つとぷイチャイチャ小説「Memory~June~」の続きの音楽小説です。
中居と木村に秘密の逢引部屋があった!という、なんじゃそりゃ設定です・・!!(爆)
ちょいBL寄りです。(ちょっとだけね)
中居正広ソロ曲「メモリージュン」→木村拓哉ソロ曲「君のままで」ってなんか続いてるなぁって。
「あの瞬間から涙は置き去りのまま」→「もしも君が涙流すときはいつまでも隣りにいるから」とかさ。
関連記事:中居正広ソロ曲「Memory~June~」を語る!曲調の変化だけで気持ちを表現している名曲!
中居サイド
ある頃、家庭を持っている木村は、家だとなかなか集中して仕事のことが考えられないからと、別にマンションを借りると言い出した。
「お前も一緒にどう?曲作りとか、集中できる場所あったら便利じゃね?」
と誘われて、まぁ俺は当然”一人の場所”には困ってないんだけど、逆に”誰かと話ができる場所”として、その場所はとても価値があると思った。
もちろんその”誰か”は、誰でもよかったわけじゃなくて・・・。
だから、いつもなんとなく、心がその”誰か”を求めた時には、自然と足がこの部屋へと向かってしまう。
正月は家族と過ごしているだろうから、いるはずがないとわかっていても。
ただ、あいつの存在を感じるだけでも心が安らぐと。
だけど、まさか本当にいるなんて思わなかったから、びっくりしすぎて、だからあんな夢を見てしまったのかな・・・。
安心する。
その顔を見るだけで、その声を聞くだけで・・・。
木村サイド
今日、絶対にこいつはここに来ると思った。
こいつが一人で眠りたくない夜が、俺にはなんとなくわかる。
だからそんな夜は、俺がそばについていてやりたい。
こいつが一人得体の知れない寂しさを抱え、誰かと一緒にいたいと思う時に、その”誰か”は俺でありたいと願うから。
とてもハードなロケに疲れ果てたのか、 中居はソファで眠り込んでしまった。
俺は、そっと中居の手に触れてみる。
ピクリを動いたその手がギュッと俺の手を握ってきて、誰も見ているはずがないのに、急にドギマギして周りを見渡してしまう。
もちろん部屋には俺たち二人きりだ。
そして、もう一度その寝顔を見る。
二人きりの教室。
中居の寝顔。
俺は、高校時代を思い出していた。
~高校時代~
SMAPの活動が本格化してきたことをきっかけに、中居と木村は高校を途中から転校することになった。
二人の入試日は一緒で、隣の席に座った。
すると、途中から中居は鉛筆を置き、机の上に突っ伏して寝始めてしまった。
試験問題がわからなすぎて、さじを投げたのだ。
ポーン。
頭に何かがぶつかって、中居は顔を上げた。
すると、机の上に消しゴムが転がっていた。
消しゴムに書かれた細かい文字が、ちょっとケースから飛び出している。
中居は、消しゴムを出してみた。
「諦めんな!SMAPはお前が守るんだろ!!」
そうだった。
SMAPの活動に本腰入れるために、高校を転校する必要があるんだった。
今ここで諦めて、みんなに迷惑をかけるわけにはいかないじゃないか。
中居は、もう一度鉛筆を持つ。
だけど、どうしよう・・。どんなに気合いを入れても、解けなかった問題の答えが浮き出てくるわけじゃない。
すると、視界の隅ですっと白いものが動く。
ふと横を見ると、木村が自分の答案用紙をすっと中居側にずらしてくれていた。
先生、神様、ごめんなさい!
カンニングは悪いことだけど、俺にはどんな罪を犯しても守りたいものがあるんだ!!
中居はパンッ!と手を合わせると、木村の答案を写した。
木村は素知らぬ顔で、反対側を向いて頬杖をついている。
ポーン。
木村の机の上に、消しゴムが返ってきた。
木村が書いた側と反対側に、何か文字が書かれている。
ケースを外してみる。
下手くそな時で消しゴムめいっぱいに書かれていた。
「(SMAP守るの)一緒に頼むわ!」
木村が中居のほうを見る。
中居は、屈託のない笑顔でVサインをして見せた。
その時に思ったんだ。
俺は、いつだってこいつのそばにいて、この子供みたいに無邪気な笑顔をずっとずっと守っていこうと。
窓から差し込んだ月明かりが、そのきれいな横顔を照らす。
すると、少し眉をひそめて眠る中居の頬をつーっと一粒の涙が伝う。
俺はハッとして目を見張った。
1年前、こいつはひと目もはばからずにテレビで号泣した。
だけど、それ以来、俺はこいつの涙を見ていない。
いや、俺が見ていないだけではないのだろう。
きっと、こいつはあれ以来、ずっと涙を流すことができずにいたのだろう。
俺はその寝顔をマジマジと見て思う。
こいつ、こんなに眉毛下がってたっけ?
昔はもっと凛々しい眉だったような気がするんだけど。
いろんなものを背負い込んで、悲しみを溜め込んで、一人耐えてきたからだろうか?
そして、こうして誰も知らないところで、自分すらも気づかぬ夢の中でしか、泣けずにいたのだろうか?
