キンプリ妄想歌詞小説「Seasons of Love」15話〜Koiは優しくない〜そろそろチャンスをくれないか?

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廉視点になり、膨らむ廉の恋心が明らかに!

でも全然気づいてもらえなくて…。

 

前回のすぐ後のシーンからになります。どうぞ!

 

 

私の小説では、キンプリの曲の歌詞をもとにストーリーを構成しています。
今回は、「Koiは優しくない」です。

キンプリ妄想小説Seasons of Love平野紫耀

前のお話はこちら。

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嘘(廉サイド)

「あれ?海人、まだ帰ってきてないみたいだよ?」

玄関に鍵がかかっていることに気づいた花凛が、振り向いて言う。

 

 

廉「あ、あれ〜?海人のやつ、約束忘れとんのかなあ〜?」

「えーそうなの⁉︎じゃぁ、電話する?」

花凛がカバンから携帯を取り出そうとする。

 

廉「いい!いい!あいつ、結構普段から約束忘れたりするんよ!」

ここで電話なんてされたら、本当は約束していないことがばれてしまう。

 

「え!そうなの!?あいつ、友達との約束すっぽかすなんて!ごめんねぇ〜、今度怒っとくから!」

 

 

「全然気にせんでええから」と言いながら、花凛に続いて家の中に入ろうとしていたら、

 

「ほんとごめんね!また遊びに来てね!」

と、海人がいないのに家に上がるだなんて事は考えつきもしないと言う無邪気な笑顔で言われてしまった。

 

 

廉「え、あ、あぁ…そ、そうやな。また今度」

 

 

そりゃそうか。

何を普通に上がり込もうとしてたんやろう…。

 

くっそー、言い訳間違えたぁ〜!

「海人が少し遅れるって言ってた」とか言っときゃ、「じゃぁ上がって待ってて?」と言ってくれたはずやのに、遊ぶ約束自体がなくなったみたいに言ってもーたから、「当然帰るでしょ」みたいな雰囲気になってしまったー!

なんたる不覚!!( ̄□ ̄;)

 

 

 

チーン…。

 

「まったね〜☆」と笑顔で手を振る花凛にか細く手を振りかえし、パタンと閉じられた扉の前で、頭を抱えて心底後悔した。

 


 

(花凛サイド)

海人からのメール「あ、姉ちゃん?俺、今日彼女とデートで、ちょっとだけ遅くなりそうなんだけどさぁ、ご飯の当番代わってくれない?しかも今日、俺、メイン担当だったんだよねっ(>人<;)」

 

 

はぁっ⁉︎ご飯がどうとかじゃなくて、友達との約束すっぽかして彼女とデートしてるって、どーゆーことよ!!

完っ全に廉くんとの約束忘れてんな、海人は…。

 

呆れながらエプロンをつけて、料理の支度を始めながら海人に電話をかける。
海人はすぐに出て「あ、姉ちゃん、メール見たぁ〜?」なんて呑気な声をあげる。

 

「海人!あんた何してんの!?今日、廉くんと遊ぶ約束してたんでしょ!?廉くん、さっき家まで来てくれたんだよ!?海人がいないから帰っちゃったけど」

海人「え?廉?遊ぶ約束なんて、してないけど?」

「あ、アンタねぇ…っ!約束忘れてすっぽかすだけでも失礼なのに、約束したこと自体を忘れるなんてありえないから…ッ‼︎

海人!もっとお友達は大事にしなさい!廉くん、海人のことをすごく好いてくれてるでしょ?しょっちゅう家に遊びに来るじゃない!」

海人「いや、でも…」

 

もしかして?(海人サイド)

いや、でも本当に廉と遊ぶ約束なんてしてないんだけどなぁ…。

 

今日、学校を出るときに「これから彼女とデートなんだ〜」と廉に言って別れたけど、廉は「何分の電車かわからんからな…!」とかぶつぶつ言って、何やら急いで駅に向かっていた。
遊ぶ約束なんてしていないのは確実だったし、今日、俺が彼女とデートしていることも知ってるはず。

 

なんで廉は姉ちゃんに嘘なんてついたんだろう?

