【SMAP × King & Prince】歌詞小説「君と僕の6ヶ月」2話〜同じならば惹かれない〜

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SMAPの名曲「オレンジ」の歌詞の意味を小説にしました!

SMAPの名曲を今の若い子にも布教するため、主演キンプリ岸くん、その他キンプリメンバー出演してます(笑)

 

 

ストーリーの大筋は、SMAPの隠れた名曲「君と僕の6ヶ月」を参考にしています。

 

 

※岸くんが医者役(=頭いい)がなんとなく違和感あるかなぁ〜と思ってたんだけど、「ナイトドクター」で医者役決まったので、自信を持ってこの配役で行くことにしました!

どうぞ、インテリ岸くんをお楽しみください〜^_^

SMAP音楽小説オレンジイラスト主演岸優太

 

廉「なぁなぁ、ほんまに行くん?絶対やめといたほうがええと思うで?」

 

背中に廉の声を受けながら、無心に”廃棄カゴ”の中から店の商品をビニール袋に詰め込んでいく。

 

岸「いやもう約束しちゃったから!次会うときに利子分持って行くって!ていうか、ただのコンビニバイトと客って言う関係から、外で待ち合わせする関係になったってことだぜ!?これってチャンスだろ!?」

 

そう、俺はこれから、彼女と会う約束をしていた。

思ってたイメージとは違ったけど、それでいきなり嫌いになるわけじゃないし、逆にもっと彼女のことが知りたいと思った。

だから俺は、これから彼女に会いに行くんだ。

 

廉「絶対、優太とは合わんと思うで?なんか、住む世界が違うっていうか…価値観とか考え方とか…」

 

まだ後ろでぶつぶつ言っている廉を置き去りに、店を出て、振り向きもせずに自転車で走りだしていた。

 


 

 

「で、これは一体何なの?」

 

彼女が仁王立ちで睨み付ける。

 

「あのー、これはですね、やっぱり金銭の授受はどうかなって思って、お詫びのしるしに店の廃棄処分を持ってきました!」

 

ビニール袋からバラバラと出したパンやおにぎりが、ベンチの上に散乱していた。

 

 

「…私に、賞味期限切れのゴミを食べろってこと?」

あからさまにこめかみに怒りマークが見えるようだ。

 

「いや!いやいやいや!ゴミじゃないっすゴミじゃないっす!賞味期限っていうのはですね、消費期限とは違って、まだ全然食べられるんで!それに今、日本では、フードロスって言う問題が深刻でして、俺が廃棄処分をあなたにあげれば、フードロス問題が少し解消されるし、あなたはコンビニ代が浮くし、俺はあなたに会える! ウィンウィンウィンなんすよ!

…てことで、毎回俺、廃棄処分持ってくるんで、これからもここでちょっとだけ俺と会ってもらう…ていうのはどう…でしょうか?」

 

自分でもなんというムードのない口説き方をしているのかと呆れてしまうが、これ以外、彼女を繋ぎ止める方法が見つからなかったのだ。

 

昔から、家柄もよく、ルックスもけっこう良いらしい俺は、けっこうモテてそれなりに彼女もいた。

でも付き合ってもすぐふられた。

「女心がわかってない」とか、「なんか言ってることが的外れ」とか、そういう理由らしい。

 

そして今もまた、俺の渾身の口説き文句は、彼女の胸には刺さらなかったらしい。

 

「あのさ君、私がふだん、男の人からどんな物をプレゼントされてるか知ってる?そして私の時給を知ってる?私の時間を欲しいって言うなら、それに見合ったプレゼント持ってきてもらわないと困るのよね。」

「え…そんなすごい時給なんすか?お仕事何やってるんですか?」

「キャバ嬢だけど?」

 

 

え、えーーーっ!?

一目惚れした運命の彼女が、キャバ嬢だったなんて…。

 

 

「君、もしかしてキャバクラも風俗も同じとか思ってるタイプ?これだからウブな年下くんは嫌なのよねー。別に私、客と寝たりしてないからね?私位の美貌があると、ただニコニコしておしゃべりするだけで、高い時給もらえちゃうのよね」

 

俺がドン引きしていることに気づいて彼女はそう訂正したのだろうが、ウブと言われようがカタいと言われようが、確かに俺は、キャバクラだろうが風俗と同じ“水商売“と思ってしまう。

結局男に自分を売って、お金をもらってるんじゃないか。

 

そうか、夜のコンビニに寄るときになんとなく印象が違って派手だったのは、キャバクラの仕事帰りだったからだったんだ…。

あれ?でも朝のバス停の時は?

 

 

「でも、じゃあなんでいつも朝のバス停に…?」

「バス停?あぁ、私、昼間はOLもやってるから。てかなんで私が朝、バス停にいること知ってるの?あんたもともと私のストーカーだったの!?」

「違いますよ!俺も、大学行くのに反対側のバス停使うことがあるだけです!てか、キャバクラでそれだけ高い時給もらってるなら、なんでダブルワークしてるんですか?もしかして、何かお金が必要なのっぴきならない理由があるんすか!?家族が病気とか!?」

 

そうだ、そうに違いない。

きっと家族が病気で、その治療費のためになかなか水商売をする心の優しい子なんだ。

 

 

「全然?私、もう両親いないし。もともと一人っ子だし」

 

けろりとそう返されて、ガクーッととなる。

 

「OLはもともとやってて、友達に頼まれてヘルプで1日だけキャバ嬢やったら超人気出ちゃって、店長に残ってくれって頼まれて。私もこんなに簡単にお金稼げるならラッキーって。お金的にはOLやめてもいいんだけど、“昼間はOLやってまーす“て清楚売りした方が、客にウケが良いのよねー」

 

もうしゃべらないでくれ…俺が想像していたイメージとどんどんかけ離れていく…。

廉が言っていたのはそういうことだったんだ。「お前とは考え方が違う。住む世界が違う」って。

彼女の言っていること、全然わかんない。

 

美人と言うだけで人生楽勝で生きて、自分を売って、どうしてこんなに堂々としていられるのか。

そもそもその美貌だって、親から譲り受けただけで、自分の努力で手に入れたものでも何でもないじゃないか。

 

「まぁ、そういうことだから、私、コンビニバイトの大学生なんて相手にしないから。大学生で相手にするとしたら、そうね、将来性を見込んで医大生位かな。この辺結構いるのよね、ほら、近くに医大あるじゃない?」

 

え…?

