華麗なる逆襲~彼らの真実~13「Dawn(夜明け)」キリン氷結言わせとけ!

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中居、キリン氷結CM「言わせとけ」。
あまりの影響力の大きさに、SMAPメンバーでのリレー方式CMが実現・・・!?
離れていても、SMAPの仲間を守る方法を見出した中居は・・・。

(今までは過去の事実に辻褄合わせるように裏側をフィクションで書いてきましたが、現在に追いついてしまったので、今回のお話はかなりの部分がフィクションと個人的な希望となっております。2017年2月現在)

華麗なる逆襲~彼らの真実~12

キリンCM担当サイドストーリー

渋谷駅。
業者のおじさんが、特大ポスターを貼り始めたくらいで、もう道行く人々がざわつき始める。
「あっ、中居くんだ!」

 

思わず声を上げた女性二人組が足を止める。
その声に反応したように、後ろを通っていたベビーカーを押した主婦が足を止める。
品のいいシニア夫婦が足を止める。
「あ~!この人知ってる~!保育園でやってる歌~!せかいにひと~つだけ~のはぁな~♪」
ママの手を引いた子供が歌いだす。

 

あたりはあっとゆう間に人だかりになってしまった。

 

キリン、氷結、中居正広の特大ポスター。

 

いつもの雰囲気とは違ったキリリとした表情で中居さんがバットを振っている。

 

「これは、ありだな・・・」
僕は独り言をつぶやく。
あ、突然すいません、僕このCMを担当した広告代理店社員です。

今回、僕語りです、すみません。

 

 

今度のCMに中居正広を起用すると上から聞かされたのは、まだSMAPが存続している2016年の年末。
中居正広のソロとしての初CMを手がけられると聞いて、僕は大きな喜びととてつもないプレッシャーを同時に感じた。
これは僕にとって、そして中居正広にとって、今までで一番大事な仕事になるかもしれない。

 

僕は男だから、特にSMAPのファンというわけではなかったが、SMAPと同じ世代を共にずっと生きてきたいわば“同士”のような存在だと捉えていた。
僕が社会人になりたての時には、うまくいかないことも多いサラリーマンへの応援ソング「がんばりましょう」が大ヒットしやけに心に染み、会社の忘年会や合コンを盛り上げるときには「青いイナズマ」の「ゲッチュー!」にさんざんお世話になり、奥さんを口説くときにはSMAPが大好きな彼女のために「らいおんハート」を必死で練習して歌い、子供が生まれて童謡のCDを買うとかわいい子供の声で歌うバージョンの「世界に一つだけの花」が収録されていた。

 

そう考えると、彼らはいつも僕の人生に寄り添い、苦しい時も楽しい時もいつもそこにいてくれたのだ。
だからこそ、今度は僕が中居正広の気持ちに寄り添って、今回のCMを作りたいと思ったのだ。

 

爽やかでかっこよくて、お酒がおいしそうに見えるCMなら、クライアントは十分納得してくれるかもしれない。
しかし、テレビの前でこのCMを見る視聴者は、ただ「うまい!」と酒を飲む中居正広を見たいのではないだろうと思った。
だから

「攻めていこう。ガツンと来るような挑戦的なキャッチコピーでいこう」

と決めたのだ。

 

 

「前へ」

 

「世界は広い」

 

「よろしく自分」

 

「言わせとけ」

 

「あたらしくいこう」

 

 

このキャッチコピーを掲げて中居正広が思い切りバットを振る。
この構図を思いついたときは、自画自賛だが正直鳥肌が立った。
上からはこんな挑戦的なコピーを中居正広に言わせて、ジャニーズ側に睨まれたらどうするんだと説教をくらった。
クライアントもOKを出さないのではないかと。
ジャニーズを怒らせて、キリンの現在放送されている嵐の出ているCMが打ち切りにされることもありえない話ではない。
そんなことになったら、もう二度とCM制作の話でうちには声がかからないだろう。

 

しかし、俺はそんなことにはひるまない。
中居正広に嘘の笑顔をさせて酒を片手に微笑んでもらうより、何かをぶち壊すようにバットを振ってもらいたい。
きっとその思いを受け取ってくれる視聴者は、たくさんいるはず。

 

そして、僕はなんとか上司を説得して、プレゼンでキリンの担当者を説得することができた。
これは僕と上司との戦いであり、キリンとジャニーズという会社と会社の戦いでもあった。
そして、お互いに譲歩する形で契約は成立。

 

世にたくさん出回るテレビCMでは「あたらしくいこう」のコピーだけをメインで流す方向で決着がついた。
キリンのオフィシャルサイトにも「言わせとけ」バージョンは載せるのを控えるようにとジャニーズ側からお達しがあった。

 

