「ストロベリーナイトサーガ」7話8話で放送される「インビジブルレイン」について原作の小説のネタバレを簡潔に解説していきます。
姫川、菊田、牧田の三角関係。姫川が牧田に惹かれた複雑な心境や、本当に姫川は菊田ではなく牧田を好きだったのか?といったところの考察をしていきます。
竹内結子さんと西島秀俊さん版では映画化されましたが、原作との違いも少しありました。
目次
「インビジブルレイン」竹内結子版映画と二階堂ふみ版ドラマ「サーガ」キャスト比較
竹内結子版映画 | 二階堂ふみ版ドラマ「ストロベリーナイトサーガ」 | ||
姫川玲子 | ヤクザとの恋に落ちる | 竹内結子 | 二階堂ふみ |
菊田和男 | 姫川に失恋 | 西島秀俊 | 亀梨和也 |
牧田勲 | 姫川と恋に落ちる | 大沢たかお | 山本耕史 |
柳井健斗 | 今回の事件のキーマン。 | 染谷将太 | 寺西拓人(ジャニーズJr.) |
小林充 | 暴力団の下っ端。殺される | 金子ノブアキ | 古野陽大 |
藤元英也 | 六龍会時期組長。殺される | 鶴見慎吾 | 鈴木隆仁 |
川上 | 牧田の舎弟。 | 金子賢 | |
長岡刑事部長 | 警察の失態を隠ぺいするため、柳井健斗の捜査をしないよう命令。 | 田中哲司 | 小市慢太郎 |
和田一課長 | とてもいい上司。 | 三浦友和 | 羽場裕一 |
柳井篤司 | 実の娘に性的虐待。冤罪の罪を着せられ自殺。 | 飯田基祐 | |
柳井千恵 | 柳井健斗の姉。9年前、殺された。 | 横山美雪 | |
内田貴代 | 柳井健斗の彼女。健斗の子供を妊娠。 | 岡本玲 | 永瀬莉子 |
「インビジブルレイン」の時系列
「インビジブルレイン」は、ストロベリーナイトシリーズの最初の作品「ストロベリーナイト事件」から3年後の12月の話です。
ストロベリーナイトは8月の話で姫川が当時29歳。インビジブルレインは12月の話で姫川が31歳です。年齢としては2歳しか年を取ってないので、3年弱ということなのかな?
姫川が警部補になったのは27歳だから、ストロベリーナイト事件は姫川班が結成されてから2年後の話?菊田は姫川班が結成されるより前から姫川と一緒にやってきたということですから、そうなると菊田の姫川への片思いは少なくともこの時点で5年以上続いているということになります…!
そんなに長い間、すぐそばにいながら気持ちを伝えることができなかった菊田。それがこの事件によって、大きく姫川と菊田の恋愛的な部分に変化が起こります。
「インビジブルレイン」のあらすじネタバレ!事件の内容編
「インビジブルレイン」のストーリーでは、
- 9年前の柳井健斗の姉・千恵の絞殺事件
- 暴力団員(下っ端)の小林充殺害事件
- 次期龍崎組組長・藤元英也銃殺事件
- 柳井健斗の自殺
この三つの死亡事件について理解する必要があります。
事件の犯人だけをパパっと知りたい方は、この記事の下のほうの事件のまとめへジャンプしてください。
柳井健斗の姉・柳井千恵絞殺事件
この事件の主人公とも言える柳井健斗。
父、母(病気で死亡)、姉の千恵、健斗の四人家族だった。
父親は母が亡くなった悲しみを埋めるため、実の娘の千恵を代わりに愛するようになる。
その愛情表現は、千恵への性的虐待という形で行われた。
しばらくして千恵に彼氏ができた。それが今回の殺人事件の被害者となった小林充だ。千恵は父から逃げるため、小林と一緒に暮らすため家を出た。
