これは、5人の男たちがお互いに思い合い、かばい合い、権力に抗って戦い続けた大きな愛と友情の物語。
SMAP解散の裏事情を勝手に妄想して書いた作品です。
中居さん、木村さんの2TOPが大好きなので、二人を中心に書いています。
実際にあった出来事、報道で言われていたこと、本人たちがテレビや雑誌で言ったこと、などの事実をもとにした全くのフィクションです。
こちらは中居くん目線のストーリーです。
シリーズ作品ですので、続きもぜひご覧下さい!
中居サイドストーリー
2015年冬。
俺たちは、事務所を出る決意をする。
それは、俺たちを売れない時代からずっと支えてきてくれたマネージャーが、とんでもない屈辱を受けたことがきっかけだった。
「もう我慢の限界だよ!飯島さんをあんなふうに苦しめる事務所に、これ以上ついていけない!」
マネージャーを本当の母親のように慕っているうちの末っ子は、今にも泣きそうな顔で言った。
そりゃそうだ。
慎吾は、小学生のときからずっと可愛がってもらっている。
本当の母親といるよりも長い時間を過ごしてきているのだ。
「お前ら、覚悟はできてるか?」
俺はメンバーの顔をぐるっと見渡す。
これは、何度もみんなで話し合って出した結論だった。
剛と吾郎が無言で頷く。
「お前の決めたことに、ついていかない人間はここにはいねーよ。いつだってそうだっただろ?」
木村は、横目で俺を見ながらニヤリと片方の唇を上げて言った。
「SMAPは独立する!」
俺は、改めて俺たちが出した答えを言葉にした。
その後、俺たちは社長に事務所を出ることを報告した。
それは、相談じゃなくて報告だ。
もう俺たちの決意は固まっていた。
揺るがない。
だって、これは今に始まった話ではないから。
俺たちはずっと事務所から“ハブ”にされていた。
デビュー当時から上から認められていなかった俺たち。
ずっと昔、「J―FRIENDS」というユニットに入れてもらえなかった頃から、それはますます決定的なものとなり、とてもあからさまなイジメのようなものだった。
他の事務所の後輩がグループ同士の交流があることにちょっと寂しさは感じたけれど、別に仕事場に友達を作りに来ているわけじゃない。
俺たちには信じ合えるメンバーと母親のように俺たちを支えてくれるマネージャーがいた。
それだけで十分だった。
だからこそ、マネージャーが俺たちのことで踏みつけられるのは耐えられなかった。
俺たちがここまでがむしゃらに頑張ってこられたのも、マネージャーに花を持たせてあげたい一心だった。
だけど、どこまで頑張って結果を出しても、上は俺たちを認めてはくれなかった。
そこで、俺たちは決意したんだ。
この事務所との決別を。
社長は意外にもそれをあっさり承諾してくれた。
いや、あっさりと言うのは語弊があるだろう。
社長だって、心を痛めていたはずだ。
だけど、社長は俺たちのことを思って手放すことを受け入れてくれたのだ。
「僕が頼りないばっかりに、YOUたちに長年辛い思いをさせてしまってすまなかったね」
社長はもともと派閥的考えのない人間だ。
そして、神様から原石を見出す目をもらったいわば“天才”だ。
その原石が輝くことだけを望んでいる人。
しかし、その穏やかな人柄なだけに、下の暴走を止めることができなかった。
「自由になったらいいよ。僕は、YOUたちの幸せを願っているからね。ここを巣立っても、YOUたちはずっと僕の子供だよ」
社長の目には、涙が滲んでいた。
そして、12月。
俺たちはFNS歌謡祭に出演した。
「わぁ~!TOKIOやっぱかっけーなぁ~。長瀬くん、相変わらず歌うまいね~。あ、なんか若い子も出てるんだね。Hey!Say!JUNP?いや~さすがにここまでくると俺わかんないや~」
普通ならピリピリしてしまうような状況で、無邪気にこんなふうに言えてしまうのは本当に剛らしい。
後輩が誰も楽屋に挨拶に来ないで本番を見て出演グループを知るなんて、フツーじゃねーだろ。
まぁ、現状を嘆いたり、その状況を作った人間を悪く言ったりしないところが、剛のいいところなんだが。
しかしこの後、俺たちはとんでもない光景を見ることになる。
大先輩の歌に、後輩たちは前に出てきてスタンディングオーベーションで会場を盛り上げた。
そして、次は俺たちの出番だ。
今まで後輩たちとの共演をことごとく禁じられてきたけれど、これだけフルメンバーが揃うステージで歌えるなんて。
後輩たちの手拍子の中で歌うなんて、どれだけ嬉しいことだろう。
さんざん話し合って決めたことなのに、事務所を出る決意が揺らいでしまいそうだ。
しかし、俺たちがステージに出るのに押し出されるように、そこにいた後輩たちはサーっとみんなはけてしまったのだ。
なんだこれ??
