チョコレートコスモス3

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飛行機事故に遭ったはずの早季が、なぜか電話に出た・・・!?

早季に会いに行った和也は衝撃的な事実を知る・・・。



チョコレートコスモス1

チョコレートコスモス2

チョコレートコスモス3

和也「もしもし!?早季!?今どこ!?無事だったのか!?」

早季「今ね、あの場所にいるの。私たちの思い出の場所。カズくんも早く来て。待ってるから」

そう言うと、電話は切れた。

思い出の場所?

思い当たる場所は一つだった。

僕たちが離れ離れになる直前にデートした、あの場所だ。

僕は電車を反対方面に乗り換え、その場所に向かう。




その場所に到着し目の前の光景を目撃した僕は

「こんな季節になんで・・・?」

と思わず呟いた。

こんな真夏だというのに、そこには一面のコスモス畑が広がっていたのだ。

ここは、僕たちが離れ離れになる直前にデートした場所。

コスモスの指輪を買った流れで、ここらで有名なコスモス畑を見に行こうと二人で出かけた。




「カズくんっ」

後ろから声をかけられ振り向くと、そこには早季が立っていた。

和也「早季っ!!無事だったのか!?」

早季「カズくん、会いたかったよ」

早季は、うふふっと笑って、僕とは反対のほうへと走り出す。

背の高いコスモスが、早季の姿を消す。

僕は慌てて追いかける。

やっと見つけて手を触れようとすると、早季はまたスルリを僕の手をすり抜ける。

僕をからかうように笑みを浮かべながら、軽やかに身をこなす。

和也「早季!待って!どうやってここまで来たんだよ?飛行機は?他の乗客は?」

早季「このコスモス畑、あの時のままだね。キレイだね~」

早季は、肝心な質問には何も答えずに、またコスモスの中に消える。

僕はまた必死に追いかける。




そして、僕は不思議なことに気づいた。

早季の歩いた後には、水が滴っていた。

早季の体がビショビショに濡れているのだ。

その時、僕の電話が鳴った。

優介だ。

優介「和也。落ち着いて聞け。右腕が上がった。身元は確認中だが、その右腕、コスモスのモチーフの指輪してたって」




遺体の捜索・・・。

右腕が上がった・・・。

コスモスの指輪・・・。

じゃあ、僕の前にいるのは一体誰だっていうんだ・・・?

僕は、呆然として早季を見つめる。

早季の顔から笑みが消え、さっと後ろを向いて走り出そうとする。

僕は、とっさに早季の腕を掴んだ。

和也「待って・・・!」

そして、僕は自分の目を、手の感触を疑った。

僕の手は、空っぽの早季のカーディガンを固く握りしめていた。




腕が・・・ない・・・?

声が出ないまま腕を見つめる僕。

やっと早季の顔に、視線を移すと

早季「バイバイ、カズくん」

早季はそう言って、弱まった僕の手から抜け出し、姿を消した。

僕はハッと我に返って、また早季の姿を探す。

「早季っ!早季っ!!」

僕は必死にコスモスをかき分け進んでいく。

しかし、早季の姿はもうどこにもなかった。

それでも、僕はコスモスをかき分けかき分け進んでいく。

どこまでも、どこまでも・・・

いつの間にか、コスモス畑は茶色く染まっていた。




身の程を知らないままに可能性を漁り

魔が差した僕にさよなら

夏の終わり

あの日見せた 僕の知らなかった顔

コスモスの咲く季節に 君は去った

君の全て 僕に見せて欲しかったのに

コスモスの花言葉は咲かなかった

僕の全て 君に知って欲しかったのに

コスモスの咲く季節に 君は去った

さよなら

さよなら

Mr.Children「花言葉」

僕はコスモスをかき分け進んでいく。

しかし、コスモスはいつのまにか消えていた。




そこは海だった。

僕は海の中へと進んでいく。

深い方へ、深い方へ・・・。




海の底に、キラキラと光るものが沈んでいった。

それを待っていたかのように、海の底でもう一つの光るものが沈んでいた。

二つの色違いの携帯電話は、お互いを引き寄せるように海の底で重なった。

おしまい

チョコレートコスモス(茶色のコスモス)の花言葉:恋の思い出 恋の終わり 移り変わらぬ気持ち

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