ついに迎えたSMAP最後の日。
中居は何を思ったのか。答えなんてわからない。
ただひとつ言えることは、ファンの思いは確実に中居に届いていた。
これはSMAP解散の真相を妄想して書いたフィクション小説です。
「さよなら。」僕を今日まで支え続けてくれたひと
「さよなら。」今でも誰よりたいせつだと想えるひとそして
何より二人がここで共に過ごしたこの日々を
となりに居てくれたことを
僕は忘れはしないだろう出典:SMAP「オレンジ」作詞作曲:市川喜康
↑今回は「何より5人がここでともに過ごしたこの日々を」と思って聞いてください。
中居サイドストーリー
SMAPが終わることを覚悟した俺たちに残された思いは、ファンに感謝の言葉を届けたいというものだった。
しかし、事務所はその機会をことごとく奪っていった。
俺たちが、何かまずいことを発言するのではというリスクを警戒したのか、生の音楽番組への出演は全て辞退させられた。
スマスマの公開収録もなくなった。
せめて最後にツアーをやらせてほしいという願いも、叶わなかった。
そして、SMAPが終わるその日に、5人揃って歌いたいという紅白歌合戦への出場も、絶対に認めてはもらえなかった。
だけど、事務所が勝手に出す自分たちに都合のいい文書の発表には、俺たちは頑なに署名をしなかった。
ファンは、きっと気づいてくれる。
この解散は、俺たちの本意ではないことを。
そして、SMAPとしての最後の活動となるスマスマ最終回も。
生でコメントを発することは禁じられ、俺たちに与えられたのは1曲だけのラストステージ。
だけど、歌があれば俺たちはファンに思いを届けることができる。
今までも、ずっとそうしてきたように。
SMAPは5人。
今は一人ずつ別々の道を行くことになってしまったけれど、俺たちはいつでも5人でSMAPだ。
だから、いつかまた5人で並んでファンの前に現れるその日まで、どうか待っていて欲しい。
その日まで、バイバイ、またね。
泣かないと決めていたのに、涙がとめどなくこぼれる。
終わるんだ。
あぁ、本当にSMAPが終わるんだ・・・。
俺たちの歩んできた道が、ここで途切れる。
どれだけ抗おうとも、どうすることもできなかった。
俺は、溢れる涙を止めることができなかった。
だけど、もう突き進むしかないのだ。
俺がこんなでどうする。
みんなが困っているじゃないか。
いつだって、俺は下のやつらが安心してついていける背中を見せなきゃいけない。
こんな弱った背中を、見せてはいけないんだ。
俺は、困惑するメンバーを引き連れるように、一番にスタジオをあとにした。
もう二度と戻ることのできない、スマスマのこのスタジオを。
木村はひとり、最後までスタジオに残っていた。
そして、木村もスタジオを去る。
何かもの言いたげに、怒りを露わに、周りを威嚇するように、しかしそして堂々と。
誤解されやすいやつだけど、どうかみんなこいつのことを誤解しないでほしい。
俺たちは、誰も恨んでいない。誰も悪くない。
表現方法は違えど、みんなが同じ思いを抱えているのだから。
俺たちの思いがファンに届いているのかは、正直自信がなかった。
しかし、ファンの思いは確実に俺たちに届いていた。
「世界に一つだけの花」の購買運動。
300万枚突破というものすごい結果を打ち出したファンの底力。
それは、“不可能を可能に変える“という勇気を俺たちに与えてくれた。
そして、SMAPであることを許される日が残り2日となった朝、新聞の広告欄を見て、俺はまた涙することになる。
1万3千人を超える支援者が、約4千万円もの資金を集め、朝日新聞の朝刊の広告欄に8ページもの俺たちへのメッセージを載せてくれたからだ。
どうか届きますように
君のもとへ
僕の未来で 君が笑えますように
SMAP「どうか届きますように」より抜粋
届いてる。
ちゃんと届いてるよ。
ありがとう。ありがとう。ありがとう。
どれだけ言っても言い足りないくらいに。
いつもたくさんの愛と勇気をもらっていたのは、俺たちのほうだ。
そして、最後の日。
SMAPがなくなる日。
唯一発言の自由を与えられたラジオという場で、俺はファンに別れを告げる。
真のファンが聞いてくれているこの場でなら、ちょっと本音を語ったっていいよな?
詳しくは言えないけれど、ファンの思いはちゃんと届いているということ、俺たちは悩みに悩んでこの答えを出したこと、そしてメンバーの誰も悪くないんだということ。
それだけは伝えたかった。
「慎吾―!剛―!吾郎―!木村―!SMAP―!じゃあねー!ばいばーい!!」
明日から、SMAPのない世界で生きていく。
どんな世界なんだろう?
何も変わらないのかな?
それとも、絶望的な世界なのかな?
でも、生きてくうちに慣れていくのかな?
答えは見つからない。
だけど、時間は回っていく。
そして、俺たちは生きていく。
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