 

そして記憶を思い起こしてみる。
そういえば、違うクラスの廉が突然話しかけてきたのは、「お前、シスコンなんやって?姉ちゃんの名前、なんて言うん?」と言う話題だった。
それからすぐに仲良くはなったけど、「家行っていい?」とやたら家に来たがるようになった。

それから確かにしょっちゅう家に来ている。

 

もしかして廉は姉ちゃんの事…?
でも、姉ちゃんは紫耀と…。

 

寂しがり屋廉?(花凛サイド)

そういえば廉くんって、やたら家に遊びに来るよね?
そんなに海人のことが好きなのかな?
いや、待てよ…?

 

海人のことが好きっていうか…

 

 

 

 

 

 

 

海人しか友達いないんじゃないの!?

 

 

そうだよそうだよ、絶対そう!
なんか廉くん性格こじらせてるもんなぁ〜。
海人は誰とでも仲良くできるから、そんな廉くんとでも仲良くできるんだな。

廉くんにはきっと海人しか友達がいないんだ!

 

 

 

それに…

さっきの話では、廉くん、実のお母さんに捨てられたってことなんだよな…。
お父さんに引き取られて、その後どういった形で紫耀くんのお母さんに引き取られることになったのかは聞きそびれちゃったけど、きっと複雑な家庭環境だったんだろうな。

 

廉くんは、あんなにツンケンしてるけど、本当は人一倍孤独を抱えていて寂しがり屋なのかもしれない。
まだ紫耀くんのお母さんはパートの時間だろうし、紫耀くんはいつもバイトで忙しい。
家に帰っても、一人ぼっちなんだ。

 

そっか、だからうちに来たがるんだ!
そういうことかー!

 

だったらさっき返すんじゃなかったと後悔しながら、肉にバラバラと塩を振った。

 

 


 

 

 

優太「ただいまー!」
「お兄ちゃん、おかえり…あれ!?廉くん!?」

 

部屋に入ってきたお兄ちゃんは、「帰る帰る!」とじたばたと騒ぐ廉くんの首根っこを掴んで、「いいからいいから!遠慮すんなって!」とずるずると引きずってくる。

 

「廉くん、帰ったんじゃなかったの!?」
優太「いや、俺が帰ってきたらさぁ、こいつが家の前で頭抱えて、ちんあなごみたいに上半身だけくねくねしてんじゃん。どうしたのかと思って声かけたら、なんか海人と約束してたけどなんちゃらかんちゃらって…。よくわかんないから、まぁいいから入れ!って連れてきた!」

 

廉くん…そんなに一人ぼっちの家に帰りたくなかったんだね…‼︎。゚(゚´ω`゚)゚。

お兄ちゃん、ナイス‼︎

 

 

ボディタッチ(廉サイド)

くっそ〜、優太めぇ〜、余計なことを…!

いつまでも帰らずに家の前に立ってたなんて、俺、ほんとにストーカーみたいになってるやん!
恥ずッ!

 

 

「廉くん…」
わぁ〜花凛のやつ、怪しんでる怪しんでる…!何か言い訳せな!

 

廉「違ッ!ちゃうねんで!?ちょっとまぁ…なんつうか…あ、そうそう、メールチェックとかしてたら時間経っちゃってぇ…」
…なんて、海人以外の友達からメールが来ることなんてほんまはないねんけど…。

 

「廉くん、そんなに海人のこと好きなんだね!ありがとう!姉バカだけど、あの子、本当になつっこくて可愛いから人から愛されるのよ!これからも仲良くしてあげてね!海人に早く帰ってくるようにメールしとくから!うちでご飯食べてきなさい!ほら!座って座って!」

 

そう言って、また両手で俺の手を引っ張ってソファーへと座らせる。

だから、もうそのボディタッチやめろって…と思いながらも、伸びきる鼻の下を隠すのに必死やった。

 

海ちゃんの悪魔の微笑み(廉サイド)

 

海人「ただいまー!」
玄関の方から、甘ったるい声が響く。

 

ゲッ!海人帰ってきた…!
何とか口裏合わせてもらわんと…!

玄関にダッシュ!

