この俺が、理性を失うほどの恋をするなんて、もう二度とないと思ってた。
あいつが俺にベタ惚れのはずやったのに、最近何かがおかしい。
こんなにも大切に思うなんて、あの頃の俺からは想像もできなかった…。
今まで超余裕な恋愛しかしてこなかった超モテ男・廉が、本気の恋をした…!?
シリーズ「koi-wazurai」のスピンオフ永瀬廉くんのお話。
私の小説では、キンプリの曲の歌詞をモデルにストーリーを構成しています。
今回のテーマ曲はアルバム「L&」から「生活(仮)」です。
これの前のお話はこちら。
全3回で終わる予定でしたが、ちょっと長くなりました。次回、最終話です。
相関図
「俺が選んだ」(ありさサイド)
今朝起きたら、廉の機嫌は普通に直っていて、このまま昨日の「出てけ」発言についてはぶり返すのはやめておいた。
このままうやむやにしてしまえるなら、ラッキーだ。
今日は廉の学校の花壇にお花を納品に来ている。廉はここの高校の教師。
風「ありさ~!」
ありさ「あぁ、風!」
風「昨日は、遊びに来てくれてありがとね!昨日れんれん、途中から機嫌悪かったみたいだけど大丈夫だった?」
ありさ「う~ん、あんま大丈夫じゃないかも…。あいつ、何考えてるか分かんないよね」
廉「誰がや?」
ありさ「ぎゃーΣ( ꒪Д꒪)!! 」
突然、後ろからぬっと廉が顔を出したので、心臓が飛び出るかと思った。
廉「彼氏に対して、なんやねん、その化け物が出たみたいなリアクションは!」
ありさ「だってあんたが突然出てくるから!」
あ、あれ?今「彼氏に対して」って言った?
じゃあ、別れるつもりはないってこと?やっぱり部屋、出てかなくてもいいのかな…?ホッ。
女子生徒「あー、またれんれんと舞川先生、イチャイチャしてる~!」
女子生徒「違うよー、もう舞川先生じゃなくて、平野先生だよ!れんれん、不倫はダメだよ?残念だけど、もう舞川先生は人妻なんだからね!」
廉「なんで俺がふられたみたいな設定になっとんねん!」
女子生徒「だって舞川先生、結婚しちゃったから~。大丈夫、れんれんには私たちがいるよー」
キャラキャラと女性生徒が廉をからかって笑っている。
前から、生徒たちから「廉と風が付き合っている」と噂されていた事は知っている。
だって、どっからどう見ても美男美女、お似合いだもん。
それに引き換え、私はエプロン姿の「出入り業者」。
こうして3人で立っていても、生徒たちには私の姿なんて見えていないみたい。
「私が廉の彼女なんですけどーー!」って大声で宣言したいくらい。
でもきっと信じてもらえなくて、妄想で頭おかしくなった廉のストーカーだと思われるのがオチ。
逆に精神ヤバいやつと思われて出禁になったら困る。
女子生徒「れんれん。生活発表の自由研究、ちょっと面白いことやってるから、見せてあげる!来て来て!」
女子生徒が廉の腕を両手で引っ張る。
風「はいはい、私が見てあげるから、行こうね。じゃぁ、永瀬先生、先に行ってますね」
風が気をきかせて、女子生徒たちを引き離して連れて行ってくれた。
相変わらず廉は、モテてんなぁ。
女子高生、ピチピチしてんなぁ。
すごく綺麗な手だったなぁ…。
自分の両手を眺める。あかぎれだらけの泥のついた手。
ありさ「風と3人で並んだらさぁ、誰だって廉の相手は風みたいなかわいい子がお似合いって思うよね。こんなエプロン姿でどろんこになってる私が廉の彼女だなんて、誰も思いもしないよね。全然釣り合ってないもんね。ハハハッ」
つとめて明るく言う。別に傷ついてなんかないよって、強がって。
廉「なんで俺の彼女を生徒たちに決められなきゃあかんわけ?」
ありさ「え?」
廉「お似合いとか釣り合うとか、誰が決めんねん。俺がお前を選んだんや。なんか文句あんのか?」
「俺がお前を選んだ」…。
う、嬉しい…。嬉しすぎる…!(๑º△º๑)
廉がそんなこと言ってくれるなんて!