 

「俺、医大生ですけど。そこの」

 

彼女が一瞬キョトンとして固まる。

 

「嘘だねー!医大生が、なんで深夜のコンビニでバイトなんかしてるわけ?医大生って言ったら、大抵親も金持ちで、いい服着て、いい車乗ってって感じじゃん!」

「そういう人ももちろんたくさんいますけど、僕は違うんです!いや、正確には、うち、父親も医者だし、金持ちだし、そういう生活できるけど、僕はそういうの嫌なんです!

そもそも親の金で大学いかせてもらって、”親が医者だから医者になる”って言うレール敷かれて、でもそれってたまたま恵まれた環境に生まれただけで、全く僕の功績じゃないんで。

僕は僕の力で、ちゃんと何かを手に入れたいんです」

 

「意味不明」

 

多分さっき俺も、こんな顔をして彼女を見ていたのだろう。彼女は今、「言っていることが全く理解できません」と言う顔で、俺を見ている。

 

 

「ばっかばかしい!親が医者で、家が金持ちで、その環境で育った君が今、医大生としてそこにいるなら、その環境含めて、全て君自身じゃん?

私は親からもらったこの顔を、最大限自分の武器として使って生きてる。後から自分で努力して手に入れたとか、生まれた時からもってたとか、そんなの関係ないよ。

持ってるもんは持ってるの!それが自分なんだもん!」

 

 

理屈はめちゃくちゃなようでいて、理にかなっているようにも聞こえ、「親からもらったものだって、れっきとした自分の武器だ」と堂々と断言する彼女の言葉は、今まで俺が悩んできたことをいとも簡単に吹き飛ばすほどの力を持っていた。

 

 

 

廉には後で謝っておこう。せっかく忠告してくれたのに、俺は深みへとハマりそうだ。

 

考え方も価値観も違う。住む世界も違う。だからきっとわかりあえない。

「だからやめとけ」と廉は言った。

 

 

だけど、わかりあえないからこそ始まる恋もあると知った。

違うからこそ知りたい。

自分の最大の悩みを、「ばかばかしい」と笑い飛ばす強い力に、急速に惹かれていく。

自分を作るすべての要素を「それが自分」と強気で生きる姿が、あまりにも魅力的で。

 

 

彼女のこと わからないと

頭かかえてる

 

かたくなな感じ

手強そうで たまんない

 

 

いとおしさは深みへと

はまりそうだよ

 

夜の公園には、似つかわしくないほどの大声で宣言する。

 

「俺は、高級なプレゼントはできないけど、その代わりに、あなたに楽しい時間をあげます!

だから、これからも俺と会ってください…!」

 

 

何かの恋愛バラエティー番組みたいに、握手を求めて手を差し出しながら頭を下げる。

自分でもなんとも無謀な願いだとわかっている。

仕方ないヤツと笑ってくれ。

だけど、今ここでキメなきゃ、一生後悔する。

そう思ったんだ。

 

 

一瞬キョトンと固まった彼女は、突然

 

「君は優しい方?勇ましいほう?」

 

と聞いてきた。

なんの話かと、ちょっとだけ顔を上げる。

 

 

すると彼女は、一歩近づき、俺の差し出していた手を取るのではなく、俺の上着のポケットからはみ出していた名札を抜き取った。

そこで「あぁ!」と意味を理解する。

 

ポケットから。コンビニの制服の名札が飛び出ていて、「岸ゆうた」と書かれた名前が見えたのだろう。

「ゆうた」はひらがななので、漢字を聞いているのだ。

 

 

「あ、優しい方です」

 

「ふふ!そんな感じね」

彼女は笑った。

 

「いいよ。会ってあげる」

何が彼女の気持ちを掴んだのかはわからないが、なぜかOKが出た。

 

「ま、マジっすか…!?よっしゃぁー!!」

 

 

 

「ちゃんと持ってきなさいよ」

「え?何がすか?」

「廃棄処分。さっき持ってくるって約束したじゃない」

「え?結局食べるんすか?」

「もらえるもんは、もらう主義だから」

「…はい!持ってきます!」

「ねぇねぇでも君、さっきさぁ、君が私に廃棄持ってきたらwinって言ってたけど、その分常連客の私があの店で買い物しなくなっちゃうから、店長的にはloseだけど、いいの?」

「え?あ、ワァー‼︎どうしよう!!」

 

 

 

頭を抱えてしゃがみ込む俺を見て、彼女は笑う。

「優太ってなんか犬っぽーい!ペットにしたら、見てて飽きなそうだよね」

 

 

ケタケタと笑う彼女を見上げて、俺も笑った。

彼女のこんな笑顔を引き出せるのなら、ペットになるのも悪くないかな…。

 

 

 

お金大好きで、気が強くて、こんな性悪な女を、

多分俺は…好きになった。

 

 

 

 

謎のまま 今を攻めて生きて

ありのまま 君を生きてていい

 

恋心は嘆くかい

お互いは別の生きものだね

同じならば惹かれない

Only you

謎だらけでせつない

 

 

つづく

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