本当はすっごく彼女のことが好きなのに、素直に表現できない廉。
ずっと片想いだったから、廉に愛されている自信が持てない彼女。
すれ違う二人の心…。
“素直に言えないから
せめて今は
寄り添って眠ろう ”
シリーズ「koi-wazurai」のスピンオフ永瀬廉くんのお話。
私の小説では、キンプリの曲の歌詞をモデルにストーリーを構成しています。
今回のテーマ曲はアルバム「L&」から「生活(仮)」です。
これの前のお話はこちら。
相関図
約束事
同棲して一番困ること、
喧嘩した時、逃げ場がない。
なんで寝室一つしかないんだろ…。
…って、私がそうしたいって言ったんだった。
~~~付き合い始めのある日のこと。~~~
ありさ「2人の約束事作りたいんだけど!」
廉「え~俺、そういうのめんどい」
ありさ「いーじゃん!一緒に暮らしていくんだから、生活のルールとか、約束事って大事だよ!」
廉「一応聞いとく。守れるかどうかは保証せんけどな。なに?」
ありさ「何があっても、絶対毎日一緒に寝ること!どんなに喧嘩した日でもだよ?」
廉「え~俺、朝までゲームする日とかあんで?」
~~~~
とか言いながら、ちゃんと朝方ベッドに入ってきてくれて、約束を守ってくれていた廉。
意外と律儀なとこあんじゃん、とか、もっと好きになっちゃったりしている…。
でも、今日の廉は怖すぎて、寝室のドアを開ける勇気なんてない(´*ω*`)
ってか、廉が怖いというか、廉と顔を合わせてさっきの言葉の意味をしっかり聞くのが怖いんだ。
「出てけ」って言われた。
同棲を解消すると言う事は、=別れるって言うことなんだろうか?
廉、なんかめちゃくちゃ怒ってた…。
私が風と平野に廉の悪口いっぱい言ったから?
もしかして、平野と風がラブラブ過ぎて機嫌悪くなったとか!?
まだ風に未練あったりすんのかな…。
まさかね、さすがに人妻だし。
でも、風が関西弁直したのとか、意外とショックだったんじゃないかなぁ。
関西弁はいわば廉と風を繋いでいた太い”絆”みたいなもんだったって聞いてるし。
なんか急に不安になってきた…。
もし廉がまだ風を忘れられていないと言うなら、喧嘩とか仲直りとかそういう問題じゃない。
そういえば、廉にちゃんと「好きだ」とか言われたことないな。
付き合い始めたのも、私が廉の傷心のところ漬け込んで、成り行きでそうなっただけだし。
同棲だって「送って行くのがめんどくさいから」って言う理由であって、「ずっと一緒にいたいから」とか言われたわけじゃない。
え?廉って私のことほんとに好きなのかな?
でも好きじゃない相手と同棲なんかする?
もしかしてあいつ、自分の家の観葉植物を世話してくれる専門の花屋を求めていただけじゃないか!?
はたまた、梨剥き要員として私雇われたんか!?Σ(゚д゚lll)
いやいや、雇われたって、お金もらってないから!
あ、でもお金よりももっと価値のある夜のご褒美をほぼ毎晩のようにいただいて…いやいやいや!それ男女逆だから!私がヤらしてやってんの!ヽ( ̄д ̄;)
でもそうだよね、毎日性欲も満たされて、家事もやってもらって、男にとって同棲はメリットがあるんだ。
たとえそれが本当に好きな相手じゃなかったとしても…。
要は、セックス付きの家政婦?
そう考えたら、ショックって言うより、なんだか無性に恥ずかしくなってきた。
そんな分際で、よく廉に向かって不満とか言えたもんだなぁ私!
まさに王様と召使いの関係じゃん。
でも、はっきりふられるよりは、「一旦距離をおく」みたいな曖昧な感じにして逃げたい…。
やっぱり、荷物まとめて、明日の朝出て行こう。
今日は、ソファで寝ようっと…。
廉「おいっ!何してんねん!」
洋服をバッグに詰めていると、背後からものすごく不機嫌な声が落ちてきた。
ありさ「え、え…あのぅ~荷造りを…。でも今日はもう遅いから、今夜はちょっと泊めてもらえないかなーと…(; ゚゚)」
その彫刻のような顔で見下ろされると、完全に王様とそれに仕える召使いのような気持ちになってくる。
そして王はかなりご立腹の様子…(´*ω*`)
廉「…荷造りって、なんやねん…?」
めちゃくちゃ静かなトーンが余計に怖い。
ありさ「だってさっき出てけって…」
廉「出てけとは言っとらんやろ!出てってもええんやで、ってゆうただけや!」
ありさ「だからそれが出てけって言ってんじゃん!怖いんだよ、もぉ〜( ´Д`)」
廉「だからってなぁ、出てけって言われて出てくやつがどこにおんねん!?あぁ!?」
は、はいー!?