そうか、独立の話を聞いて、上が嫌がらせを始めたんだ。
でも、テレビだぞ?
みんなに夢を与えるテレビで、イジメの現場を映すって頭おかしいんじゃねえのか?
これで気持ちは完全に決まった。
こんな場所には、もういられない。
俺は、その日楽屋でメンバーにこう告げた。
「SMAPは独立する。それを今年の紅白で公表する!」
メンバー全員が驚きのあまり口を開けたまま固まって俺を見る。
慎吾なんてかぶりつきかけていたハンバーガーをバサっと落とし、でっかい口だけはそのまま開けっ放しのまま固まっている。
「もう後戻りできない状況に追い込みたいんだ。それに、俺たちの決意を早くファンのみんなに伝える必要がある。ファンのみんなにだけは、嘘はつけないから。ダメ・・・かな?」
すると、木村がいつものように片方だけ口元を上げた笑顔を作る。
「何度も言わせんなって。お前が決めたことなら・・・」
「ついていかないヤツはここにはいないよ!!」
慎吾と剛と吾郎が口を揃える。
「おい~~~!お前らっ!それ俺のセリフだからっ!!」
木村が怒りながら笑う。
他の3人が笑う。
せっかく築き上げたこの地位を捨てるなんて、みんなが俺たちの決断に首をかしげるだろうか?
でも、俺たちは「CRAZY」でもいいんだ。
今までの道のりは決して簡単なものじゃなかった。
歯を食いしばって耐えた若かりし頃の気持ちを忘れない。
だけど、いつだって俺たちは自分たちで道を切り開いてきた。
これからだってそうするだけさ。
だって、俺たちはどこへだって行ける。
決して迷うことはない。
そう、5人一緒なら。
俺は、こいつらのこの笑顔を絶対に守り続けると決めたんだ。
これは俺たちの、華麗なる逆襲だ!!
Far away!若すぎたんじゃない
そう誰にも従わずに 突き進んだ証
So far away!もう一人じゃない
さぁ手を取り Yes,We are all one.
涙を越え明日へ・・・1234Crazy5!
出典:SMAP「CRAZY FIVE」作詞作曲:N.マッピー/宮下浩二/宮下昌也
探してた道しるべは 踏み出した最初の一歩で
無限に広がる期待 あの頃に見た儚い夢を・・・
ちっぽけなこの手のひら それでもギュッと握って
奥歯を噛み締めていた 負けたくない 強い眼差し・・・
出典:SMAP「CRAZY FIVE」作詞作曲:N.マッピー/宮下浩二/宮下昌也
So far away!五つの星屑
くじけそうでも拳をあげろ 皆が迷わぬように
So far away!信じる気持ちは
わすれないよ Yes,We are all one.
諦めない明日へ・・・1234Crazy5!
出典:SMAP「CRAZY FIVE」作詞作曲:N.マッピー/宮下浩二/宮下昌也
SMAP「CRAZY FIVE」の歌詞全文を知りたい方はコチラ
この小説はフィクションですが、現実世界であったSMAPの報道や巷で囁かれている噂を随所に盛り込んでいます。
本当にあったエピソードを知りたい方はコチラ↓