幼なじみラブに急展開!?
紫耀にアドバイスを受けた優太が暴走し…
前のお話はこちら。
誘ってる?(優太サイド)
紫耀「あれ?今日、西野(※菜々の苗字です)は?いつも一緒なのに」
岸「あぁ、菜々、今日、日直だから先帰ってって」
紫耀「あ、そっか。廉もそうだって言ってたわ」
岸「ふーん」
紫耀「…岸さ~、西野と廉、二人で残してきて、心配じゃないの~?廉って、女の子に手早いじゃん?」
岸「はっ!?なんだよ、それ!全然!?なんで俺が心配すんだよ!?」
紫耀「岸と西野ってさ、ほんとに付き合ってないの?あんなにいつも一緒にいるのに?」
岸「ないない!ただの幼馴染だから!」
紫耀「”ただの幼馴染”ってのが恋愛対象にならない意味が全然わかんないんだけど。いつも1番そばにいる女の子って、普通好きにならない?」
岸「そうかー?なんかもう、いつも一緒にいすぎて、男女を超越しちゃってるんだよなぁ、俺ら。あいつも俺のこと、全く男と思ってないしさ。だってあいつさ、毎朝、すんげー露出激しい格好で、俺の上にまたがって来るし。女としての自覚がないんだよなー、まったく」
紫耀「はっ!?なにそれ!?」
岸「あ、いや、普通に朝、起こしにくるだけなんだけどね」
紫耀「それってさ…もしかして、西野、岸のことわざと誘ってるんじゃない?」
岸「は!?なんで!?」
紫耀「そりゃ、岸のこと好きだからに決まってんでしょ。好きでもない男に、ふつーそんなことしなくない?」
え?いや、ないない!
あいつが俺を?ないだろー!
だってあいつは、俺のこと男として全く意識してないんだから。
紫耀「うん、絶対好きだって。むしろ待ってるな」
岸「待…っ!?」
紫耀「男だったら、お前の方からリードしてやれよ。てか、西野ってけっこう色気あるのに、その距離感で今まで幼馴染止まりだったのが、逆に岸すげーな。俺だったら好きな女の子と同じベッドの上にいたら、もう絶対そういうモード入っちゃうけどね」
幼なじみの壁を破る時(優太サイド)
岸「で、なんでいんだよ…?」
家に帰ると、俺の部屋のベッドで菜々が寝転んで漫画を読んでいた。
菜々「あ、おかえりー優太!なんで私より先に帰ったのに、こんなに遅いんだよー?おばさんが部屋で待ってていいよって言うから、上がらしてもらったよーん。で、おばさん買い物行ってくるってー」
少し振り返った後、また漫画に視線を戻し、うつ伏せの格好で足をゆらゆらさせている菜々は、パンツが丸見えなことに気づいていない。
ほんとに?
俺のことを?
こんな無防備で男の部屋に遊びに来るようなやつが?
岸「それ、最新刊、めっちゃ面白いだろ?どこまで読んだ?」
菜々「あーまだまだ!半分くらいだから、ネタバレしないでよねー!」
岸「じゃ、俺も前の巻読み返そーっと」
さりげなく隣に寝転んで漫画本を開く。
シングルベッドに二人並ぶと、肩が触れ合うほどの距離になるが、菜々は全く避けようとしない。
ちらりと横に目をやると、胸元のリボンを外して着崩した制服の隙間から胸元が見えそうだ。
”もしかしてわざと誘ってんじゃない?”
紫耀の言葉を思い出す。
”好きでもない男にそんなことしなくない?”
”むしろ待ってるな”
”うん、絶対好きだって”
”男なら、お前の方からリードしてやれよ”
次々と紫耀の言葉が蘇ってくる。
マジかよ…。
菜々「え?」
視線を感じて菜々が振り向いたことで、ようやく自分がめちゃくちゃ至近距離でガン見していたことに気づいて急激にドギマギする。
いつもなら、ここで変顔でもしてごまかしていただろう。
でも、
もし紫耀の言うように、本当に菜々が幼馴染の関係を超えたいと望んでいるなら…。
でも、自分からそれを言い出せないでいるのなら…。
ここはやはり、男の俺の方から…
突然のキス(菜々サイド)
え…うそ…なんで?
なんでこんなことになってるんだっけ…?
ベッドに仰向けに寝転り、覆いかぶさる優太の重さを感じながら、長い長いキスを受けている。
何が起こってるんだろう?
目を閉じて、優太のキスにとろけそうになり何も考えられなくなった頭で、少し前のことを思い返してみる。
さっき、漫画読んでたらなんか隣から視線を感じて、振り向いたらめっちゃ近くに優太の顔があって。
ドキっとしたけど、これは絶対変顔して笑わされる流れだと思って、こっちも負けじとにらめっこ状態から目をそらさなかった。
そしたら、優太の顔がゆっくりと近づいてきて…
最後まで”超至近距離変顔”をかまされるんだと思ってまだ顔を背けずにいる私に、優太の真顔がどんどん近づいてきて、そのままそっと私の唇に重なった。
何が起こったのか理解できずにそのまま固まっている間もずっとキスは続いていて、優太は大きな手をそっと私の頭の後ろに沿えて、私の体をコロンと転がして仰向けにさせた。
そして、今この状態。
嘘みたい。
ずっと優太のことが好きだった。
でも、全然女として見てもらえてないと思ってた。
このまま一生”幼馴染”の壁を破ることはできないのかな、なんて諦めかけていた。
なのに、優太のほうからこんなことしてくれるなんて…。
優太も、私のこと好きでいてくれたんだ…。
嬉しい、夢みたい。すっごい幸せ。
「ん…っ、優太…っ」
優太の細くて長いきれいな指が、髪にくしゃっと差し込まれ、頭をなでてくれる。
そして、そのままその手がスルスルと肩へと下りていく。
…っ!?
えっ…
ちょ、ちょっと…
ゆ、優太の手、手がぁーー…っ!!
む、むね…っ、むね、触ってるーーっ!!!
こちとら初めてなんだから、展開早すぎでしょーー!!(><)
ん?
しかもなんか、太ももに硬いものが当たって…?
え…もしかして、
菜々「ぎゃぁーーっ!なんか足に当たってるんですけど…!!」
岸「えっ!!あ、いや、これは…っ」
菜々「優太の変態!!」
岸「しょ、しょーがねーだろ!?この状況じゃ、誰でもそうなるだろ!!」
誰でも…?
あれ?なんかさっきも聞いたような台詞…?
”そこにおっぱいがあれば誰でもいいから触りたい”
そうだ、永瀬くんがさっき言ってたじゃん。
誰でもいい。
”別に好きな子じゃなくても”
って。
そうじゃん、今、優太に「好き」って言われてない。
ベッドに女の子と至近距離で寝転がってる時にたまたまムラっときたら、誰でもこうなる。
相手が私じゃなくても…誰でも…。
ドンッ!!
菜々「優太のバカ!変態!エロオヤジ!」
力いっぱい優太を突き飛ばして、逃げるように部屋から出ていった。