しかし、2月6日、読売新聞が全面広告を載せるにあたって選んだコピーは「言わせとけ」だった。
どんな売れ行きか、コンビニに偵察に行ってみる。
すると、回っても回っても売り切れ!駅にも行ってみるが売り切れ!
仕方なく直接販売店へと行って、やっと手に入れた。
「今日、なんかあるの?」
と店の人が聞いてきた。

 

僕「中居さんの広告が載ってるんですよ」
店の人「あ~、なるほど!なんか問い合わせがすごくて!それでかぁ、いやあ納得!それにしても影響力すごいね、あの人は!」
僕「ですね~!」

 

中居正広の話で盛り上がるおじさん二人の会話、なんか変だけどすごく嬉しかった。
僕は店を出て、もう一度独り言をつぶやく。

 

「いや、絶対ありだなこれは・・・」





「なに~!?お前、またそんな突拍子もないことを言い出して・・・!」
上司が目を丸くしたのは当然のことだった。
何が”あり”なのかと言うと、僕の頭の中にはこのCMを作るときに最初からある構想があった。
だから、広告にはあえて「中居正広編」と表記させてもらったのだ。
このCMが成果を出さなければ、この構想は僕の胸の中にしまっておくつもりだった。
だけど、中居正広はとんでもない成果を上げてくれた。

 

僕「いや、でもこれは絶対に市場が望んでいることです!氷結の売上だって中居さんのCM放送開始されてからすごいことになってますから、きっとキリン側もなくはない話だと思ってくれるはずです!」
上司「う~ん、それは確かに・・・」
僕「ここで一気に、勝負かけましょう!!」

 

氷結のCMは、一人のタレントが担当する期間がすごく短い。
どんどんと新しいバージョンに変わっていくのが特徴だ。
僕が言い出したのは、今後の氷結のCMで元SMAPのメンバーをリレー方式で出していくという提案だ。
もちろん出演タレントの決定権はクライアントにあるが、商品の売上が見込めればこの案が通る可能性はなくはない。
「でもなぁ・・・。」
上司はすぐには納得しない。
確かに難しいことではある。
ジャニーズ側がこのオファーを受けない可能性は大きいし、第一キリンにとってはそんな斬新なことをするメリットがあるか・・・。

 

僕「でも、もしこれで売上がすごいことになったら!?今までと同じ安全なことばっかりやってたら、大きな成果なんて出ませんよ!もっと新しいことに挑戦しなきゃ!“あたらしくいこう”でしょ!?」
上司「・・・・わかった。俺が上に話を通そう!」

 

ひとつCMを当てたからと言って、いい気になっているとライバルの同僚は僕の陰口を言うだろうか?
それとも、SMAPの解散をいつまでも受け入れることのできない哀れなファンの悪あがきだと鼻で笑うだろうか?

でも、そんなことはどうだっていい。
言いたいやつには、言わせとけ!

 

SMAPは、今でも5人で繋がっていると示したい。
決して仲違いで自ら別れを選んだんじゃないってことを示したい。
SMAPの何を知っているわけじゃないが、そんな気がする。
そう思っている人が多いから、こんなにもたくさんの人が、この広告を評価してくれたんだろう?

 

僕は、大人の事情になんか縛られずに、ただみんなが求めているものを世に送り出したい。
伝えなければいけないことを伝えたい。
中居正広が、SMAPが、今までそうしてきたように。

 

そこで、僕は改めて気づく。
あぁ、僕はれっきとした”SMAPの大ファン”だったんだ、と。




中居サイドストーリー

その知らせは、他のメンバーに届くと同時に、マネージャーを通して俺の耳にも入った。

 

俺のした仕事が、他のメンバーに繋がっていく。
夢みたいな話だった。

 

解散して年が明けて、俺たちは全く会うことがなくなった。
今までだって、スマスマの収録以外では会うことなんてなかったのだから当然だ。
だけど、週に1度必ず5人で顔を合わせるというあの時間が、どれだけ俺の心の支えになっていたのかを思い知る。
ソロになったら、俺はどんなふうに仕事を頑張っていけばいいんだろうと、ずっと前が見えなかった。

 

もう俺たちは繋がっていない。
他のメンバーが困っても、もう手を差し伸べることができるほど近くにはいられないのだ。

 

だけど、俺はやっと気づいた。
俺は俺の仕事を頑張る。
それが、みんなを守ることに繋がっていくのだと。

 

そう思うと、自然と力がみなぎっていくようだった。

そして、年が明けてからずっと真っ暗で何も見えなかった俺の世界に光が差し込む。

そして、視界が開けていく・・・。

 

