つとぷ小説「さよならの恋人」

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久々につとぷイチャイチャ小説アップ~!

なんと今回は中居正広と木村拓哉が繰り広げるちょっぴり切ない三角関係の恋物語。

スマスマで言ってたつとぷ高校時代に、中居くんの彼女と木村さんとディズニーランドでダブルデートした仲良しエピソードがモデルです。↓

【本当にあったエピソード】中居正広と木村拓哉がディズニーランドでダブルデート!SMAPの隠れた名曲「さよならの恋人」歌詞の意味は?

木村目線です。




「んっとね~、実は俺たち、もうすでに付き合ってんだよね」

 

 

クラスの全員が黙り込んだのは、突然の中居の”彼女がいる発言”に驚いたからではない。

 

 

「やっぱりな」

 

という顔が半分。

 

「そっちだったのか!?」

 

という驚きの顔が半分、といったところだ。

 

 

転入して早々、 莉子とは「こいつとはウマが合う!」と感じた。

サバサバしたくだけた性格で付き合いやすいし、趣味も似ている。好きな音楽やファッションの話で盛り上がったりして、「やっぱお前ならわかってくれると思ってたぜ~!」と思わずハイタッチしたくなる瞬間がしょっちゅうある。

 

そうかと思えば、自分がこうと思ったことには絶対に意見を曲げない性格も俺にそっくりで、どちらも折れずにずっと言い合いを続けることもあった。

 

クラスの奴らは、俺たちが共通の話題で盛り上がっていると微笑ましい視線を投げかけ、喧嘩をしていると

 

「喧嘩するほど仲がいいんだよね~」

 

などとニヤニヤする。

 

 

まぁ、そんな周りの反応はどうでもいいとして、莉子はそんなふうに俺とガチで喧嘩をしても普通の女子みたいにすぐにメソメソ泣いたりしないし、次の休み時間にはケロッとした顔で話しかけてくる。そういうさっぱりして、まっすぐで、クソがつくほど真面目で一本気がある。

莉子のそんなところを、俺は気に入っていた。

 

 

 

 

 

一方莉子と中居の関係はというと、

 

「眠い~」

 

とか

 

「腹減った~」

 

などとうだうだする中居に、

 

「はい!これさっきの授業のノートね!テストまでにコピーとっときな!」

 

とか

 

「これ!売店でパンを多めに買ってきといたから一個あげる!」

 

などと口うるさくも面倒見のいい世話焼き女房のような存在で、これもまた教室中の視線を集めていた。

 

 

俺たちは学校にいる時間のほとんどを3人で過ごし、それがごく当たり前の日常で、ただ楽しかった。

だけどクラスの奴らの興味は、一体莉子が俺と中居、どちらを好きなのか?

学校中の女子たちの人気を二分するツートップのどちらが、莉子を勝ち取るのか?

中居派と木村派に分かれ、この三角関係の行方は論争され、クラスの奴らにとって一番の興味のある議題となっていた。

 




 

その日も朝っぱらから机に突っ伏して爆睡している中居の頭を、鞄で勢いよく殴り、

 

「コラ!いつまで寝てるの!」

「なんだよ~?もうちょっと優しく起こしてよ~」

 

なんて言う二人のやり取りを見て、中居派予想の一人のクラスメイトが

 

「まるで夫婦だよね~。あんたたち付き合ったら絶対うまくいくんじゃない?」

 

と言ってからかった。

 

それに対して中居が、突然のあの言葉。

 

 

「んっとね~、実は俺たち、もうすでに付き合ってんだよね」

 

一瞬にして静まり返った教室中のみんなの視線が、ザッと俺に向けられる。

 

 

勝負あり!!

木村、敗れる…!!?