 

海人「あれ〜?わざわざ玄関までお出迎えしてくれたのぉ〜?」
なんだか海人はニヤニヤしとる。

とりあえず、今日海人と約束してたって俺が勘違いしてただけ、とでも言っとくか。でも、学校を出るときに「今日は彼女とデート」って聞いちゃってるし、そんな言い訳無理か…なんてごちゃごちゃ考えている間に、花凛まで玄関まで出迎えに来てしまった。

 

 

「海人!意外に早かったね、えらいえらい!ほら、約束忘れてたこと、ちゃんと廉くんに謝りなさい?」

 

うわー、終わった…。
これで海人に「約束なんてしてない」って言われたら終わりや…。

 

海人「あーうん!廉、ごめんごめん!俺、すっかり約束したの忘れちゃってて!」

 

へ?

 

海人「家にくるって約束してたんだもんね?廉、最近よく家に来るもんね!“俺のことが“好きだからねー!」

 

あ、あれ?
もしかして、海人も本気で俺が海人のことを好きすぎて、めっちゃ家に遊びにくるって思っとる?
姉弟揃って、超鈍感…?
助かったー!

 

 

 

 

すると海人は俺の肩に肘を乗せて顔を耳元に近づけ、

 

海人「好きなのは、本当に俺なのかなぁ〜?」

 

と囁き、憎たらしいほど悪魔の笑みを浮かべた。

本命への距離感(花凛サイド)

「ただいまー!」

 

家族は全員揃ってるはずなのに、また玄関から「ただいま」の声。

 

 

「え⁉︎紫耀くん⁉︎」
特徴のあるハスキーボイス。

みんな声を聞いただけで誰がやってきたのかわかった。

 

料理をしていた花凛がピクンと飛び跳ねるようにしてキッチンから駆け出そうとすると、それを押しのけて優太が先に玄関へと向かう。

 

 

優太「何、自分の家みたいに帰ってきてんだよ!?今日はお客さんが来てるので、もう定員オーバーです!お帰り下さーい!」
紫耀「は⁉︎優太には関係ないだろ!?俺は花凛に会いに来たんだよ!」
優太「だからダメだって言ってんだよ!帰れ帰れっ!」

 

 

「お兄ちゃん、うざー!紫耀くん、気にしないで中入って!」
優太「あ!コラ!花凛!お兄ちゃんに向かって、なんだその口の聞き方は!」

 

脇でギャーギャー騒ぐ優太をしっしっと追いやりながら、花凛が紫耀の腕にガッツリと腕を絡ませながら部屋の中へと引き入れる。
紫耀は紫耀で、平静を装っているけど、内心では絶対デレついてるはずや…!

絶対に今、全神経があの左腕1本に集中しとる!
あれ、絶対胸当たってるしぃ〜!

 

ちっ!俺なんて手引っ張られただけでのぼせ上がっとったけど、紫耀にはあの距離感かよ…。

現実を突きつけられたような気がした。

 

花凛の結婚相手?(花凛サイド)

海人「てことで、またこのメンバーだね!」
紫耀くんも加わって、5人で食卓を囲む。

寂しがり屋さんの廉くんにとっては、お兄ちゃんの紫耀くんも加わって、余計に嬉しいんじゃないかなっ♡

「食事は大勢の方が楽しいもん!ねっ?廉くん!」
廉「は?なんで俺?」
紫耀「?」

 

そうだよそうだよ、やっぱり温かい家庭を感じるには、愛情のこもった料理!
今日は張り切って腕をふるっちゃったからね!

 

「さ!どーぞどーぞ!召し上がれ〜♡」
「いただきまーす!」

 

一口食べて、全員がカキーンと固まる。

 

 

「まっず!」

 

最初に口火を切ったのは廉くんだった。

 

紫耀「お、おいっ、廉…⁉︎(汗)」

 

優太「おい、海人!今日のメイン担当お前じゃなかったのか!?(ヒソヒソ)」

海人「ちょっと今日遅くなるから、姉ちゃんに代わってもらって…(ヒソヒソ)」

優太「アホかお前は!」

ゴンッ!

