キンプリ妄想歌詞小説「今君に伝えたいこと」〜どうせ愛なんてうまくはいかないから〜

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高橋海人くん「姉ちゃんの恋人」出演記念!

“いとこの姉ちゃん“を思い続ける海ちゃんの切ない片思いのお話。

 

〜俺はずっと“いとこの姉ちゃん“に恋をしていた。

だけどこの恋は誰にも気づかれない、どんなに近しい友達にも、本人にさえも。

だって「いとこを好きになるなんてありえない」ことだから。

 

この気持ちを伝えたいけど、勇気が足りない。

~どうせうまくいかない愛ならば、いっそ傷つかないように諦めようか…。〜

 

長編小説「koi-wazurai」の高橋海人くん主演のスピンオフです。

本編読まなくても、こちらの作品だけで完結していますので、どうぞお気軽にお読みください。2話完結です。

 

本編は完結していますが、このお話は本編で言うと時系列的にはここの次です。

 

私の“キンプリ歌詞小説“では、キンプリの曲の歌詞の世界観をとモデルにストーリーを作っています。

今回は「今君に伝えたいこと」です。

体育館倉庫でキスするカップルのイラスト

 

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いとこの姉ちゃん

「海ちゃーん!」

グランドのフェンス越しに、笑顔で手を振る風ちゃんを見て、サッカー部の後輩たちがざわつく。

サッカー部員「え!誰、誰すか!?めっちゃ可愛いんだけど!もしかして高橋先輩の彼女すか!?」

 

 

 

 

海人「ちげーし。いとこの姉ちゃん」

 

 

 

 

て言うと、みんな「なぁ〜んだ」と急に興味を失う。それくらいに“いとこ“って、恋愛対象にはなり得ない存在と言うことだ。

 

 

 

だけど俺はそんなありえない存在の“いとこの姉ちゃん“に、ずっと恋をしていた…。

 

 

 


 

 

海人「風ちゃーん!」

土手沿いを歩いていた風ちゃんに、やっと追いつく。

 

風「海ちゃん!あれーちょうど部活終わりだったんだ?」

海人「あーうん、そうそう」

 

 

っていうのは嘘。

 

本当はまだ片付けが残っていたけど、後輩に押し付けて先に帰ってきた。風ちゃんと一緒に帰りたかったから。

 

 

風「じゃあ一緒に帰ろっか」

その笑顔にキュンとする。やっぱり、好きなんだよなぁ…。

 

 

しばらく2人無言で歩く。

 

いつもの帰り道でバッタリ

何を話していいかはサッパリ

King & Prince「今君に伝えたいこと」

作詞:KEEN(C&K)、作曲:KEEN(C&K)、MANABOON

 

子供の頃は、いつも一緒にいることが自然だったから、緊張するなんてなかったのに。

 

 

さっきまで部活やってた俺がしれっと風ちゃんに追いついてるあたり、必死で追いかけてきたってバレバレでもいいはずなんだけど(めっちゃぜーはー息切らしながら走ってきたわけだし)、風ちゃんそういうとこ全然気づかないよなぁ。

 

まぁそういう天然なところが風ちゃんの可愛いところでもあるんだけど。

 

 

風ちゃんの天然が原因か、俺が臆病なのが原因か、多分このままじゃ、一生俺の気持ちに気づいてもらえない気がする…。

 

別に秘密にしてたわけじゃないけど

困ったことに君は鈍すぎる

 

考えてみたら僕も不器用だから

伝わらなくて当たり前だね

King & Prince「今君に伝えたいこと」

作詞:KEEN(C&K)、作曲:KEEN(C&K)、MANABOON

 

 

廉「風ちゃん!」

振り向くと、後ろから廉先輩が走ってきた。

風「あれ、廉!どうしたの?」

 

廉「風ちゃんに会いたくて、一生懸命追いかけてきたわ〜!」

 

 

廉先輩は俺とは真逆。

あんな風にスマートに口説き文句を言えたらいいけど、俺には真似できない。

 