 

 

そんな驚きと同情と好奇の視線が、痛いほど突き刺さる。

 

 

言っておくが、俺は別に二人が付き合っていることを知って驚いて黙り込んでいるのでもない。

中居のことが可愛くて可愛くて大好きで大好きで仕方がないという莉子の気持ちは、俺には手に取るようにわかり、当然莉子が俺じゃなくて中居の方に気持ちが向いていることはわかっていた。

だから、別に驚いてもいないし、ショックを受けているわけでもない。

そんな同情の目で見られても困る。

 

 

 

それなのに、どうして今、とっさに言葉が出ないんだろう。

 

「マジかよ!?早く言えよ~!?おめでとう!!」

 

と笑って祝福すればいいだけのこと。

 

 

それなのに、どうして俺は何も言えずに突っ立っているんだろう…。

 

そうだ、3人でいつもつるんでいたのに、いつもこんなに近くにいたのに、その事実を他の奴らと同じタイミングで聞かされたことがちょっとショックだっただけ。

そう、ただそれだけ…。

 

 




 

 

いつもの屋上で過ごす昼休み。

中居はふくれっ面の俺に、ちょっとご機嫌を取るようにすり寄ってくる。

 

「別に隠してたわけじゃねぇんだぞ!本当にまだ付き合ってから数日しか経ってなくて。それでさ、実は一緒にディズニーランド行かねえか?」

 

はぁ~!?こんな大事なことを他の奴らと一緒に聞かされたというのに、そこはあっさりごめんの一言で片付けられて?ディズニーランドなんて何をのんきな話をしているんだこいつは…?

 

「実はさ、俺とお前と莉子と莉子の友達の四人でディズニーランドに行きたいって莉子が言っててさ。なんか友達にお願いされて、力になってあげたいとか言って。だけどこっちがカップルだと、お前が参加してくれないんじゃないかと思って。だからその計画実行するまでは、俺と莉子が付き合ってるの内緒にしとこうか~って…さ?」

 

中居が伺うように、かわい子ぶった上目遣いで俺を見る。
莉子のために張り切っている中居の姿に、なぜだか心がざわつく。
当然だ。

何が楽しくて人のデートに同伴して、1日二人がイチャイチャするのを見せつけられなきゃいけないんだ。

 

 

「俺そういうのいいわ」
「わ〜!そんなこと言わずに頼むわ~!彼女のお願いひとつ叶えてやれない彼氏なんてかっこ悪いだろ~!な?」

 

帰ろうとする俺の肩にじゃれつき、くりくりとした目で俺を見上げおねだりをする。

 

 




 

 

そして今、中居はミッキー莉子はミニー、莉子の友達とやらはマリーちゃんとかいう白猫で、俺はティガーの耳をつけられている。

なんでこんなことになっちまったんだ…。

 

 

「ねえねえヒロ~、今度はあっちに行ってみようよ~!」

 

そう言って莉子が中居を引っ張り、

 

「並ぶのめんどくせーよー」

 

なんて言いながら引きずられている中居も、顔はニコニコととても楽しそうだ。

 

 

「全員で耳をつけよう!」なんて言う女子二人の提案に、

 

「耳はやだ!ほんとにやだー!」

 

と強く拒否していた中居だったが、

 

「いいじゃん、いいじゃん~!いひひひひっ」

 

といたずらっぽく笑いながらミッキーの耳カチューシャを持って迫る莉子と、無理やり耳をかぶせられて

 

「も~!やめて~!恥ずかしい~!」

 

なんて顔を覆っている中居の姿は、カップルのイチャイチャ以外の何者でもなかった。

 

「俺もう帰っていい?」

「な~に言ってんだよ~!まだ来て1時間しか経ってないだろ~!」

 

全くテンションの上がらない俺を、中居(ミッキーバージョン)が慌てて引き留める。

 

こんなのを今日1日見せつけられ続けるかと思うと、憂鬱で仕方がなかった。

 

 




 

 

「好きです」

 

中居と莉子はポップコーンを買いに行くと言って姿を消し、莉子の友達は俺の正面に立ち、顔を真っ赤にして真剣な顔をしている。

 

 

そうか、普通に考えればこういう展開になるわな、そりゃ。

そういえば莉子が、「莉子の友達にお願いされて」って中居が言ってたな。

莉子と中居のことで頭がいっぱいで、全然気づきもしなかった。

 

 

「ごめん、好きな人がいる」

 

俺は正直に自分の気持ちを伝えた。

 

 

