隣の家に住んでて、いつも勝手に部屋に上がり込んで、俺のベッドにまたがって俺を起こしにくる幼馴染。
小さい頃からいつも一緒にいるのが当たり前で、男だとか女だとか、考えたこともなかったのに、なぜだか最近ドキドキしてしまう。
変化したのは彼女の体なのか、俺の心なのか。
でも、絶対に、この気持ちはバレてはいけない。
だって、そしたら今までの関係じゃいられなくなるだろう?
誰よりも近い距離感なのに、誰よりも”男と女”とは程遠い距離感。
そんな幼馴染と俺の物語…。
幼馴染ラブ、一度書いてみたかったテーマです。
主演 岸優太でお送りします。
いつもは”歌詞小説”と言って、1話に1曲ずつテーマ曲を用意して、その歌詞に沿ってストーリーを進めていくのですが、今回はこの作品全体のテーマ曲として「High On Love!」を選ばせていただきました!
最近、幼馴染にドキドキしてしまう(優太サイド)
「優太!コラッ起きろー!朝だぞ!」
重みを感じて目を開けると、隣の家に住む幼なじみの菜々の顔が目の前にあった。
菜々はこうして毎朝、俺を起こしにくる。
起こしてくれるのは助かるのだが、ちょっと困ったことがある。
今、「菜々の顔が目の前に」と言ったが、顔より前に、たわわな胸が俺の目の前に飛び込んでくるのだ。
自分も起きたてで来るのか、胸元の空いたゆるいTシャツにホットパンツという無防備な格好でやってきて、布団の上から俺にまたがってくるのだから、本当に困る。
小さい頃からいつもじゃれあって遊んできたけど、もうそんな風に無邪気に体に触れられる年齢ではないし、いつの間に成長したのか、菜々はぐっと女らしい体型になっていて、触れられないどころか目のやり場にすら困る。
それなのに本人は全く気づいてないのか、相変わらず無邪気に絡んでくる。
「もうっ、いつまで寝てんの!?早く起きなさーい!」
「いや‥っ、ちょっ‥待っ‥」
菜々が布団を剥がそうとするので、必死に抵抗する。
「ほら、はやくー!」
「いや、今、無理‥っ!」
「はっ!?何が無理なのよ!?学校遅刻するよ!?」
いや、無理なんだよっ!
お前がそんな格好で乗っかってくるから、下半身が反応しちまって、今、布団から出たら絶対バレんだよ!
「いいから、お前は家戻れよ!ちゃんと自分で起きれっから!毎日起こしに来んなよ!」
「もうっ、ちゃんと起きなよねー?じゃあ、また後で学校でね」
菜々は不満げに部屋から出ていった。
ずっと幼なじみとして付き合ってきたのに、最近菜々が”女”に見える。
そんなふうに見てるって知られたら、絶対キモがられるよな‥。
だから絶対にバレないようにしなくては。
幼なじみとしての態度を崩してはいけない。
だって菜々との関係を壊したくはないから。
女として見てもらえない(菜々サイド)
ちぇっ‥今日も全然、つれない態度‥。
優太とは幼なじみで、母親曰く、赤ちゃんの頃からずっと一緒に遊ばせていたらしく、いつから好きだったのか自分でもわからない。
たぶん物心ついた頃から好きで、それが「ママ好き、パパ好き、優太好き」っていうんじゃなくて、男の子として好きなんだって気付いたのが、小学校の3年生くらいかな?
中学に入って、男子、女子みたいになっても、私たちは変わらず仲良しだった。
さすがに周りから「できてる!?」なんて冷やかされることもあって、私はモーレツに恥ずかしかったけど、優太は全然気にしてなくて、からかう方もあまりに反応がなくてつまんなくなって、あまり言われなくなった。
からかわれて喋れなくなるのも嫌だけど、優太に全く女として意識されてないんだなぁって思って悲しかった。
だけど、そんな私にチャンスが訪れたのだ。
中3の終わり頃から、急激に胸が成長し始めた。
これは偶然ではない。
なんとか優太に女として意識してもらいたかった私は、給食の余った牛乳を我先にと奪って飲み、家でものどが渇けば水がわりに牛乳を飲んだ。
とにかく巨乳になれば、嫌でも優太が私を女として見てくれるのではないか?と企んだからだ。
そんな涙ぐましい努力のかいあって、私の胸はぐんぐん膨らみ始めた。
強力な武器を身につけた私は、毎朝、女丸出しの格好で優太を起こしに行くという、誘惑作戦に出たのだ。
しかし‥
結果はこの通り、惨敗。
優太は全く無反応。
逆に冷たく「早く出てけよ」とまで言われた‥。
私、どれだけ女と思われてないんだろう‥。
2話へつづく…