海人「うぇ〜ん!なんで姉ちゃんが失敗したのに、俺が叩かれるんだよぉ〜っ

 

 

 

「え、えぇ〜⁉︎そんなにまずい!?」
思わず泣きそうな顔になってしまって、そんな私を見た紫耀くんが慌ててばくばくと口に入れる。

 

紫耀「大丈夫だよ、花凛。俺が全部食べるから」
廉「紫耀⁉︎お前、舌がバカになったんか!?とても食える味じゃねーだろこれ⁉︎」

「そ、そんな言い方ぁ…」
紫耀「だからぁ…っ!お前はなんでそんなひどいことをハッキリ言っちゃうんだよ!花凛が傷つくだろ⁉︎」
廉「あ、じゃあやっぱり紫耀もまずいつて思ってるんや?なら、ちゃんと言うといたほうがええやろ?結婚した後のこと考えたら、嘘なんてつかん方がええやん。一生この料理食べ続けるとか、早死に確定やぞ?」
紫耀「お前、何勝手に花凛との結婚生活想像してんだよっ⁉︎想像でも許さん!」
廉「は⁉︎別にそういう意味で言うたわけやないし‼︎」
優太「つーか紫耀!お前も許さん!」
紫耀くんと廉くんの訳の分からない兄弟喧嘩にお兄ちゃんまでもが加わり、カオス状態になる。

 

(廉サイド)

紫耀と花凜が付き合い始めたことを知ったのだろう優太は、紫耀に対して厳戒態勢で、今日は優太と海人の間に紫耀が挟まれて座っている。

そのおかげで俺は自動的に花凜の隣をゲットした。

 

 

海人「俺はどっちがいいかなー。やっぱり紫耀かなー?廉はすぐ意地悪するしなー」

紫耀「おっ、海人は俺の味方かー!」

海人「味方っていうかー、紫耀は俺に甘いから一緒に住んでくれそうだし♡」
廉・紫耀「は?」
海人「俺、姉ちゃんが嫁に行くときには一緒についてくって決めてるから!俺と一緒に住んでくれる人じゃないと、姉ちゃんとは結婚できないよ☆」

 

カオス状態に割り込んで話に入ってきたかと思えば、さらに場を混乱させるやつが現れた…。

 

「海人はそろそろ1人で寝られるようにならないとね」
紫耀「は⁉︎お前、まさかまだ花凛と一緒に寝てんの!?小さい頃は、いつも1人で寝られないって布団に入ってくるって言ってたの知ってるけど…」
海人「うん!今でも1人じゃ寂しくて眠れないもん!だから姉ちゃんと結婚したら、自動的に俺と一緒に寝ることになるからね!

廉も俺に意地悪しないんなら、一緒に住んであげてもいいよ☆」

 

 

紫耀も俺も一瞬無言になって、新居のベッドで花凛とさぁこれからというタイミングで、海人が飛び出してくる最悪な妄想をしていた。

 

 

 

とりあえず話を戻して…

 

廉「でも真面目な話、俺はこれからずっと一緒にいようって言う人に嘘ついてごまかすのは好かん!その時傷つけることになっても、今後のことを考えたら本当のことを言うべきやろ?」
紫耀「だったら、小学校の調理実習の時みたいに、毎回俺が味見するからいいの!」
廉「あーはいはい!紫耀はいつもそうやんな!先回りして手引いてくれて、周りから守って、危ない事はさせへん。過保護なんよな!」

 

俺に対してもそうやん。

バイトのことやって、俺は少しでも家計のために協力して、”家族として”役に立ちたいのに、「廉はいいから!」って、最初から俺にチャンスを与えないんや。

 

廉「でも、そうやって全部全部、一生守れるわけやないんやから、だったら守られなくても大丈夫なように成長させてあげるほうが愛やと俺は思うけどな!」

 

俺かていつまでも小さな弟やないんや。

 

 

紫耀「いいんだよ!俺はこういうやり方なんだよ!大切な人は一生かけて自分の手で守る!そこに秘密があったとしても、秘密を守り切れば、それは守ったことになると思ってる!」

 

どっちが正解?(花凜サイド)

なんか、私が料理が下手と言う問題が、とても壮大な議論に…。

 

廉くんの言ってることも、紫耀くんの言ってることも、どっちも相手を大切に思っているってことはわかる。
私だったらどっちがいいだろう…?

 

なんとなく客観的には、廉くんの言っていることが一理あるような気もする。
でも、やっぱり紫耀くんのデロデロに甘やかして守ってくれるところ、たまらなく好きなんだよね…。

 

廉「おい、お前はそれでええんか?
紫耀は、どんなにお前の料理がまずくても、“大丈夫、おいしいよ“とか嘘ついて、ニコニコ食べんねんて!