もっと素直に生きたいのに

もっと僕を知って欲しいのに

やっと少しだけ近づけたのに

勇気が足りない

King & Prince「今君に伝えたいこと」

作詞:KEEN(C&K)、作曲:KEEN(C&K)、MANABOON

 

 

廉「て言うのは嘘で、明日のグループワークの準備、一緒にやらへん?ていうか、俺1人じゃ自信ないから手伝ってや〜」

風「もうしょうがないなぁ。じゃぁ図書館寄ってく?」

廉「さすが風ちゃん!助かるわ~!じゃぁ海人、またな!」

風「じゃあまたね、海ちゃん!先帰ってて!」

 

 

俺は「うん、わかった」と作り笑顔で手を振るだけで、何も言えずに仲良さそうに歩いていく2人の後ろ姿を見送った…。

 

 

 

またねの後の君の後ろ姿に

待って欲しいって 言えなかった

King & Prince「今君に伝えたいこと」

作詞:KEEN(C&K)、作曲:KEEN(C&K)、MANABOON

 


2年前。

風ちゃんは岸先輩に失恋した。

大チャンスのはずだった。だけど、勝負のかけ方を間違ったらしく、その後しり込みしているうちに廉先輩にとられた。

 

そこらへんのお話はこちら↓

 

 

 

今みたいに、目の前で好きな女の子をかっさらわれて、俺は何もできなかった。

こんなに好きな思いは溢れてくるのに、気持ちを伝えて今までの関係が壊れてしまうのが怖くて…。

 

ただただ思いが溢れてくる

まだまだ思いは隠している

時々夢に出てくる君にさえ

僕は何も言えないまま

King & Prince「今君に伝えたいこと」

作詞:KEEN(C&K)、作曲:KEEN(C&K)、MANABOON

 

 

 

そう、結局君に何も伝えることができずに、“かわいい弟ポジション“にとどまっている。

 

 

 

ドン引き

海人「おはよう~。あれ?何見てんの?」

 

教室に入り、固まっている女子たちの集団に話しかける。

 

 

かすみ「おはよう海人!海人も見る!?好きでしょ?少女漫画!」

海人「へーどんな話?」

かすみ「兄妹の禁断の恋の話!」

 

なに!?それはめちゃくちゃ興味深いぞ!

 

かすみ「この“好きになってはいけない人を好きになってしまった…“みたいなところが、めちゃくちゃ切なくてキュンキュンするんだよね~!」

海人「へぇー。でもさぁ、兄妹の禁断の恋ってテーマは結構あるけど、なんでいとこ同士の恋とかって話はあんまりないんだろうね」

かすみ「え〜、いとこはちょっとリアルで生々しいからじゃない?」

海人「だっていとこは法律的に結婚もできるんだよ?」

かすみ「だから生々しいんじゃん。兄妹の禁断の恋だって、漫画だからアリなだけで、現実だったらドン引きだし」

 

“ドン引き“か…。

 

 

 

この気持ちを伝えたら、風ちゃんもドン引きするだろうか。

もしいとこのままでいたなら、これからもずっと俺に笑顔を向けてくれる。

「海ちゃん!」と手を振ってくれる。

どうせ報われない想いなら、いっそこのまま諦めてしまったほうがいいんだろうか…。

 

どうせ愛なんて

うまくはいかないから

傷つかないようにして

諦めようか

King & Prince「今君に伝えたいこと」

作詞:KEEN(C&K)、作曲:KEEN(C&K)、MANABOON

 

やきもち

 

帰り道。

 

かすみ「海人!一緒に帰ろう!」

海人「おぅ、かすみ。お疲れー」

 

 

もうすぐ文化祭なので、今日は部活はなく、クラスで出し物の準備をしていた。

 

 

 

かすみ「いつもはサッカー部遅くまでやってるから帰りの時間一緒にならないけど、今日は一緒に帰れて嬉しいね!」

海人「うん」

 

うん?今、さりげなく言われて普通に「うん」って返事しちゃったけど、俺と一緒に帰れると嬉しいの?