ありさ「それ、生徒たちの前で言ってくれたらよかったのに!」
廉「は!?いきなり教師が生徒に彼女紹介してたら頭おかしいやろ!しかも勤務中に!職場で!」
ありさ「そうだけどさぁ〜…じゃあもう一回言って!今度は耳元で!囁きバージョンで!」
廉「お前アホちゃうか!?もう俺行くわ!じゃあな!」
ありさ「はーい…後で職員室に納品書持ってくね〜」
廉は振り向かずにひらひらと片手を上げて、行ってしまった。
ちぇーっ。束の間のイチャイチャだったな…。
でも、これで完全仲直りだよねっ。
あれ?そもそもなんで昨日は廉、あんなに機嫌悪かったんだろ?
ま、いっか!これで部屋出て行かなくてよくなったみたいだし。
理性を失うほどにあいつのことを…(廉サイド)
ついつい職場やっちゅーことを忘れて、恥ずいことを言ってしまった。
でもええか。なんか、あいつめっちゃ嬉しそうな顔してたし。
はっ!もしかして、さっきみたいのがあいつの言ってた”甘い言葉”っちゅうやつか?
女ってもんは、何でもかんでもすぐ言葉にしてほしがるからめんどいわぁ。言わなくてもわかるやろ!
昨日はちょっと「出てってもええ」言うたら、言葉通りに受け取ってほんとに出てこうとしてるし!危ないとこやったわ…。
でも、これで同棲解消回避できたっぽいから一安心、っと。
職員室。
男性教師「あ、今日”お花屋さん”来てるんですね」
窓の外を覗いて、同僚の教師が言う。
男性教師「あの子、いつもどろんこになって一生懸命お花の世話してていい感じっすよね。飾らない感じで」
そやねん、俺もそういう姿見て、ええ子やんって思ってたんよな。
男性教師「いつも元気で気さくに話しかけてくれますしね」
そやねん、ほんま誰とでも仲良くなれるところが、あいつの一番の魅力やねん。
男性教師「それにいつもエプロン姿でわかんなかったけど、よく見たらけっこうバイスバディなんですよね」
そやねん、俺のめっちゃタイプな…って、んん!?なんやて!?どこ見てんねん!
河合先生「あ、気づきました?そうなんですよ、あいつけっこういい女なんですよね」
男性教師「ですよねですよね!俺、狙っちゃおうかな~。あ、納品書持ってきたときに、ちょっと連絡先聞いてみよっかな」
お、おいおいおい!!
廉「それ、セクハラですね!!」
男性教師「え?そう?でも、教師って出会いないし。これもまた職場恋愛みたいな感じで、いいんじゃない?」
廉「いやダメでしょ!向こうは契約切られると思って断れないかもしれないから、そういう立場の人に連絡先聞くのは、完っ全にセクハラです!!(`꒪Д꒪)σ」
男性教師「え~~~」
河合「じゃあ、俺が狙うかな」
風「えぇっ!?河合先生、それはキモい!!元教え子をそういう目で見てたんですかぁ!?」
俺が声を上げるよりも先に、隣で風ちゃんが激しくリアクションする。
そやそや!風ちゃん!もっと言ってやってくれ!
