2017年9月8日。
吾郎、剛、慎吾は今日事務所を退社する。
三人の最後の日、それぞれが思うことは・・・。
こちらは、今日事務所を去る稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾のことを思って書いた超妄想によるフィクションストーリーです。
2話完結です。
現実とは違い慎吾が引退しちゃってますが、本編でそうなっちゃっていまして、こちらはスピンオフ作品ですのでご了承ください。
この作品を読む前に、こちらの作品をお読みください。
ちょっと話が続いてますので。
華麗なる逆襲~彼らの真実~スピンオフ「ベストフレンド」中居に残留を決意させた慎吾の優しさ
本編としては、
華麗なる逆襲~彼らの真実~15「華麗なる逆襲」みんなの愛を味方につけて・・・
と
華麗なる逆襲~彼らの真実~16【最終話】「freebird」会えない時間
の間の出来事という設定です。
剛サイドストーリー
2017年9月8日。
今日、僕は事務所を退社する。
僕は今日、何かを失う。
失うものは何だろう?
強力な後ろ盾か?
築き上げてきた歴史か?
それとも、大切な仲間なのか・・・?
僕はまだ売れない頃
「一人だけ地味だよね」
とか
「ジャニーズ顔じゃないよね」
とかよく言われていた。
それが自分の中でもコンプレックスになっていた。
だって、他の5人は本当に超顔面偏差値が高くて、特にツートップの二人はビジュアルだけじゃなくて放っているオーラが半端なく眩しくて。
でも、卑屈になったりはしなかったんだ。
だって、あの二人と同じグループにいられることが、僕にとって誇らしくて仕方がなかったから。
それからありがたいことに僕にも光が当たるようになって、気づいたらすごいところまで来ていた。
だけど去年の夏、僕はそんな大きな光を失った。
そして今日、また大きな何かを失おうとしている。
あぁ、最近涼しくなったとは言っても、まだまだ暑いな・・・。
僕はまだ陽射しの強い空を見上げる。
去年の夏は、そんなことを感じる余裕もないほど、慌ただしく過ぎ去っていったこの季節。
あれからもう1年も経ったのか。
なんだかすごく苦しくて長い時間だったような気もするし、はっと気づいたら今日という日にたどり着いていたような気もする・・・。
まだ僕の大事な宝物がどこかにあるようで、今日までずっと探し続けながら歩いてきたのかもしれない。
だけどそれは僕の脳裏に見えているだけの、決して辿りつけない蜃気楼なのに・・・。
今日一日、なんだか落ち着かなくて行ったり来たり。
結局何もせずにもう夕方だ。
そして、結局ここへ来てしまう。
熱い陽射しを受けて思い出す ちょっと短めの夏 こんなふうに…
地平線、輝く蜃気楼 僕らはいつでも追いかけてる
出典:SMAP(稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾)「paripia!」作詞:ナイス橋本、作曲:村カワ基成
往来、忘れ物さがして…
時を辿る夕暮れまで
近くなる空はただキレイです
出典:SMAP(稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾)「paripia!」作詞:ナイス橋本、作曲:村カワ基成
剛「来ちゃった。最後の日くらい、一緒に過ごさない?」
慎吾「最後の日くらいって・・・。そうじゃなくてもしょっちゅう来てんじゃん(笑)」
慎吾サイドストーリー
突然のつよぽんの訪問。
だけど、来てくれるかなって正直期待してた。
SMAPじゃなくなって、芸能人でもなくなって、自分は一体何者なのかとずっと考えていた。
だけど、俺が何者になろうとも、きっとつよぽんだけは変わらず俺の隣にいてくれるんだろう。
不思議とそんな確信がある。
俺は一足先にテレビから姿を消してしまったけど、正式に事務所との契約が切れるのはやはり今日だ。
引退を決意した時点でもう未練はないと思っていたのに、やっぱり今日という日が近づいてくるにつれてドキドキしていた。
本当に覚悟はいいんだな?
もう本当に戻る場所はなくなるんだぞ?