なんかただのクラスメートと思っていた女子に突然そんなこと言われると、ちょっとドキドキするじゃんか。

 

 

 

 

“クラスメイト“か…。

風ちゃんも、紫耀先輩や廉先輩とクラスメートだったんだもんなぁ。そりゃそっちのが有利だよなぁ。俺だってあと2日早く生まれてれば、風ちゃんと同じ学年だったのに。そしたら同じクラスとかなれたかもしれないのになぁ。

 

 

 

 

 

かすみ「ねー海人ってば!聞いてる!?」

かすみがしきりに話しかけていたのに、俺は上の空で全然返事をしていなかったらしく、腕を引っ張られよろける。

 

 

そして後ろを風ちゃんが歩いているのが視界に入った。

 

 

 

海人「風ちゃん!あれ、ずっといたの!?」

風「うん、なんとなく抜くに抜けなくて…。海ちゃんの…彼女?」

 

風ちゃんがかすみにチラリと視線を移す。

 

海人「全然!ただのクラスメート!」

風「へぇー…。どうも、こんにちは。海ちゃんと仲良くしてあげてね。じゃぁ私、先行くね~」

 

風ちゃんはタタタと俺たちを追い抜かし、早足で行ってしまった。

 

 

 

 

かすみ「今のって確か海人の…」

海人「いとこの姉ちゃん」

かすみ「やっぱそうだよね。ホッ」

 

 

風ちゃんは、去年までうちの学校の1学年上に在籍していたから、かすみは知ってるんだな。

紫耀先輩や廉先輩との恋の噂で、結構風ちゃん有名人だったからな。

ん?でも「ホッ」ってなんだ…?

 

 

かすみ「なんかさ…今お姉さん、私の事、海人の彼女だと勘違いして、ちょっとだけやきもち焼いてなかった?」

 

や、やきもち…!?

え?なんで?俺に彼女ができたら、風ちゃんやきもち焼くの?

なんで?どうして?それってなんか…

 

 

 

 

すごく嬉しいんだけど…!

 

 

 

 

海人「かすみごめん!俺先帰るわ!また明日な!」

かすみ「えっ!?海人!」

 

 

 

弾むような足取りで、風ちゃんを追いかけた。

「いとこ同士の恋愛なんてドン引き」と言う意見が意外にずしんと来てて、「もう諦めたほうがいいのかな」なんて弱気になっていたのに、たったこれだけのことでまるで天にも昇る思いだ。

 

 

どんなに小さな出来事さえ

君のことなら上がったり下がったり

King & Prince「今君に伝えたいこと」

作詞:KEEN(C&K)、作曲:KEEN(C&K)、MANABOON

 

小さな幸せ

海人「風ちゃん!待ってー!」

風「あれ海ちゃん?さっきのお友達は?」

海人「あー、もうそこで別れてきたから大丈夫。一緒に帰ろ!」

 

 

 

 

海人「あのさぁ風ちゃん、もし俺に彼女ができたら、ちょっと嫌だったりする?」

風「え?なにー突然?」

海人「かすみ…あ、さっき一緒にいたクラスメート、彼女かなって思ったでしょ?どう思った?」

風「うーん、海ちゃんが幸せになってくれたらうれしいけど、正直ちょっと複雑かな。いつも“風ちゃん!風ちゃん!“て私に甘えてた海ちゃんが、他の女の子のものになっちゃうなんてさ。」

 

 

へぇーそうなんだー。思わずニヤつく。

 

風「それに、彼女ができたらクリスマスも“河合会“(いつもサッカー部顧問の河合先生が主催のクリスマス会に、サッカー部とサッカー部OBで集まっている)来なくなっちゃうでしょ?私はしばらくクリスマスは1人だからさー。どんどん人が抜けて、そのうち河合先生と2人きりでクリスマス過ごすことになっちゃったらどうしよー!?」

 

 

 

