SMAPの名曲「オレンジ」って、実は3部作だったって知ってますか?
「オレンジ」→「Song 2 〜the sequel to that〜」→「夏日憂歌(サマータイムブルース)」と繋がっていて、それがストーリーになっているっぽいということなんです!
この3つの作品にインスピレーションを受けて、音楽小説を書いてみました!
「オレンジ」は付き合っていた2人が何らかの理由で別れてしまうと言う超切ない失恋ソングですが、いったい2人の間に何があって別れを選ぶことになったのでしょうか?
そこんとこが気になりすぎて、勝手にストーリー作りました!
私は曲の歌詞をモデルにストーリーを構成する音楽小説を書いています!
SMAPにはめちゃくちゃ名曲がたくさんありますが、解散してしまった今、テレビで歌われるのは超有名どころの曲だけなので、昔の名曲が埋もれてしまうのが残念でなりません!
ということで、同じく私が大好きなキンプリちゃんの力を借りて、大好きなSMAPの名曲を今の若い子世代にも伝えていこう!と言う趣旨で、キンプリ× SMAPで歌詞小説を書いていきます!
こちらは何年も前に書き始めて、完結せずにほったらかしだった作品ですが、たまたま主人公の名前が「優介くん」だったので、「優太くん」に変更して、岸くんに主演を務めてもらいます!
それでは【SMAP × King & Prince】音楽小説始まります!
大筋は、大ヒットシングル「がんばりましょう」のカップリング曲である「君と僕の6ヶ月」がモデルになっています!
「君と僕の6ヶ月」1話
「あ、虹だ!」
先に降りた子供の声に気づき、岸優太は続いてバスを降り空を見上げた。
いつの間にか、雨は止んでいた。
優太は、しばらく虹のかかった空を見つめていた。
そして、我に返って手に持っているケーキの箱を見る。
今日は、娘の愛美の誕生日だ。
早く帰らなければ。
優太は、足早に歩き出した。
そして、もう一度振り返り、バスが走り出し誰もいなくなったバス停を見た。
そこに、誰かの影を思い描いているかのように・・・。
バス停の彼女
-20年前-
憂鬱だった雨の日が好きになった。
あの日、君を見つけてから・・・。
俺、岸優太は、普段は自転車で大学に通っている。
しかし、雨の日だけは仕方なくバスを利用していた。
6月の朝のギュウギュウのバスは、蒸し暑くて最悪だ。
だから、俺は雨の日が嫌いだった。
しかし、ある時から雨の日が待ち遠しくなったのだ。
それは、道路の反対側のバス停に立っている彼女の姿に気づいたから。
二車線ある道路を挟んだこの距離から見ても、その美しさは際立って目立っていた。
俺は、一瞬で恋に落ちていた。
深夜のコンビニバイト
廉「そんな運命の相手なら、毎日バス通にすりゃええやろ?そしたら、向こうもお前のこと気づいてくれるかもしれんし。雨の日だけしか会えへんじゃ、何も始まらへんやろ?」
廉は同じ大学の友人で、俺は最近廉の紹介で深夜のコンビニバイトを始めた。
優太「毎日バス通にしたら定期買わなくちゃいけないじゃんか!そんな金ないから、こうしてバイト始めたっていうのに」
廉「もう、その無意味な”自分探し”止めれば?この青春ボーイが!」
俺と廉はこう見えて医大生だ。
“こう見えて”というのは、廉に失礼か。