健斗は千恵の幸せを願って、小林充に千恵を任せた。
しかしある時、父親に千恵の居場所がばれてしまう。父親はすぐさま千恵の暮らしているアパートに出向き、そこでまたしても千恵に性的虐待をする。
それをたまたま帰ってきた小林が目撃してしまう。自分の彼女が実の父親とそんな関係だったなんて初めて知った小林は、激しい嫉妬と嫌悪感に襲われ、父親が帰った後、残されていた父親のネクタイで千恵の首を絞めて殺してしまったのだ。
しかし当時の警察は、父親が千恵に性的虐待を行っていた事実を掴んでいて、犯人は父親であると決めてかかった捜査をしていた。父親は愛する千恵を失った悲しみと自分が容疑者扱いされていることを思い悩み、事情聴取を終えた帰りに警察内で警官から銃を奪い取り、その場で拳銃自殺した。
千恵も父も失くした健斗は天涯孤独の身となり、絶望する。さらに信じて姉を託した小林が千恵を殺した張本人だったことを知り、小林に復讐することだけを目標として生きるようになった。
今回、柳井健斗が小林充を姉の復讐で殺したことがバレると、警察が冤罪の容疑をかけた失態を犯したため、父親が自殺した件がバレてしまうため、柳井健斗への捜査をしないことが下命される。
しかし、真実を闇に葬ることのできない姫川は、単独捜査を開始する…。
牧田と柳井健斗の関係
今回、姫川と恋に落ちる相手・牧田勲。
牧田は、極清会会長。石堂組若頭補佐。
牧田と柳井健斗は、情報屋(柳井)と客(牧田)という関係性だった。健斗は小林に復讐したいが、チンピラから暴力団の下っ端に上がった小林に腕っ節ではかなわない。誰かに殺人を依頼するためにはお金が必要。健斗は天才的なハッカーの才能があったため、警察の情報を盗み出し、それを売ることでお金を貯めていた。
ちゃちゃ
それを牧田が健斗から全て買取って、必要としている者に必要な情報を適正な価格で売りさばくと言う、マネージャーのようなことをしていて、二人はかなりの信頼関係で結ばれていた。
牧田との関係性が出来上がってきた頃、健斗は牧田に小林充殺害の依頼をする。
交換条健斗して、牧田に仁勇会がらみの重要な情報をあげるという取引だ。
牧田はこの取引を承諾し、舎弟の川上に指示をした。川上は知り合いの伊藤という殺し屋を使って小林を殺害させた。
牧田は健斗の要望を遂行したことになるが、そのお返しともなる健斗からの仁勇会がらみの情報を得る前に、健斗は行方不明になってしまう。
藤元殺しの犯人は?
仁友会会長で、石堂組若頭・藤元英也が銃殺された。その容疑は牧田にかけられる。 藤元がいなくなれば順番的に牧田が頭になれるから、その権力争いによって牧田が藤元を殺したのではないかと、藤元側の人間は牧田に激怒していた。
しかし牧田は全く身に覚えがない。
しかし捜査の途中で、藤元殺しの犯人が柳井健斗ではないかという説が浮上する。藤元を銃殺した拳銃に、柳井の指紋がついていたからだ。
柳井健斗の自殺の真相
健斗は行方をくらましたのではなく、もう死亡していた。
それはある人物によって、無理やり自殺させられたのだ。健斗は牧田との約束を果たそうとしていたが、ある人物が「もうその情報はいらなくなった」(←嘘)と健斗を騙した。
健斗は働いていたバイト先に一応彼女がいて、彼女は健斗の子供を妊娠していた。