と問いかけられているようで。
剛「ちょっとドライブでも行こうか?」
つよぽんは僕を外へと連れ出した。
黙って運転するつよぽんは、海へと車を走らせた。
わざわざそんな感傷的になるようなところに行かなくてもいいのに。
もう外は暗くなっていた。
去年の夏、俺たちは別れを決断した。
木村くんの意思を無視した強引な決断だった。
本当にそれで良かったのかな・・・。
確かにあの時そうするしかなかったのだけれど、今でも違う未来があったのではないかと想像してしまう。
5人であの場所から脱出すると夢見ていた未来を。
だけどあの決断は、木村くんのことを誰よりも理解している中居くんが考え抜いて決めたことだったから、間違いではなかったとわかってはいるんだ。
だけど、やっぱり僕は弱くて・・・受け入れられなかったんだ。
この5人はどんなことがあってもこの先もずっと続いていくと、その根拠のない自信をまだ無邪気だった子供の頃から一度だって疑ったことがなかったから・・・。
俺たちは車を停めて、海を見ながら話をする。
剛「毎晩寝るときにね、ギュって目をつぶって祈って眠るんだ。そしたら、朝起きたら何もなかったように元通りになってないかなって」
慎吾「そんな魔法みたいなこと、あるわけないでしょ」
剛「ドラえもんのもしもボックスみたいなさ?」
慎吾「ドラえもんいねーし!まずいたら、真っ先にタイムマシンで戻ってるし!」
剛「・・・だね」
そう、ここは魔法もない、ドラえもんもいない、超現実世界。
だけどどうしても期待してしまう。
あの二人なら、そんなマジック起こせそうで。
僕らはあの日見た夢に溺れた
pa.ri.pi.a!
僕はまだ、君と海を見てる…
ワンモアタイム!
2人何時だって分かり合える…
時に強引な暑い季節
僕らの時間はずっと続く!
そんな気が本当にしたのです
月明かりが照らしたダンスフロア
手掛かりもなくて強がりでほら…
そのマジック期待してる
二度とない夜に 君を待ってる
出典:SMAP(稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾)「paripia!」作詞:ナイス橋本、作曲:村カワ基成
剛サイドストーリー
慎吾「ねぇ、今日も中居くん誘っちゃおうか!前に三人で飲んだじゃん」
暗くなってしまった空気を打ち消すように、明るい口調で慎吾が言った。
剛「あ、だったら今度はまず木村くんを誘わなきゃ!前に先に三人で集まってたら、ヤキモチ妬いて来てくれなかったって、中居くん言ってたじゃん」
木村「あ?今日、これから?無理。行けない」
剛「また~。前にもそんな冷たいこと言って断ったじゃん~。だから今回は一番最初に声かけたのに~」
木村「いや、だって俺これからワッツあるから」
あ・・・そっか、今日9月8日は金曜日だった。
それじゃ無理に決まっている。
剛「そっかそっか、ごめん忘れてたよ。頑張ってね~!」
明るく電話を切ったものの、正直ちょっと凹んでいた。
でも、仕事なんだから仕方がないさ。
剛「じゃあ、今度は中居くんに電話してみるよ」
中居「ん・・・行かない」
剛「え~、中居くんも仕事?」
中居「いや、そうじゃないけど」
剛「え?じゃあなんで?木村くんはワッツがあるから無理だって言ってたけど、中居くん仕事じゃないなら来てよ~!また前みたいに一緒に飲もうよ~!」
中居くんはしばらく言葉を発さなかった。
その間に、僕はゴクリと息を呑む。
中居くんの強い決意のようなものを感じ取ったからだ。
中居「お前らさ、明日から俺と木村がいない世界で戦っていくんだぞ?
最後の最後まで俺らと一緒にいなきゃダメなようでどうすんだよ?
もうこれからは何かあっても、俺も木村も飛んでいって守ってなんかやれねーんだぞ?」
そうだ・・・もうどんなに辛くても寂しくても二人に泣きつくことはできないんだ。
今日一日、二人なしで過ごせなくてどうする?
こんなんじゃ、僕は一人になった途端に潰れてしまうんじゃないか?