風ちゃんは紫耀先輩と付き合っているけど、紫耀先輩は海外に行ってしまっていつ戻ってくるか分からない。

そういう意味の「しばらくクリスマスは1人」なんだけど、正直、遠距離恋愛なんてそうそう続くものではないと思ってる。

2人はきっとこの先、別れることになると思う。

 

 

紫耀先輩は馬鹿だよ。せっかく風ちゃんを手に入れることができたのに、夢をとって自ら離れ離れになるなんて。

 

風ちゃんは、離れる事泣いて嫌がっていたのに。俺だったら、絶対に離しはしない。風ちゃんを1人になんてしない。

 

 

 

海人「安心して!風ちゃんが寂しいときには、ずっと俺がそばにいるよって、小さい頃約束したでしょ?」

 

海人の小さい頃の風ちゃんとの思い出のお話はこちら↓

キンプリ妄想歌詞小説「koi-wazurai」5話~Glass Flower~海ちゃんの秘めた恋

 

 

だから、ずっとそばにいるんだ。風ちゃんの中で、だんだん紫耀先輩の存在が薄れていくようなことがあったら、その時は、真っ先に俺が行く!

もう目の前で誰にかっさらわれるのはごめんだ。

 

君が他の誰かを 愛する前に

伝えたいことがある

King & Prince「今君に伝えたいこと」

作詞:KEEN(C&K)、作曲:KEEN(C&K)、MANABOON

 

 

 

風「ありがと。海ちゃん優しいね〜。もう大好き!」

風ちゃんが俺の頭をほわほわと撫でる。

 

 

 

風「あれ?海ちゃん、また背伸びた?」

海人「えへへ、そうかな?」

 

 

 

そうだよ。

風ちゃんは、小さい頃からいつもこうして頭を撫でてくれるけど、いつまでもかわいい弟じゃないよ。

身長なんてとっくに風ちゃんを20センチくらい抜いてるし、力だって、風ちゃんを守れるくらいには強くなってるはず。

もうとっくに男だよ。

気付いて。

 

 

俺の頭を撫でる風ちゃんの手をぐっと引き寄せて、抱きしめたいけど…。

もっと素直に迫りたいのに

もっと近くに行きたいのに

あと少しで届きそうなのに

それができなくて

King & Prince「今君に伝えたいこと」

作詞:KEEN(C&K)、作曲:KEEN(C&K)、MANABOON

 

いつまでも弟扱いされているのは苦しい。

だけど気持ちを伝えれば、必ずこの関係は壊れる。

 

 

だから甘んじて、腰をかがめて頭を撫でられる。

今は、この小さな幸せを噛み締める。

 

打ち明けても隠しても

辛いのが同じなら

今は小さなことで幸せ

噛み締めさせて

King & Prince「今君に伝えたいこと」

作詞:KEEN(C&K)、作曲:KEEN(C&K)、MANABOON

 

駆け引き

かすみ「海人の好きな人ってさ、あのいとこのお姉さんだよね」

 

 

 

ガタガタンッ…!

あまりに動揺しすぎて、持っていた荷物を全部落とした。

 

 

 

海人「な、な、な…なんでそれ…!?」

 

かすみが一歩、また一歩と詰め寄ってくる。

 

 

 

ガチャ。

 

「え?」

2人同時に振り向いた。

 

放課後、俺たちは文化祭の荷物を置きに体育館の倉庫に来ていたところだった。

 

 

 

海人「今、鍵が閉まった音しなかった?」

かすみ「うん…」

 

 

 

 

嘘だろ!?閉じ込められた!?