彼女も地方から東京に出てきて孤独で、健斗に同じ匂いを感じて彼女の方からグイグイ寄ってきた。健斗は別に彼女のことを好きではなかったが、拒むこともしなかった。子供ができても嬉しいとは感じていなかった健斗だったが、復讐をやり遂げてもう生きている意味を感じられなくなった健斗にとって、最後に彼女とおなかの中の子供を守って死ぬことが使命のように思われたため、「自殺すれば彼女には手を出さない」という脅しに従って自ら首を吊って自殺した。
牧田、舎弟の川上、殺し屋の伊藤のBL三角関係
藤元殺しと柳井健斗に自殺するように脅迫した犯人は、伊藤滋という殺し屋だった。
実は伊藤と牧田の舎弟の川上は、男同士で以前恋愛関係にあった。
川上はもともと極道の人間ではなく、物語の中盤で牧田と出会い極道入りするエピソードが語られている。川上は移動販売車でタコライス屋を経営しており、その時恋愛関係にあったのが伊藤。(伊藤は普段は女装していて女役)
しかし仁勇会の構成員が伊藤が本当は男とは知らずに横恋慕してきて、川上が常連客だった牧田にその事を相談し、牧田が間に入って話をつけてくれた。
その時の恩義から、牧田の男気にすっかり惚れ込んでしまった川上は、牧田の舎弟になりたいと志願して極道の世界に入ったのだ。
元々川上は男が好きなので、牧田に対する憧れは男としての憧れだけではなく、恋愛的な気持ちが芽生えていった。
しかし伊藤は川上の事が忘れられない。川上の気持ちを自分に向かせるため、自ら闇社会に入った。川上は伊藤の自分への気持ちを利用して、柳井健斗の殺害を手伝わせた。川上と伊藤は性的な関係も復活していた。
川上は牧田を出世させるため、藤元殺しも伊藤に指示する。
川上の心は牧田に向いていることに嫉妬し、伊藤は姫川の目の前で牧田を刺殺する。
事件のまとめ
- 9年前の柳井千恵絞殺事件→自分の彼女が実の父親と関係を持っているのを目撃した小林充が嫉妬に狂い殺害。
- 小林充を殺害事件→柳井健斗が姉の復讐のため、牧田に依頼→牧田が川上に指示→川上が伊藤に実行させた。
- 藤元英也銃殺事件→牧田を石堂組内で出世させる目的で川上が伊藤に指示。伊藤が実行した後、銃に柳井健斗の指紋をつけて、柳井の犯行に見せかける工作をした。
- 柳井健斗の自殺→小林充殺しと藤元英也殺しの罪を着せることが目的。→川上が伊藤に指示し、伊藤が健斗を脅し、健斗が自ら首を吊った。
- 牧田刺殺殺害→伊藤の嫉妬により、川上を取り戻すため伊藤が牧田を殺害。
びっくりするのが、
- 小林充殺し
- 藤元英也殺し
- 柳井健斗に自殺を強要
- 牧田を殺害
の全ての犯人だった伊藤の存在が、映画ではバッサリカットされてること!
最後に牧田を刺したのも川上(金子賢)になっているし、牧田を尋常じゃなく慕っていたという感じの理由だったけど、川上が実は男が好きで牧田に恋愛感情を抱いていたっていうところはなかったです。
けっこうそこらへんがややこしかったので、尺の関係でカットしたのかな?
映画が公開されたのが2013年だから、今ほどBLというものが普通に受け入れられる世の中じゃなかったから、視聴者に理解されづらいと思ってカットしたのかな?
そういう意味では誉田哲也さん、かなり時代を先読みしていましたね。
だから、この「インビジブルレイン」では
- 姫川、牧田、菊田
- 牧田、川上、伊藤(BL)
という二つの三角関係の恋愛ドラマが繰り広げられていたってことなんですね!
「インビジブルレイン」ネタバレ!牧田と姫川の恋愛編
ここからは、姫川と牧田の恋愛部分についてのネタバレです!