でも何十年もしてみ?そのうち会社の若い女子社員に、“うちの嫁、ほんとに料理がまずくて“って愚痴こぼすようになんねん。そしたらその女子社員が“平野先輩かわいそう!“ゆうて、弁当作ってくるようになんねん。そんで胃袋を掴まれて、結局浮気すんねん!

それでも、その若い女子社員とヤッた後に、家に帰ってお前の料理をうまい言うて食うねんぞ?頭ん中は、女性社員の作ったうんまい弁当の味と、若い体のことでいっぱいやのに…!」
「ひぇ〜〜っ‼︎なにそのリアルな未来設計図〜⁉︎やめてよ、やめてよぉ〜」
隣の廉くんをポカポカ叩く。

 

「確かに、一生嘘つかれて我慢されることを考えたら、ちゃんと正直に言ってもらったほうがいいかも…」
廉「そうやろ?俺なら言うたるで?」
「じゃぁ、今日の料理はどこをどう直したらよかったのかな?」
廉「知らん!料理のことを俺に聞くな!」
「え、えぇ〜っ⁉︎ダメ出ししといて改善策を教えてくれないのぉ〜⁉︎ひどい!それじゃただのモラハラ夫じゃん!?」
またポカポカと叩く。

 

廉「いて、いて…っ!仕方ないやろ!?教えるだけの能力を持ち合わせてないんやから!」

「別に廉くんと結婚しないからいいよーだ!」

廉「俺だってこんっな料理の下手な女と、絶対結婚したないわ!」

「ひどーい!また言ったぁ〜っ」

 

 

 

廉「…でも俺なら、わからないなりに、一緒に作るの手伝ったりして、2人で成長…する!」

廉くんが耳まで真っ赤になりながら、視線を下に向けたまま言う。

 

 

「わぁ…!今の、結構女子に刺さるかも…!廉くんと結婚する女の子は幸せだね! 」

 

 

廉「…( ̄□ ̄;)」

ん?なんか廉くん、ショック受けてる?

今、私、廉くんのこと褒めたよね?

 

海人「大丈夫だよ、廉!俺が一緒に住んで、ご飯係やってあげるから!」
廉「だからついてくんな!」

紫耀「だからなんでお前が花凛と結婚する体で話進んでんだよ!」

優太「だからお前もダメだからな、紫耀!」

 

カオス状態再び…。

だけど、廉くんが楽しそうに笑ってるからいっか!

今日は、寂しがりやの廉くんに、楽しい家族の時間をプレゼントできたかな?

 

そろそろチャンスをくれないか? (廉サイド)

どうして人は、いちど誰かを好きになったら、その人のだめなところが目に入らなくなったり、他の人の良いところが目に入らなくなったりするんやろう?

もし俺と紫耀が対極のところにいたら、こいつは紫耀のことしか見ないんやろう。

もし仮に俺の方が、花凛にとって正解の答えを言ったとしても。

 

 

 

もし出会う順番が違っていたら、少しは俺にも望みがあったんやろうか?
逆に、紫耀を好きになってしまった花凛が俺の方を見てくれることは、どう頑張ってもあり得へんのやろうか?

 

 

だから今は、意地悪を言ったりちょっかい出したりして、こっちを向かせるなんて小学生みたいなやり方しかできない。

でも、それでも少しでもこっちをみてくれたら幸せで…。

 

 

 

 

ほんのちょっとでいいんだ。
いきなり好きになってくれなんて言わへんから。
少しだけでいいから、俺の方を見て、

 

 

 

俺にチャンスをくれないか…?

 

 

偶然だとか気の迷いでいいからね

そろそろチャンスをくれないか 僕に

 


 

別の日、朝。

 

 

紫耀「なんだよ、やけにご機嫌だな?なんかいいことでもあった?」

 

 

 

鏡を見ながら入念に髪の毛をセットしていた俺は、軽やかに鼻歌なんて歌っていた。

それを見て、紫耀が訝しげな顔をする。

 

廉「べ、別に…っ⁉︎何もあらへんけど⁉︎」

 

バタバタとワックスを片付けて、そそくさと家を出る。

 

 

学校に向かう電車の中で、もう学校から帰る電車に早く乗りたいと考えている。

電車の窓に映った自分を見て、もう一度髪を直す。

よし、今日も爆イケやな。

 