一体どんな夢を見ているのだろう・・。
俺がいる。
俺がいるよ。
いつだって、お前の隣りにいてやるから。
いつだって、泣いていいんだ。
強がることなんてない、俺の前でだけは。
俺は、強く強くその手を握り返した。
翌朝。
差し込む朝日が眩しくて目を覚ますと、すでにバタバタと中居が部屋の中をせわしなく走り回っていた。
「おう、起きたか!じゃぁ、俺もう行くわ!」
中居は慌てて身支度を済ませ、タタタタっと玄関へ向かう。
「え!?今日も仕事なのか?お前この1年ずっと働き詰めだったじゃんか。あんまり無理し過ぎるなよ、体壊しちまうぞ?」
「大丈夫、大丈夫!」
中居は、急ぎ足で部屋を飛び出す。
俺は、その背中に向かって叫ぶ。
「中居!そんなにがむしゃらに頑張って、これ以上お前は一体何が欲しいんだよ!?」
十分過ぎる金、知名度、実績。
これ以上、お前が手に入れたいものって・・・。
中居は振り向いて、子供みたいに屈託のない笑顔で答えた。
「みんっなが笑っていられる世界!」
純粋すぎるキラキラした瞳を輝かせてそう言ったあと、駆け出した。
その小さな背中に、抱えきれないほどの大きな夢と希望を背負い込んで。
きっとあいつはずっと、昔から何も変わらずにそれだけを求め続けている。
だから、諦めてはいない。
泣かせたファンをまた笑顔にさせること、離れた仲間がまた同じ世界へと笑顔で戻ってこれること。
そんな世界を作るため、たった一人で頑張っているのだ。
少し行ったところで、中居はふと立ち止まり振り返った。
「でも、一人じゃどーにもなんない時もあるからよ。そん時はまた、たのむわ!」
中居はヒラヒラと手を振り、また駆け出した。
純粋がゆえに、傷つくことも多いかもしれない。
だけど、お前はそのままでいい。
賢いだけの汚くてつまらない大人になんてならないで。
子供のように純粋で怖いもの知らずに突き進むからこそ、切り開ける道があるはずさ。
だからお前はいつだってお前らしく、前を向いて進め。
俺がずっとそばで見守っているから。
そして、お前が必要とするときは、俺も一緒にお前の信じる明日を探してやるよ。
いつだって一緒に・・・。
見上げた夜空
優しく光る月が
静かに眠る
君の横顔照らす
少し眉をひそめて
僕の手握る君
どんな夢を見てる?
もしも君が
涙流す時は
いつまでも隣にいるから
抱えた悲しみは
隠さなくていいんだよ
部屋の窓辺に
差し込む朝の光
少し急いで
部屋を飛び出した君は
その小さな背中に
大きな夢背負い
何を見つけるだろう
もしも君が
つまずいた時には
僕がそっとこの手を貸すから
何も恐れないで
歩き出せばいいんだよ
いつか君もきっと
大人になっていく
その日まで
そばにいるから
もしも君が
涙流す時は
いつまでも隣にいるから
抱えた悲しみは
隠さなくていいんだよ
もしも君が
道に迷った時は
一緒に明日を探すから
君は君のままで
前を向けばいいんだよ
君のままで・・・
出典:SMAP(木村拓哉ソロ)「君のままで」作詞:日本語詞:小林光明、作曲:DavidFoster/Kara Dioguardi
こちらの音楽小説で使わせていただいた木村拓哉ソロ曲「君のままで」については、こちらの記事で歌詞の意味を考察しています!↓
木村拓哉ソロ曲「君のままで」歌詞の意味は?「小さな背中」とか心美か中居か・・!?
「Memory June」の小説では、中居さんが遠くへ行ってしまった3人や、会えなくなった木村さんへ思いを馳せていることを描きましたが、それが「5人に戻りたい」という思いなのか、寂しいけれど別々の道でやっていかなきゃなって自分を鼓舞している思いなのか、それはちょっと曖昧にした終わり方でした。
でも、「君のままで」の最後に
「みんなが笑っていられる世界を手に入れる」
と中居さんが言ってくれているので、このみんなというのは、木村、吾郎、剛、慎吾はもちろん、ファンのみんなという意味もあって、私たちがもう一度笑える世界を中居さんが取り返してくれるのではないかな~という願いを込めました。
その形は、もちろん5人がまたSMAPとして再出発してくれたら一番ですが、もしそれが叶わないとしても、何らかの形でまた共演とか普通にできて昔話を笑って話せるようになってくれたらなぁ…なんて思います。
6月になると、いつも事務所との更新時期なので、残留するのか、事務所を出るのか?という注目を集めます。
中居さんは、たくさんレギュラー番組を持っているので、残留するだろうと言われていますが、中居さんクラスになると、自分がMCをしている番組に対するキャスティングに口を出せたりするようで、打ち合わせの時に
「新しいなんちゃらの3人はダメなのかな?」
なんて、冗談めかして打診してくれたりしているそうです。
中居さんもテレビ業界を捨てて新しい地図に入るっていうのも潔くてかっこいいけど、3人をテレビに戻すためにも自分がこの世界でこの地位を守り続けるんだという形もまた、十分にSMAPのリーダーとしてかっこいいやり方だなと思います。
だから私は、中居さんがどんな答えを出しても支持します。
そして、それは絶対に
「みんなが笑っていられる世界」
を目指しての行動だと信じています。