牧田の過去
牧田の父親は土建屋の社長だったが、仕事で暴力団ともめる事態になり、何者かに金属バットで殴打され死亡した。犯人は捕まらず、牧田の家族は嫌がらせを受け続け会社もダメになった。牧田の母はそれを苦に首を吊って自殺。妹は突然行方不明になってしまった。
この一連の事態を仕掛けていたのが、白川系徳永一家総長と徳永とそのフロント企業である大西土木の社長。家族と会社をなくした恨みから、牧田はこの二人を殺した。
未成年だった牧田は6年服役しただけで出所して、石堂組組長石堂神矢にスカウトされる形で極道入りした。石堂は元々徳永といがみ合う関係にあり、威勢のいい牧田のことを気に入ってしまったのだ。石堂は曲がったことをしない昔気質の任侠道に生きる男で、牧田も石堂になついていた。
惹かれ合う牧田と姫川、映画と原作小説では違いあり
姫川と牧田はお互いに柳井健斗を探している中で出会いますが、最初は姫川がは牧田がヤクザだとは知りませんでした。第一印象から姫川は牧田に自分と同じ匂いを感じており、「顔は全然タイプじゃないのに」と思いつつも、知らず知らずのうちに気になっていました。
映画では姫川と牧田はカーセックスをしていますが、原作の小説では最後まではしていません。電話がかかってきて、途中終了となりました。
映画の中では、牧田が姫川の心の闇に気づき、
牧田「殺したいほど憎い相手がいるんだろう?俺が殺してやるよ」
姫川「殺して」
という会話があり、姫川は牧田に体を許しました。
しかし行為を終えて車から降りた時に、外に菊田がいたことに気づき、姫川はかなり動揺していました。姫川が家に帰ってからシャワーを浴びている時の表情を見ると、大きな後悔に苛まれているように捉えられました。
このあたりは映画オリジナルで原作にはありません。
映画では同じような傷を抱えた二人が共鳴し合って、一時求め合ってしまったけれど、それは恋とは違うものだったのではないか?とも思えるような描写でしたが、小説のほうがもっと情熱的に恋愛としてお互いが惹かれあっている感じがしました。
牧田が「お前のことが欲しいんだよ!」とか言っちゃってますし、姫川も牧田に体を許そうとした事を全然後悔していませんでしたから。
そして菊田は車で2人がイチャイチャしていたのを小説では目撃していません!だから映画の方が菊田との三角関係が色濃く描かれていてかなり切ないです。
ラストでは、小説と映画とではちょっといきさつが違う者の、牧田は姫川をかばって刺殺されてしまいます。
その時に姫川が泣きながら牧田を抱きしめて取り乱している姿を菊田が目撃しているので、菊田はこの時姫川の牧田への思いを知ることになりました。
そして菊田だけではなく、姫川と牧田の関係は警察内で噂になりバレてしまい、この責任を取って姫川は所轄に飛ばされ、姫川班は解散となったのでした。
だから映画のキャッチコピーみたいなのが「姫川班、最後の事件」だったんですね。
「インビジブルレイン」考察
姫川と牧田はいつお互いを好きになったのか?
姫川は菊田といい感じだと思っていたのに、いつのまにか牧田が好きになっていましたよね?一体いつ牧田のことを好きになったの?はっきりと「今この瞬間に好きになりました!」という転機になるようなハプニングがあったわけではないので、少しわかりづらかったですよね。
結論から言うと二人とも一目惚れだったと思います。
それは普通の顔がタイプという意味の一目惚れではなく、お互いにお互いの持っている心の傷や闇の部分を本能的に感じ取り、一目見た瞬間から気になってしまったという類の一目惚れです。
その証拠に小説の中の第一印象の心の声では
姫川「特に顔がタイプというわけではないが」
牧田「整った顔ではあるが、いつも自分の周りにいる女に比べれば地味で色気がない」
とお互いのことを見ています。
でも初めて牧田が姫川に会った時は、姫川がずっと張り込み中だったのでほとんど化粧も落ちているし疲れも出ていた時。次に会った時はばっちり化粧していたせいか、「こんなに美人だったか…?」とハッとしています。牧田の方は姫川の見た目がタイプだったということもあるのかもしれません。
現実ではドラマのようなハプニングで「今好きになりました!」ということはなく、なんとなく気になる…から好きだと自覚する、というのが多いと思います。
姫川と牧田もそんな感じで、気づいたら気になる気持ちが止められなくなってた、といったところだったのでしょう。
姫川玲子は牧田のことを本当に好きだったのか?菊田への思いは何だったのか?