中居くんは、”強くなれ”と言っている。
僕が逮捕されて自粛している時も、吾郎ちゃんが逮捕されて自粛している時も、中居くんと木村くんは会いに来なかった。
それは、二人なりの愛情。
僕たちを強くするための。
吾郎サイドストーリー
マイペースだとか、クールだとか、人は勝手に僕のイメージを作るけど、僕だって人知れず寂しくなったりはするんだ。
だけど、その気持ちを表現するのが下手なだけ。
いつからかなぁ、こんな感じになったのは。
そうか、森くんがいなくなった頃かなぁ。
5人グループのちょうど真ん中に位置することになった僕は、「中間管理職」。
けっこうこれ、難しいポジション。
うまく双方の意見を聞いて、調整するバランスマン。
だから、自分の意見とかあんまり言わなくなった。
上の二人みたいにグイグイ引っ張っていくようなリーダーシップもない。
下の二人みたいに素直に自分の気持ちを伝えて可愛く甘えることもできない。
そう、これ3人兄弟の真ん中で育った人なら理解できるでしょ?
それで、いつもなんとなく人と距離とって生きる癖がついてしまった。
だけど、こんな日は僕だって誰かと一緒にいたいんだ。
あの夏に失ってしまった彼ら。
ずっと繋がっていたかった。
28年分の思い出が、ずっと頭から離れないんだ。
ただ彼らがいてくれれば、他には何も望まないのに。
だけど、それを断ち切ることを決めたのは、紛れもなく僕たちだ。
決めたのは中居くんだけど、僕たちは同意した。
いつものようにバランスを保つためにただ“同調した”だけじゃない。
僕自身が、木村くんを守るために、そうするしかないと思ったから。
あの日、28年間一緒にいて、初めて見た木村くんの涙。
今でも思い出す・・・。
僕はあの時思い知ったんだ。
本当に強い人が涙を流すときって、悲しいときじゃないんだ。
何かを諦めたときなんだって。
木村が涙した時の話はこちら!(フィクション小説の中の話です)↓
華麗なる逆襲~彼らの真実~9「オレンジ」決断~木村を守るために~
その涙を僕は予想しない…
過ぎた時間は ただ取り戻せない
出典:SMAP(稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾)「paripia!」作詞:ナイス橋本、作曲:村カワ基成
僕らはこの夏でつながりたい
思い出の中の君が離れない
甘いRHYTHM、鮮やかなパーティー
君がいれば全てオーライ!
出典:SMAP(稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾)「paripia!」作詞:ナイス橋本、作曲:村カワ基成
ピンポーン。
その時、インターホンが鳴った。
誰だろう?
約束もしていないのに、訪ねてくる人なんてまずいないのに。
僕はモニターを覗く。
あ・・・・。
この続きは後編で!↓
「TAKE OFF」7つの星 華麗なる逆襲~彼らの真実~スピンオフ後編
SMAP「paripia!」
SMAP「paripia!」の歌詞全文を知りたい方はコチラ!
収録アルバム
収録曲
DISC1
- Theme of 018
- TAKE OFF
- Nai Yai Yai
- Simple
- paripia!
- Triangle
- モアイ
- Call Your Number
- 星空の下で
- だいじょうぶ
- STAY
- Dear WOMAN
- 女の子とLOVE SONG
- 君がいる
- L-O-V-E
- TOKIO
- Everybody
「パリピア」は三人の呼び名だよ
「paripia!」は稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾の三人のユニット曲。
この曲が由来となって、三人のことを呼ぶときには「パリピア」と言う。
ちなみに他のメンバーの呼び名は
中居、木村→つとぷ、ツートップ
剛、慎吾→しんつよ
中居、剛→どんぐり
中居、吾郎→なかごろ
中居、慎吾→サタスマ(1998年10月31日から2002年3月23日にかけてフジテレビ系列で放送されていたバラエティ番組の番組名より)
木村、剛→TK(イニシャルから)
木村、吾郎→O型コンビ
木村、慎吾→モアイ(Pop Up! SMAP収録の二人のユニット曲の曲名から。この曲好き)
吾郎、慎吾→しんごろー