「やっぱり…」

 

彼女はうつむいたが、すぐに顔を上げ、

 

「私、応援します!本当に木村君のこと好きだから!木村君が幸せになってくれればそれでいいの!」

 

と目に涙をためながら、意気込んで言った。

 

 




 

 

初めてスプラッシュマウンテンに乗った時、「騙された!」と思った。

ずっと平穏で可愛い平和な世界なのに、最後の最後で突然急転直下。真っ逆さまに落とされる。

思いもしなかったこの最後の裏切りに、現実を受け入れることができず放心したものだ。

 

 

その最後の落下に到達する前に、俺と莉子は早口で状況を説明し合う。

 

「なんで俺がお前と二人でこんなのならなきゃいけないんだよ!?」

「しょうがないでしょ! あの子が”今、木村君の顔を見るのが辛いから、ちょっとだけ木村君と離れさせて”って言うんだから!よくも私の大事な友達をフってくれたわね!」

「好きでもねえのに思わせぶりな態度する方が失礼だろ!」

「まぁ、あんたのそういう取り繕わないところは好きなんだけどね」

「好きとか言うなよ、気持ち悪いな」

「はぁ~っ!?そういう好きじゃないから!バーカ!」

「わかってるよ!あんだけ中居とラブラブなところ見せつけられたんだからな!」

「あれ?何?やきもち?もしかして、私のこと好きだったの~?(笑)」

「なわけねーだろ!お前のことなんてそういう目で見たことねえよ!」

 

思わず語気を強めた俺に、莉子は余裕の笑みで答える。

 

「冗談よ、わかってるって。だって私達親友だもんね」

「あ?あぁ…」

 

親友…。

 

「あ、あと一番の理解者ね。私たちってよく似てるし。私、拓哉のことならなんでもわかるよ」

 

 

俺の何を知ってるって言うんだよ…。

 

「なんだよそれ、お前が何でもわかってやんなきゃいけないのは中居だろ。お前は俺の彼女じゃねーんだから」

「彼女じゃないけどー、大切な親友でよき理解者で、あと…ライバルだもんね!」

「ライバル?何の?」

 

その時、舟が坂の頂上でピタッと動きを止め、カタカタという音が止まり一瞬静寂を作る。

 

 

「同じ人(中居正広)を好きな恋敵」

 




 

次の瞬間、池の鯉のように口をパクパクさせて青ざめる俺は、真っ逆さまに落ちていく。

 

 

「うぁーーーーーー!!」

 

 

 

好きな服も好きなファッションも好きな音楽も同じで、好きな人さえも同じ。

まるで俺をそのまま映し出した鏡のように、相手の考えていることが手に取るようにわかる存在。

「私の目を騙せるとでも思ったの?」というような勝ち誇った目で、放心した俺を莉子が見やる。

 

 

 

トイレから帰った中居が、俺たち二人の姿を見つけて慌てて何やら騒いでいる。

中居も俺と莉子の関係をひそかに気にしていたのかもしれない。

だが安心しろ。

俺と莉子が付き合うことはあり得ない。

だって俺たちは、同じ人を想う恋敵なのだから。

 




 

一人きりの帰り道。

水たまりを思い切り飛び越える。

 

 

決めた。

俺はこの思いをお前に伝えることはない。

一生隠し通すことを誓う。

 

あいつの困った顔を見たくはないから。

本当に、大切で大好きな人だから。

 

 

もう3人ではしゃいでいたあの日には戻れない。

二人の姿を近くで見続けるのは辛すぎるから。

莉子は、俺が認めた女だ。

幸せになれよ。

俺の心の中のさよならの恋人…。

 

 

 




 

 

 

「それで?実際どうだったの?」

 

 

スマスマ楽屋。

さっきのオンエアで、俺が制するのを無視してこのエピソードを中居がはしゃぎながら話したのを聞いて、

 

「木村くんと中居くんがそんなに仲良かったなんて知らなかった~」

 

と興味津々だった慎吾が、まだこの話題を引きずっている。

 