廉はいかにも”親も医者で、金持ちの坊ちゃんで、エリートコースの医大生”という肩書きが似合う洗練された見た目をしている。
ところがどっこい、その肩書きを持つのは、実は俺の方なのだ。
廉は奨学金で大学に通っているため、いくつかのバイトを掛け持ちしながら勉強に励む苦学生だ。
俺の家は地元では有名なちょっとした大病院で、小さい頃から医者である父親から当然のように俺も医者になるものと決めつけられ育てられてきた。
しかし、俺は医者になることが自分自身の夢だと思ったことは一度もなかった。
素晴らしい仕事だとは思うが、だからこそただ「父親が医者だから」なんて安易な志望動機のヤツがなっていいほど簡単な仕事じゃないと思っている。
そんな釈然としない思いを抱えながらも結局、父親の言う「最善の道」を蹴ってまで突き進む勇気が持てなかったのは、自分に”夢”と呼べるものを持っていなかったからだ。
さて話は戻って、なぜそんな医者の息子がお金がなくて深夜バイトに手を出しているかと言うと・・・。
父親の言うとおりに医学部に進んでは見たものの、ただ父親の操り人形として生きることに抗いたかったのだ。
もうこの時点で、廉には
「なんやねん、その青春ど真ん中の理屈は・・・!!」
と大笑いされてしまったのだが。
それで、俺が考えたのは「自分の生活費は親の世話にはならない!」ということだった。
安直な考えだが、少しでも苦労すれば自分の人生の意味が見つかるのではないかと漠然と思っていた。
それを、廉は「青春くんの自分探し」なんて茶化して言うのだった。
その日、一人も客のいない店内で、俺はレジでこっそりと教科書を開き勉強に没頭していた。
ピンポンピンポーン。
自動ドアが開く音で顔を上げ、思わず「あっ!!」と声が出てしまった。
大きな瞳が、びっくりしたように俺を見る。
「い、いらっしゃいませ~」
愛想笑いでごまかした。
彼女だった。
バス停の彼女がそこにいた。
俺が声を上げたせいで、誰か知り合いなのかと思ったようだったが、彼女のほうはやはり見覚えのない顔だったらしく不思議そうな顔をしてから視線をそらした。
彼女はグルっと店内を一周して、買い物カゴをレジに置いた。
彼女「お願いします」
俺は興味津々なのを隠すように、さりげなくカゴの中身を確認しながらレジを打つ。
意外に飲むんだな・・・。
500mlのビールが2本とつまみ類。
おにぎりは明日の朝用かな?
これも体に似合わずけっこうな量食べるんだな・・・。
全く知らなかった彼女の生活を想像しながら商品を袋に詰める。
華奢な体に色白なキレイな肌から、勝手に清楚で可憐で少食で「お酒なんて一滴で酔っちゃいます・・・」みたいな子を想像していた。
でも、意外な彼女の素顔を見れたことにちょっと嬉しさも感じていた。
初めて間近で見た彼女は、いつもバス停で見ている時とちょっぴり印象が違った。
簡単に言えば、派手。
あれ?こんな感じだったっけ?と少し疑問を抱く。
優太「ありがとうございました」
ドキドキしながら彼女の接客を終え、彼女を見送ってから俺はへたりこんだ。
俺はなんてバカなんだ・・・!
いつも見ていた彼女が、自分のバイト先に来てくれるなんて偶然はもう二度とないかもしれないのに、何の会話もできずに見送ってしまうなんて・・・!
これこそ、まさに“運命”だったんじゃないのか!?
このチャンスをものにできないでどうする!!
