元離れて兄の優太と弟の海人と3人暮らしをしていて、そこで出会った廉と結婚して、そのままお兄ちゃんと海人と一緒に住んでいた。

でも、最近、生まれつき喘息のあった咲人の体調が悪化して、田舎に引っ越すことを決めた。私たちが暮らしていたところもそんなに都会ではないのだけれど、工業地域なので、工場から出る煙が咲人の体に悪いのではないかと考えた。

私の両親が住んでいる新潟はすごく自然豊かな場所で、思い切って転居することにした。咲人も小学校に上がったばかりで、(まぁ本当は入学時に合わせてあげれば転校しなくてもすんだのだけれど)新しい環境に慣れるには少しでも年齢が低い方がいいだろうと考えて、急いで転校することにした。

廉はすぐには転職できないので、とりあえず仕事のキリのいいところまで終えてから、こっちで職を探すと言ってくれている。でも、私と咲人と離れることが耐えられない廉は、すぐにでも転職する!と騒いでいる。

私としては、廉が転職しなくてもいい程度の距離に引っ越す方がいいのではないかと言ったのだけれど、廉が私と咲人を2人でアパートに置いておくのが心配だと言い張って、廉に強く促される形で新潟行きを決めた。

だけど本当の理由はそれじゃない気がする。

お兄ちゃんに頼めば、隣町で5人で住んでもいいと言ってくれただろうし、海人なんて頼んでもいないのについてきそうだ。

もしかしたら廉は、私をあの町から引き離したかったのかもしれない。彼との思い出がたくさん残るあの町から…。

忘れられない昔の恋

彼と私は小学校の頃からの幼馴染で、あの町には彼との思い出がありすぎる。町を歩けば、そこかしこで彼との思い出にぶつかってしまう。

さっき、彼を思い出すことはもうないと言ったけど、やっぱりそんなの嘘だ。そう自分に言い聞かせようとしていただけ。きっと、廉には見透かされていたんだ。

だから私も、これでよかったんだって思ってる。

特に1年に1度、どうしても彼を思い出してしまう日がある。

7月7日、奇しくも今日。

高校生3年の時、近所の町内会で行われていた小さな夏祭り。家の近くの小さな神社で、花火を見ながら初めて彼とキスをした。

ずっとずっと大好きだった人と、両思いになれた日。

「これから毎年、7月7日はここで一緒に花火を見ようね」と約束した。

その約束は1度も果たされることはなく、私たちは別れてしまったけど…。

彼と別れてからも、廉と付き合ってからも、私はその約束がどうしても忘れられなくて、7月7日は毎年その神社に行っていた。

彼が迎えに来るのを待ってるわけじゃない、彼が来ないことを確認しに来ているだけ、彼が私の運命の相手じゃなかったことを確認しに来ているだけ。そう自分に言い聞かせながら…でも結局は彼を待っていたのだろう。

結局、彼は一度も来てくれなかったけれど…。

でも、だからこそ、今の廉と咲人との幸せがある。
だからこれでよかった。

そしてあの町を離れ、もうあの神社の前を通ることもない。これで本当に、彼を思い出すことはなくなるんだ。
これでよかったんだ。

彼は運命の人じゃなかった。そうだよ、決まってるじゃない。私の運命の人は、廉なのだから。

母「あ、そういえば今日、近くの神社でお祭りやってるわよ?まぁ、お祭りって言っても、町内会でやってるほんとに小さなお祭りだけどね。でも、短冊も飾れるし、いくつか出店も出るから、さくちゃん、楽しめるんじゃない?連れてってあげたら?」

「えっ…!」

思い出にふけっていたところに、”神社”と”お祭り”というワードにピクンと飛び上がってしまう。
まさかとは思うけど、聞いてみる。

「え、そのお祭りって、花火とか上がらないよね…?」

母「あぁ、確か花火やるわよ?本当に小規模なものだけど」

「へー…」

彼との思い出がいっぱいつまったあの町を出て、もう彼のことを思い出すことはなくなるんだなーなんて思っている今日が、1年のうちで一番彼を思い出してしまう7月7日で、せっかくあの町を離れたのに、近所の小さな神社とか夏祭りとか花火とか、彼を思い出させるワードがバンバン出てきて…。

なんだろう、なんだかすごくザワザワする。

母「あら、なあに?のり気じゃない返事」

「あ、ううん、何でもない!そうだね、咲人、ちょっと行ってみよっか」

お母さんに怪しまれそうなので、慌てて立ち上がり、咲人に声をかけた。

再会

田んぼや畑の間に広々とぽつりぽつりと建つ家々を通り過ぎながら、咲人と手を繋いでぼんやり歩く。

別にこの時期、町内会の小さなお祭りとかも含めれば、毎週のようにどこかしらでお祭りくらいやってるし、お祭りとなれば花火があるのも普通だし。

別に、たいした偶然でもない。もちろん運命なんかでは、全然ない。

せっかく彼とまったく縁もゆかりもない土地に来たのに、ちょっとしたことで彼と結び付けて彼を思い出す悪い癖はもうやめよう。いい加減、ほんと廉に失礼だ。それでなくても廉はすごーく心配性なのだ。

でもどうなんだろう?誰にだって、心に秘めた忘れられない恋のひとつやふたつ、あるんじゃないのかな?

結婚してからもふと思い出しちゃうような。

でも、それはただの思い出。再会してどうこうなりたいとか望んでいるわけじゃない。ただ、どこかで幸せに暮らしていてくれればいい。そう願っては、たまに思い出す。

ただ、それだけ。

咲人「あ、りんごあめー!」

神社が見えてくると、いくつかの出店が出ているのが見えた。おおきく「りんご飴」と書かれた屋台に向かって、咲人が駆けだす。

デジャヴを感じるような神社だったらどうしようとちょっと心配だったけど、そんなに景色が似ていないことにほっとして咲人を追いかける。

ほらね、運命でも何でもない…

「はい、いらっしゃぁ~い!どれにするぅ~?」

もうりんご飴の屋台の前に到着した咲人に対して、屋台の中から声をかけてくれた声に、さっきよりも、もっとピクンと体が飛び跳ねる。

この角度からだと顔が見えない。

でも、

でも…

間違いない…

忘れるはずがない、

この…声は…

「紫耀…くん…?」

咲人の横に駆け寄った私が向き合っていたのは、昔、どうしようもなく好きで好きで、ずっとずっと忘れられなかった彼だった…。

2話へ続く

コメント

  1. 風兎(ちゃちゃすいっちさん大好き!) より:

    つ、続きがぁ気になるぅ、、、!!!!
    投稿、ありがとうございます!!!!!!
    できればでいいのですが、1日に2本、公開ってできますでしょうか、、、?
    お願いしますぅ!!!!!!!

    • ちゃちゃ より:

      風兎さん、ご希望の雨音/Seasons of Loveの世界再びでございます。
      風兎さんのご希望は、”紫耀くんについていったら…”バージョンでしたが、こちらは8年後の世界の続編になります!

      一日に2本公開…っなかなかのムチャブリを…っっ(><)
      いろいろと仕事やら子供やらで忙しくて、なかなか進まないのですが、とりあえず、公開頻度を多くできるように、書けたところまででいったん公開するようにしますね!
      今から、1本公開します…!!

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