中学の頃、授業中にふざけすぎて先生に「出てけ!」って言われて、本当に出てったら怒られた男子生徒を思い出した。
そういう論理ですか?
それとも「嫌よ嫌よも好きのうち」の複雑な乙女心的な?
廉「はよ来いや!」
ありさ…「えっえっ?(´・ω・`;)」
まだ廉の心理を理解できずに頭を抱えたまま、ズルズルと引きずられるように、寝室に連れていかれた。
廉「自分で決めたルールやろ。ちゃんと守れや!」
どさっと私をベッドに放り込み、自分もベッドに潜り込むと、廉はぷいっと背中を向けてしまった。
“どんなに喧嘩した日でも、一緒に寝る”
約束、守ってくれてるんだ…。
ありさ「廉、まだ怒ってる?」
廉「怒っとらんわ!最初から!」
ありさ「や、絶対怒ってるし…」
それでもちゃんと約束守ってくれた。
廉か何に怒っているのかは結局わからなかったけど、さっきまでの不安がちょっとだけ取り払われていった。
寄り添って眠ろう(廉サイド)
昔から、ありさは男勝りな性格で、俺に対しても紫耀に対しても平気でズバズバ話してくる珍しい女子だった。
紫耀の周りには、目がハートマークになっちゃってる「ザ!女子」と言うタイプしか寄ってこんし、紫耀も紫耀で、女の子を紳士的に女性として扱うタイプやから、紫耀にはあまり女友達と言うものがいない。
だけどありさはあまりにサバサバしているので、数少ない女友達だ。紫耀も結構遠慮なくツッコんだりもするし、ふざけてワイワイやったり。
今日も俺を差し置いて、2人で仲良く喧嘩なんかしちゃって。
なんかそれがすげー腹立つ!
なんやねんその特別な関係みたいな。
しかもありさのやつ、さんざん俺の不満言うといて、紫耀のことを「平野はいいなぁいいなぁ〜」ばっかりいいよって。
あ〜〜!なんかスゲェ腹立つわ!
つーか、あいつ寝る支度するのにどんだけ時間かかってるんや!?
イライラしてリビングのドアを開けると、なぜかありさがソファにブランケットを広げていた。
「お前、何しとんねん!」
「え、あの…ソファーで寝ようかと思って…」
はーぁ〜!? 何があっても一緒のベッドで寝るって、2人の約束事にしようって言い出したんはお前ちゃうんか!?
しかもその後こいつは、「明日の朝出て行く」とわけわからんことを言いよった。
確かにソファーの横には、服が詰め込まれたボストンバックが置いてあった。
一悶着した後、有無を言わさずズルズルと寝室まで引きずっていて、ベッドに放り込んだ。
そして自分も乱暴にベッドに滑り込み、くるりと背を向ける。
なんかこいつ、「甘い言葉言ってほしい」とか何とか言うてたな。
甘い言葉ってなんやねん!?
よしここは…
「これからは大切にすんで!観葉植物も、おまえもな! ( ̄∇ ̄+)キラーン!」
とか?
いや、そんなこっぱずかしいこと言えるか!
俺を誰や思うとるんや!生徒から「顔面国宝」と呼ばれている永瀬廉やぞ!?そんな女に媚び売るようなこと言えっか!
あと数十センチ距離を詰めれば、触れ合える距離にいる。
でも、素直じゃない俺たちは、こんな時、そのほんの数十センチの空いた隙間をどちらも詰めることができない。
だけど触れずとも感じるふんわり温かい気配に、ちょっと安心感を覚える。
ありさ「お、おやすみ…?」
蚊のなくような小さな声が背中から聞こえた。
廉「…ん。」
ぶっきらぼうに返事をしながらも、ちょっと口元が綻ぶ。
「2人で生活する上での約束事が欲しい」なんて言われた時には、めんどくさいなぁと思ったけど、まんざら悪くないなと思いながら眠りについた。
君のおやすみの声 明日も聞けるかな
いつまでもそばにいたい いさせて欲しいんだ
素直に言えないから せめて今は
寄り添って眠ろう
翌朝。
息苦しくて目覚めたら、ありさの足が俺の上に乗っかっていた。重…。
昨日はあんなに近づくことのできなかった数十センチの隙間を、難なく超えてきたな、おい…。
廉「ったく、ほんっとに色気ねぇなぁ…」
思わず一人でふっと笑ってしまう。
こんな平和な寝顔を毎朝寝起きに見られたら、昨日までの嫌なことも、全部吹っ飛ぶやろうな。
ちょっとだけ、これからも毎日、この寝顔を見て目覚められたらいいなぁなんて思った。
ちょっとだけな。
すやすやと寝息を立てるそのアホみたいな寝顔に、気付かれないようにそっとキスをした。
喧嘩した後 開いた距離も
愛しいって思うなんて魔法のようだ
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