きらめきに僕らはそう 優しく包まれて

遥かなる未来へと飛んでゆく

その先に何かがそう 僕らを待っていて

あふれだす希望を ひとつひとつかなえてく

出典:SMAP「Dawn」作詞作曲:森元康介

SMAP「Dawn」の歌詞全文はこちら





そして、マネージャーからもう一ついい知らせを聞かされた。
俺のレギュラー番組“ミになる図書館”が、ゴールデンに移行することに決まった。
それを決定したのは、テレ朝の上層部の鶴の一声だったそうだ。
ジャニーズよりも、俺についてくれるって宣言してくれてるようなもんだとマネージャーは鼻息を荒くして話していた。

 

そしてそのお偉いさんは、今後「ぶっすま」も「スマステーション」も“スマ”の部分を番組名に残したまま継続してくれると宣言したらしい。
中居「どうしてそうまでして俺たちをプッシュしてくれんの?」
素朴な疑問だった。
マネ「それはですね~、な・ん・と!その方の奥さんが、SMAPの大ファンなんですって!奥さんけっこうミーハーらしくて、他のジャニーズの若い子にもキャーキャー言ってたけど、やっぱりSMAPなくなるってなったらそりゃあもう、嵐もジャンプもそっちのけで落ち込んじゃってるみたいで。それでスマロスになってる奥さんの様子を目の当たりにして、まだまだ市場に需要があるって感じた、って話してましたよ!」
中居「え?そんな理由?奥さんがファンだからって??」

 

そんな簡単な話でいいのか?俺たちがどんなに抗っても変えられなかったこの難しい問題を、奥さんがファンだからという理由一つで力になってくれようとしている人がいるなんて、何ともおなしな話だ。

 

マネ「そんなもんですよ~。だって、テレビを作ってるのはお堅いおじさんたちでも、テレビを見ているメイン層はだいたい主婦とか女性たちですからね!

この前の中居さんのせいで、”よーじや”のサイトがサーバーダウンした事件とかも、影響力ハンパないじゃないですか!

視聴者の反応は正直ですよ。ファンの声を一番大事にするのが、視聴率に最も直結しますから。テレ朝も妥当な判断だと思いますよ!

僕、田舎出身じゃないですか。“東京歩いたら芸能人にぶつかる“とか言うの本気にして上京してきたけど、この仕事じゃなきゃ実際全然ぶつからないっすよ。でも、東京でも田舎でも、ちょっと歩けばSMAPのファンにはぶつかりまくります。そうゆうことです!」

 

ちょっとバカっぽいマネージャーのこの熱弁は、不思議ととても心に刺さった。
俺たちには、同じ場所で笑いあったあの時間はもう戻ってこないのかもしれない。
もう姿も見えない。声も届かない。

だけど、俺たちは決してひとりじゃない。
どんなに離れていても、俺はあいつらから力をもらってる。
いつまでもあいつらを支えてやりたい、そして一番俺がSMAPという存在に支えられている。

 

もう見えないけれど、ずっとSMAPは俺のそばにいる。

 

俺たちは、たった一人でも、それぞれの道を自信を持って歩けばいい。
それが、他のメンバーとどこかで繋がっていることを信じて。

僕らは いつだって 一人じゃ無いんだよ

Please Stand Up いつも感じてたくて

だからDon’t Cry きっと夢じゃない
どんなに 遠く 離れていても そばにいるから

 

出典:SMAP「この瞬間、きっと夢じゃない」作詞作曲:Hi-Fi CAMP

 

ふざけあった時間は もう戻らなくて 言葉だって届かない

あの日君が流した涙も 僕ら一緒なら ほら笑い顔

僕はあの日 霞む空に また「強くなるさ」と誓った

 

出典:SMAP「この瞬間、きっと夢じゃない」作詞作曲:Hi-Fi CAMP





ソロ活動を始めた俺らの新たな門出は、思ったよりも快調だった。
木村のドラマはやはり今クール一番の視聴率をマークしたし、剛のドラマでは「複雑な感情を表情で演技できるすごい俳優になった」と剛の演技にかなりの高評価。
俺たちの快進撃は始まろうとしていた。

 

一人ずつ歩き出した道にも、明るい光が差し始めたかに思われた。
あの日、慎吾の言葉を聞くまでは・・・。

 

「ひっさしぶりだな~!どうしたんだよ、お前ら!?」
会わなくなって3ヶ月ほど月日が過ぎ去ろうとしていた頃だった。
剛と慎吾が会いに来た。
久々の再会だというのに、二人ともどうにも表情が暗い。

 

剛「ごめん、中居くん・・・。僕、どうしても止められなかったよ・・・」
中居「止められなかったって、何が?どうした?何があった?」

 

剛はうつむいてしまい、もう何も言わない。
すると、慎吾がゆっくりと静かな声で言った。

 

慎吾「中居くん、僕、引退したい」

 

華麗なる逆襲~彼らの真実~13

 

 

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