鏡の前で直した前髪

君にとってまぁどうでもよくたって

 


 

「あれっ⁉︎廉くん!」

 

駅の階段から見えてくるヒラヒラと揺れるスカート。

よし、今日は隣に男の足がない。

一人で小さくガッツポーズをする。

 

 

 

紫耀はだいぶバイトを減らしたみたいで、花凛と一緒に帰る日が多くなった。

半分くらいは紫耀と一緒に階段から降りてくるから、二人に見つからないようにこっそり帰る。

 

俺といる時には見せないようなとびきりの笑顔で、幸せが身体中から溢れている花凛の姿を見ると、どうにもこうにも腹が立って、モヤモヤして、投げやりな気分にもなるけど…

 

 

 

「また電車一緒だったんだね!一緒に帰ろっか?」

 

 

たまにこうやってご褒美みたいに俺にも笑顔を向けてくれるから、毎日ドキドキしながら花凛を待つ学校帰りのこの時間が、俺の1日の中で1番輝く時間になる…。

 

 

 

恋は優しくない

いつも胸を締め付けている

それなのになぜ毎日が

君色で輝く

King & Prince「Koiは優しくない」

作詞:KOUDAI IWATSUBO、作曲:KOUDAI IWATSUBO・Kuwagata Fukino

 

 

 

 

それで納得した。

俺の母親と同じ、なぜか周りの人を惹きつける能力。

これは、常に周りの人に無条件に愛されてきた人間が自然と身につける能力なのだ。

 

自然に人に笑顔を向け、自然に人との距離が近く、自然に人に甘えられる。

そのどれもが俺にはできないことで、俺とは真逆の種類の人間だから気になる。

 

ただそれだけのこと、別に他に深い意味なんてない。そう思ってた。

でも…。

 

 

最初は、何とか花凛に近づきたくて家に遊びに行っていた。

だけどあの家に入るようになって、海人と優太に愛されている花凛を見てもっと好きになって、花凛だけでなく、花凛を取り巻く周りの環境も含めて全てが俺には輝いて見えた。

俺がずっと欲しかった”家族の形”がそこにあるように思えた。

 

 

あいつに会えずに1人で家に帰った日はどんよりくすんだ灰色で、あいつとあいつの家族に囲まれてワイワイご飯を食べるている時間は色とりどりの虹色。

 

 

いつの間にか俺の毎日が、あいつ色で輝いていた…。

 


 

今回のお話の「海ちゃんは1人で眠れない」はこちらのトークから↓

永瀬廉ラジオガーデン(庭ラジ)10月17日高橋海人ゲスト2週目!ホテルの部屋で一人部屋が嫌なうさぎみたいな海ちゃん

 

 

コメント

  1. みつき より:

    今回の作品も面白かったです!
    花凜ちゃんの謎の勘違いとか兄弟喧嘩のシーンが好きですw
    あと、読んでるこっちがもどかしくなる廉くんの恋心!
    ちゃちゃさんって天才ですか?!

    • ちゃちゃ より:

      今回は読むのめっちゃ早かったですね…!!深夜にアップして、翌朝にコメント来ててビビりました(笑)
      いつも褒めちぎってくれるので、もうみつきさんのためだけに書いていると言っても過言ではない!!他に読んでる人いるのか謎ですが…(^^;

      ストーリーとしては全然進まなかった今回のお話ですが、実は大事に伏線が隠れていたりします…。
      続きを乞うご期待!!

      • みつき より:

        はい!めっちゃ早かったです(笑)
        次の物語が楽しみすぎて毎日チェックしてたので
        色んな人に読んでもらえてると思いますよ!!
        伏線が隠されているだと!!Σ(゚Д゚)
        めっちゃ期待してます!!

  2. かの より:

    めちゃくちゃ面白いです!!
    続きを見るのが楽しいです!!

    • ちゃちゃ より:

      ありがとうございます!
      最近は全然何もやる気が起こらず、ブログを放置してしまっていましたが、そう言っていただけると頑張ってまた新しい小説書いてみようかなって思えます!
      私も皆さんの声に支えられています。

      この小説はラストが賛否両論ありますが、是非最後まで読んでみてください!そしてラスト、どっちとくっついてほしい派だったとか感想いただけると嬉しいです(っ’ヮ’c)

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