 

 

 

 

海人「あ、俺、携帯持ってたわ」

 

 

すぐにポケットから携帯を取り出すと、かすみが両手で俺の手を握ってきた。

海人「え?」

 

とっさにちょっと照れる。

 

 

 

かすみ「海人が帰らなかったら、お姉さん、どれくらい心配してくれるか試してみない?」

 

 

海人「え、そんな、心配させちゃったらかわいそうだし。ママも心配するし」

 

かすみ「もう〜海人はいつもそんな優等生だからダメなんだよ!いい子ちゃんだと思っていた海人が、突然無断外泊、しかも女の子と一緒だったって知ったら、昨日の“ちょっとヤキモチ“じゃないくらいにヤキモチやいてくれるかもよ?いつもそばにいて当然と思っていた存在が、突然離れていったりすると案外焦るもんだよ?女心って複雑だから!」

 

 

 

ちょっとヤキモチじゃないくらいのヤキモチって…

 

〜〜〜海人妄想中〜〜

風「もう〜!海ちゃんどこ行ってたの!?心配したんだから!」

 

ギューーーッ!

 

 

 

みたいな…?

 

 

デレ〜〜〜。それちょっといいかも…。

 

 

かすみ「じゃぁ、携帯の電源切ってね」

 

 

かすみに携帯を取り上げられる。

よし!

髙橋海人、勝負に出ます…!

 

 

 


 

 

夜になったら、ちょっと寒くなってきた。

体操用のマットを敷いて、2人でその上に座る。

 

海人「かすみさ、いとこを好きになるなんてドン引きするって言ってたよね。でも応援してくれるんだ?」

かすみ「…正直びっくりした」

海人「うん、それはびっくりするよね…。いとこを好きになるなんて、おかしいよね」

かすみ「そうじゃなくて。いとこを好きなんてドン引きだって思ってたのに、それを知っても自分の海人への気持ちが全然変わらないことにびっくりしたの」

海人「ん?俺への気持ち?」

 

 

 

 

え?

 

 

 

 

ふわりとかすみの髪の毛が頬に触れるのを感じたときには、柔らかい唇の感触を感じていた。

 

 

 

キス…された。

 

 

 

 

かすみ「さっき、なんで海人の好きな人がお姉さんってわかったのって聞こうとしたよね?」

海人「あ、あぁ…」

 

だって、今まで誰にもバレたことなかったから。

紫耀先輩だって廉先輩だって、俺が風ちゃんにベタベタするのを許容してくれていたのは、やっぱり俺は“恋愛対象外“と思われていたからだろう。

 

 

 

 

海人「なんでわかったの?」

 

かすみ「海人のことが好きだからだよ。いつも海人のこと見てたから」

 

え?え?ぅえ〜〜っ!?

 

かすみ「だから、全然応援とかする気ないから。ただ海人と一晩一緒にいたかっただけ」

 

 

 

そう言って、かすみは制服の胸元のリボンをするすると解いた。

 

 

 

え?は?何するつもり…!?

 

 

かすみ「海人が年上の人としか付き合わないのは知ってる。でも私も大人っぽく頑張るから!私だって、海人のことが好きなの…!」

 

 

心が苦しい…

「海ちゃん!」

 

 

 

あれ?風ちゃんの声?ここどこだっけ?なんかちょっと湿った匂い。そうだ、体育館倉庫に閉じ込められてたんだ。俺、寝ちゃってたんだ…。

 

 

風「もう〜海ちゃん!どこ行ってたの!?心配したんだから!」

 

ギューーーッ!

 

 

 

あれ?これ妄想の続き?いや、現実だ…!

俺、風ちゃんに抱きしめられてるよ…!!

 

 

風「よかった〜無事で!海ちゃん〜〜!」

 

 

風ちゃんの背中に手を回す。

めっちゃ抱き合ってる!夢じゃないよね!?

めっちゃいい匂い…柔らかい…。はぁ〜幸せ…。

心配させる作戦、大成功…!?