ラストシーンでは姫川ははっきりと牧田に対して「好きだった」と伝えていますし、映画ではちょっと分かりづらかったけれど、小説の方がはっきりと姫川は牧田への恋心を自覚していました。
もともと小説のほうが姫川が女、女していて、けっこう恋愛脳だったりします。竹内結子さんの姫川は、過去の事件のせいで恋愛なんて全然できない感じの不器用な女性でしたよね。小説とドラマではちょっとキャラ違いますね。菊田もだいぶ違います。
小説の方では姫川は菊田への恋心もかなりはっきりと自覚していました。牧田への思いはずっと自分を思ってくれていた菊田への裏切り行為だったとも感じています。
口約束があったり体の関係があったりしたわけではないけど、姫川の中では菊田と自分は気持ちが通じ合っている(=付き合っている)という認識だったのかもしれません。だから自分の気持ちが他の男に移ろいだことは、浮気であり菊田への裏切りだったのです。
菊田とは今までの歴史もあるし仕事上ですごく信頼もしていて、ずっと大切に思っていたはずなのに、どうしてぽっと出の牧田にそこまで姫川は惹かれたのでしょうか?
姫川は最初牧田を気になり始めていた時は、牧田がヤクザだとは知りませんでした。途中で牧田の素性を知りますが、その時にはもう牧田への恋心が止められなくなっていた、という解釈が普通だと思います。
しかし私は、逆に牧田がヤクザだと知ったからこそ、姫川は牧田に突っ走れたんじゃないかなあと思っています。
つまり今まで姫川が菊田に対して突っ走れなかった理由として、菊田がすごく真っ当な人間だからということなんじゃないかな?
牧田の素性(ヤクザであること、2人殺した前科があること)がばれた時、牧田もまた姫川に恋心を抱き始めていたので、警察官の姫川に自分がヤクザであるという素性がバレてしまったということは「失恋だな…」と感じています。
しかし姫川は逆に、「あなたが2人殺していて よかった」と言っているのです。
自分と同じ黒い部分を持っているから、引け目なく付き合える。そういった感情ではないかと思います。
菊田は真っ白で汚れがなさすぎる。姫川への一途な思いもそうだし、警察官としての正義感も。自分をレイプした犯人を今でも憎み続け「殺したい」と思っている自分の心が、菊田の潔癖さを前にしたら許されないって思ってしまうのではないでしょうか?
菊田はまっすぐで一途で優しいけど、きっと姫川の過去を知ったら受け止めることができなかったんじゃないかな?(ここは意見が分かれるところかもしれませんが、私はそう思っています)
もちろんに優しいから受け止めようとかしてくれると思うけど 、どうしても心の中にしこりが残って、菊田自身が苦しんでしまうんじゃないか?姫川もそれが分かっていたから、菊田に自分の事情を話すことがずっと出来なかったんじゃないでしょうか。
二人は絶対思いあっているのに、なかなか言い出す勇気のない菊田にやきもきしますよね。 ここは姫川の方から事情を話して「だから自分は男性と付き合うことが怖い」と菊田に甘えてみれば上手くいくんじゃないか?と望んだ視聴者も多いと思います。でも実際にそれをしてしまったら、きっと菊田が受け止めきれず苦しみ、そんな菊田を見て姫川も苦しんだと思う。
だからきっと、姫川が菊田に本当のことを話して弱さを見せていたら、ふたりはうまくいくのではなく、逆にこの微妙な関係性さえも失っていたんじゃないか。姫川は菊田がそんなに 心が強くもないし器も大きくないことが分かっていたから、今まで話せなかったし、 菊田に対して踏み出すことができなかったんじゃないでしょうか。
牧田に対しては、共鳴することで自分の過去を消したい、ずっと心の中に抱いていた「犯人を殺したいほど憎んでいる」という恐ろしい感情を持っている自分を許されたい、といった思いがあったと思います。
- 牧田は、過去の事件があったから心惹かれた人
- 菊田は、過去の事件があったからずっと心惹かれていたのに踏み出せなかった人
と解釈すると分かりやすいかもしれませんね。