河合先生には、まだ俺たちのことは話していない。
河合「全然問題ないだろ?もう卒業して何年も経ってんだから。舞川も結婚しちゃって今年のクリスマスの河合会は、もうメンバー廉と中野しか残ってないしなぁ。廉、お前もう今年は来なくていいぞ。そしたら俺、中野と二人でクリスマス過ごすから。お前とクリスマス過ごしたい女なんていっぱいいるんだから、そっち行け。今年は来るな」
男性教師「河合先生、ずるいっすよ!だったら俺も呼んでくださいよ!」
河合「いや、中野は俺がもらう」
は、はぁ~~~っ!?何言うてんねん、みんなして!?
ありさ「こんにちはー!作業終わりましたー!納品書でーす!」
ちょうどそこへありさが職員室のドアから顔を覗かせる。
男性教師「あ、じゃ、俺が…」
廉「いえ!俺が!」
ありさ狙いの先輩教師を押しのけるようにして立ち上がる。
男性教師「え、いいよ俺が…」
廉「いえ!俺が!!!こういうのは、新人の仕事なんで!!!」
男性教師「あ、はい…」
あまりの俺の鋭い目力にひるんだのか、先輩教師がひょろひょろと椅子に腰を落とす。
ありさ「あ、じゃあこれ、よろしくお願いいたします!」
廉「あ…この前の納品書なんですけど、ちょっと確認してもらいたいとこあって」
ありさ「え?」
廉「あ、ちょっとこっち、いいっすか?」
いつもはポンと納品書を渡して帰ってしまうけど、なんかすぐに帰したくなかった。
納品書の入っている棚のほうに手招きする。
ちょうどホワイトボードの影。
ありさ「何か間違いとかありました?」
きょとんとした超絶無警戒な顔で、ついてくる。
ありさ「……っ!!?」
ありさがホワイトボードの影に入ってくるなり、そのまま手を掴んで引き寄せキスをした。
ホワイトボード一枚隔てた向こう側に、みんなの気配を感じながら。
本当はみんなに見せつけてやりたい。
こいつは俺の女や。誰にも渡さへんで、って。
そっと唇を離すと、至近距離で顔を真っ赤にしたありさがパクパクと声にならない息をもらしている。
やば、なんかすげーかわいい…。
そのまま視線を落とす。
確かにエプロンの上からでもわかるダイナマイトボディ…。
谷間を隠すようにエプロンをクイっと持ち上げる。
廉「これでよしっと」
ついでにそのふくらみに両手を添えてみた。
バシィッ!!!
廉「いぃっ…!!」
ものすごい強さでファイルで頭を殴られた。
ありさ「何してんのよ!!」(超小声)
廉「や、ちょっと、我慢できんくて」(超小声)
ありさ「はぁ~っ!?どんだけ性欲強いんじゃ!!」(超小声)
男性教師「どうしましたー?なんか今すごい音しませんでした?」
ひょいっと先輩教師が覗き込む。
ありさ「い、いえ、ちょっとファイル落としちゃっただけですー。ふふふふー。じゃ、またよろしくお願いしまーす」
ありさは慌ててごまかして、逃げるように帰っていった。
なに、自分見失ってんねん俺…。
何かがおかしい。
もともとあいつが俺のこと、好きで好きで、昔からずっと俺のこと好きやったんやなかったっけ?
俺は高校んときは、あいつのことなんて男友達みたいなもんくらいにしか思ってなくて。
こんな気持ちになるなんて少しも思ってなくて…いや、そんなこと言ったら、またものすごい怪力で殴られそうやけど…。
まぁ、昔から「付き合いやすくて、ええやつやな」とか思ってたけど、まさかこんな…。
あいつへのご機嫌取りでも何でもなく言うけど…
今の俺は、理性がきかなくなるほど、あいつに心底惚れてしもたみたいや…。
出会った頃 こんなにも 大切に想うなんて
少しも思わなくて
いや 少しは思ってたかな
最終回へ続く。
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第2章始まり!海ちゃん、平野くん回↓
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平野、廉、三角関係回↓
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アフターストーリー
①はわけあって、別の小説サイトに載せてます。
スピンオフ作品
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