慎吾「普通ダブルデートって、その女の子にちょっとでも興味がなきゃ行かなくない?でもその子のこと好きじゃなかったってことは、もしかして本当は中居くんの彼女のことが好きだったの!?それ、やばいね!」

中居「お前そうだったのか!?だからあの時、俺の目を盗んで二人でスプラッシュマウンテン乗ってたのか~!?」

木村「ちげーよ!」

 

慎吾「それで中居君はその彼女とどれくらい続いたの?」

中居「いやー、それがすぐに別れちゃったんだよね」

慎吾「え?なんで?」

中居「なんか元々出会った当初から、すげー相性合うな、一緒にいると楽だなって思ってて。告られて付き合ってみたんだけど…。なんか彼女といればいるほど、木村と一緒にいるような感覚に陥って。そっか、俺がこいつと一緒にいてしっくりくるのって、こいつが木村に似てるからなんだー!と思って。

だったらさ、木村でよくね?だって学校でも仕事でも、家にいる時以外毎日ずっと一緒にいるんだから。もう木村が彼女みたいなもんだろ?(笑)」

 

 

そんなぶっとんだ莉子との別れの理由は俺が当時聞いたものと同じで、俺は莉子がさぞかし落ち込んでいるのではないかと心配したが、意外にも莉子はさっぱりした顔でもう吹っ切れているようだった。

 

「結局さ、一緒にいる時間が断然そっちの方が長いんだもん。そりゃ負けるよね~。でもそのハンデがなかったら、結果は違ってたかもしれないんだからね!」

 

性別という大きなハンデがありながらも勝利した俺は、完全勝利だとも思うのだが…。

 

「白状するけどさ、あのダブルデート、本当は友達に頼まれたんじゃなくて、私が仕組んだの。あ、あの子が拓哉のこと好きっていうのは本当だよ?でも、二人を積極的にくっつけようとしたのは、私の策略。

だって、私からヒロを奪うとしたら、それは拓哉以外にはいないって危機感あったから。結局心配してた通りになっちゃったけどね。

でも、ヒロには拓哉しかいないんだってよくわかった。私じゃあんたの代わりはつとまらなかったわ」

 

違う…。

 

「そうじゃない。お前が俺の代わりになれなかったんじゃなくて、中居がお前を俺の代わりにしちゃいけないって思ったんだよ」

「なにそれ?どうゆう意味?」

「誰かの代わりに他の誰かを好きになるなんて失礼だろ?そうゆう中途半端な思いで付き合い続けて、お前を傷つけちゃいいけないって思ったんだ。あいつはお前を大切に思っているから、だから別れたんだよ」

 

莉子はハッとして俺を見つめる。

 

「やっぱ完敗かぁ~!拓哉、私なんかより百倍ヒロのことわかってるんじゃん!これで諦めついたわ!ヒロには拓哉しかいない!ヒロのこと頼むね!」

 

 

バシッ!!

莉子は思い切り俺の背中を叩いた。

 

「痛ってぇ~~!!」

 

「私の心の痛みの分だよっ!!」

 

ガハハと大口を開けて笑った後、莉子はうっすらと目に滲んだ涙を必死に引っ込めようと上を向いて呟いた。

 

「誰かの代わりでもいいくらい、本当に好きだったのにな…」

 

 




 

 

そして中居が慎吾に話したのは、高校時代に俺に話したものとほぼ一緒だったが、最後の一言が抜けていた。

 

 

「もしかしたらお前に似てるから、俺、莉子のこと好きになったのかもな」

 

あの日、あんなにも切なさを胸に閉じ込めてさよならを心に誓ったはずなのに、こいつがこんなぶっとんだ理由で彼女と別れたっていうもんだから、この気持ちのやり場をどこに持って行ったらいいのかわからなくて。

 

だけどこの先も、俺は決してこの思いを口にすることはないだろう。

最後の急転直下、そんなサプライズはいらない。

平穏で、ずっと続いていく幸せ。

それを俺は一生手放したくないのだから。

 

何かが始まれば、それがいつか終わる可能性が生まれる。

だから、俺は何も始まらず、今のままの関係でいい。

 

そうすれば中居は、俺の永遠の恋人。

 




 

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