 

 

 

「海人!お前何しとんねん!心配かけやがって!」

 

スパコーンと頭を叩かれ、夢見心地から現実に引き戻される。

顔を上げると、鍵を開けてくれたらしき用務員のおじさん…はいいとして、

 

海人「あれ?廉先輩」

廉「“あれ?“やないやろ!一晩中心配してたっちゅーのに、お前こんな…」

 

 

 

廉先輩が「あちゃー」といった感じで、ちらっと横を見て、風ちゃんに俺から離れるように促す。

廉「風ちゃん、察してやって」

 

 

 

隣には、制服の胸元がはだけたかすみが眠っていた。

 

 

 

風「え!海ちゃん…そういうこと…!?」

海人「違…!これは…!」

 

 

 

フラッと風ちゃんがよろける。

廉「風ちゃん、大丈夫か!?」

とっさに廉先輩が支えた。

 

 

 

廉「昨日風ちゃんから、海人が帰ってないけど知らないかって連絡もらって、あんまり泣きそうな声出すから俺も心配で寮に行って。風ちゃん、一晩中寝ないで心配してたんやぞ!?別に女と遊ぶんは勝手やけど、周りに迷惑をかけるのはアカンで!?」

 

 

一晩中…廉先輩が風ちゃんのそばにいたんだ…。

 

 

 

風「あ、叔母さんに、見つかったって連絡しなきゃ。すごい心配してたから」

廉「お前、その子ちゃんと責任持って送ってってやるんやぞ?俺ら先帰ってるからな」

風「その子、昨日の子やんな?やっぱ彼女やったんや。別に隠さなくてもよかったのに。こんなふうにコソコソ会わんくても、今度寮に連れておいで?」

廉「いや、風ちゃん、“寮じゃできないこと“したいから、ここに泊まったんやないか。ここならマットもあるしな」

風「あそっか…」

 

 

廉先輩ー!余計なこと言うなーー!

でもこの状況で、どうやって言い訳すればいいんだよー!

 

 

 

廉先輩に支えられて、去っていく風ちゃんの後ろ姿を見て、胸が切り裂かれるように痛む。

 

 

馬鹿だ俺…。ちょっとやきもち焼いてくれたなんて舞い上がって、こんなバカみたいな駆け引きして、結果自爆…。

 

 

途中で風ちゃんが足を止めて振り返った。

目が合う。

風ちゃんの表情は、どこか寂しげに見えた。

 

 

ねぇ、なんでそんな顔するの?

なんで俺に彼女ができたら寂しいなんて言ったの?

 

俺は、風ちゃんが「彼女なんて作らないで」って言ったら、もう誰とも付き合ったりしないよ。

遊びでヤッたりもしない。

 

だけど、風ちゃんはそんなこと言わないじゃん。

だって、風ちゃんには紫耀先輩って言う最強の彼氏がいて、風ちゃんが不安なときには一晩中そばにいてくれる廉先輩がいて、俺なんて必要ないでしょ?

 

 

それなのになんでいつも優しい笑顔を向けてくれるの?

頭を撫でてくれるの?

俺がいなくなったら、泣くほど心配してくれるの?

「大好き」とか言うの?

 

 

 

中途半端な優しさなんて、いらないよ。

余計に苦しくなるだけ。

俺の事、弟としか見てないくせに。

 

 

 

苦しい、苦しいよ、風ちゃん…。

 

 

 

駆け引きさえも心が

苦しい、だから

今は小さなことで僕を

揺らさないで

King & Prince「今君に伝えたいこと」

作詞:KEEN(C&K)、作曲:KEEN(C&K)、MANABOON

 

続きはこちら。

 


今回のストーリーのモデルとなった世界観のキンプリの曲「今君に伝えたいこと」の歌詞のパート割り、歌詞の意味についてこちらの記事に書いています。

 

「koi-wazurai」の小説一覧はこちら!

徐々に挿絵追加中!

岸くん回↓

じぐいわ回↓

海ちゃん回↓

岸くん回↓

岸くん回↓

岸くん回↓

岸くん回完結!第1章完結!↓

第2章始まり!海ちゃん、平野くん回↓

平野くん回↓

平野くん回↓

れんれん回↓

れんれん回↓

れんれん回↓

平野くん回↓

平野、廉、三角関係回↓

平野、廉、三角関係回↓

平野、廉、三角関係回↓

平野、廉、三角関係がついに完結!↓

アフターストーリー
①はわけあって、別の小説サイトに載せてます。


 

スピンオフ作品
れんれん

海ちゃん


 

 

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