優太「廉~~っ!!」
事務所で仮眠中だった廉を叩き起こす。
廉「何や?もう交代の時間か・・?」
眠そうに目をこする廉に、俺は大興奮で話した。
優太「来たんだよ!!例のバス停の彼女が!!なのに、俺、何も声かけられなくて・・・!あぁ~~!!もうなんでだよ俺~~~!!」
廉「マジで!?見たい見たい!お前がそこまで言う美人な彼女!もう帰っちゃったん!?」
廉は面白がって飛び起きて、店に出る。
まだガラス越しに歩いていく彼女の姿が見えた。
優太「ほら、あれあれ!」
廉「あぁ!あのお客さん!」
優太「え?知ってんの?」
廉「安心しろ!あのお客さん、この店の常連さんだ。また会えるぞ」
優太「そうなのか!?でも、俺ここ入ってもう2週間になるけど、今日初めて会ったけど?」
廉「来るの毎日やないからなぁ。気にしたことないねんけど、曜日とか決まってるんやない?あと、お前が休憩入ってるときに来てたこともあったと思うけど・・・」
優太「マジか・・・!じゃあ曜日と時間調べて、俺、必ずその曜日のその時間に店に出るようにする!!」
この作戦が功を奏し、俺は彼女が週に3回必ず深夜2時頃にこの店に寄ることを突き止め、必ずその曜日その時間に彼女の接客をすることに成功していた。
そして、彼女が意外にメイクや服装が派手なことも、思いもよらぬ大食いで大酒喰らいなことも、タバコを吸うことも知るようになっていた。
こんな時間に出歩いているというのも、夜遊び慣れした女なのだろうか?
思い描いていた理想の彼女とはどんどんかけ離れていくのに、不思議とどんどん彼女に夢中になっていった。
そして、ある夜、俺はついに勝負に出た。
優太「あ!すいません、おつり切れちゃってるんでちょっと待ってください」
事務所に戻り、予備のお釣りを確認するフリをしてから、またレジに戻る。
優太「すみません~、ちょっと予備のお釣りも切れちゃってて・・・」
当然、事務所にもお釣りがないなんてことはありえない。
そんなことがないように、ちゃんと小銭はたくさん用意してあるのだから。
でも、嘘をついた。
ちょっとでも長く、彼女と話がしたかったから。
彼女「う~ん、じゃあ今度でいいですよ。私、よくここ来るから」
優太「あ!はい!じゃあ次の時に、必ずお返ししますね!!」
彼女「はーい。じゃあ、利子つけて返してね」
彼女はニコっとイタズラっぽく微笑んで、帰っていった。
俺は、再びその場にへたりこんだ。
な、なんだ、あの可愛さはぁ~~~っ!!
見たか!?今の彼女の笑顔!!
完全にやられた・・・。
もうこれは完全に間違いない。
俺は、彼女に恋をしている・・・!
2日後。
彼女はいつものように店に現れた。
入ってくるなり「あ!」という表情になり、会釈をする。
これって、もう俺たち”知り合い”ってことだよな。
もうただの客と店員の関係じゃないんだ。
そんな小さなことに、ニヤニヤが止まらなくなる。
彼女「この前はどうも」
彼女は、カゴをレジに置く。
優太「ご迷惑をおかけしました。これ、お釣りです」
優太は用意していた小銭を彼女に渡す。
彼女「ねぇ、足りないんだけど?」
優太「え?」
おかしいな。確かにちゃんと確認して用意しておいたはずなんだけど・・・。
困惑する俺に、彼女はもう一度言った。
彼女「これだけで済むと思ってるわけじゃないでしょ?利子つけて返してって言ったじゃん」
え……?
彼女は、「当然でしょ?」と言わんばかりにキョトンとして優太をじっと見つめる。
彼女「はーやーく!利子ちょうだい!利子!そうじゃなかったら、今日のお代まけてよ」
優太「え、いや…コンビニでまけるとかちょっと無理なんですけど…」
彼女「そんなの君が自腹切ればいい話でしょ?そもそもお釣り切らしてたのは君のミスなんだし」
今度は「なんか文句あんのか」と言わんばかりに腕組みをする。
な、なんか・・・彼女のイメージがガラガラと崩れていくんですけど・・・?
俺の理想の清楚で可憐なバス停の彼女はどこに行った・・・?
深夜のコンビニバイトを始めて
必ず立ち寄る 君に恋をした
ある晩 お釣りが切れてるフリして
君をレジ前に引き止めたよね
きっかけなら平凡だったけど
永遠に続けられる気がしたよ
出典:SMAP「君と僕の6ヶ月」作詞:三井拓、作曲:馬飼野康二
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