9月9日に何も起こらなかったことを受けて…音楽小説「Style~父親であること=これが俺の生き方~」”SMAPの木村拓哉”を降り、ワッツからFLOWという新たな航海へ
人気記事1位!!中居正広の兄のご近所さんが語る真相!兄は静岡県沼津市の「スーパーカドイケ」の経営者で、中居を「ひろちゃん」と呼ぶ甥っ子も従業員で超イケメン! 君と僕の6ヶ月(SMAPオレンジ恋愛三部作)後編(簡潔バージョン)

君と僕の6ヶ月(SMAPオレンジ恋愛三部作)後編(簡潔バージョン)

SMAPオレンジ3部作に「幸せの果てに」「ラストシーン」を加えた5部作となっています!

中居くん主演で実写化してくれないかな~(笑)もちろん主題歌挿入歌、全部SMAPで!

めちゃ泣けると思うよ!





君と僕の6ヶ月(SMAPオレンジ恋愛三部作)前編(簡潔バージョン)

君と僕の6ヶ月後編

再会

2年後。

大学では病院実習が始まって、優介はさらに忙しさを増していた。

深夜のコンビニバイトはとっくに辞めた。

大学が忙しくなったこともあるが、美華がいなくなってから優介の人生は輝きを失ってしまったからだ。

毎日の忙しさをこなしていくだけで精一杯だった。

”自分探し”などバカバカしく思えるようになっていた。

いきがって親に逆らうことも面倒くさくなって、素直に親の仕送りを受けるようになった。

そして自転車通学もやめて、毎日バスを利用するようになっていた。

優介は、腕時計を見る。

バスが少し遅れているようだ。

病院から出てくる人たちは、たいてい険しい顔をしてみんな足早に家路についている。

遊園地の帰りじゃないんだ、当然だ。

逃げたい、逃げたい、逃げたい・・・。

生の患者と向き合うようになってから、この思いはどんどん強くなるばかりだった。

病気で苦しむ人たちと毎日向き合うということは、勉強が大変とか、睡眠時間が少ないとか、そんなこととは比べ物にならないくらいストレスがかかる。

「優介は、きっといい医者になれるよ!がんばって!」

美華が最後にくれたメッセージを思い出しながら、優介は今にも雨が降りだしそうな曇り空を見上げる。

いい医者になんてなれそうにないよ・・・。

2年経っても美華がデビューしたという噂は聞こえてこないが、今頃どうしているのだろうか・・・。

雨とバス停。

この二つが揃うとパブロフの犬みたいに今でも美華のことを思い出してしまう。

優介は、携帯を見た。

美華の番号はまだ消せないままだ。

だけどあれから一度も使っていない番号だ。

「今でも夢に向かってがんばっていますか?」

なんてメールをしてみようか。

「久しぶりに会って少し話をしませんか」って。

もう2年も時が経っているんだし、友達みたいに気軽にさりげなく。

そんなことを考えて自分の諦めの悪さにまたため息をつく。

そんな言い訳めいたメールで、諦める恋を確かめるのは悲しすぎる。

もうとっくに歌手になる夢なんて忘れて、だれかのお嫁さんになって幸せに暮らしているかもしれない。

いいんだ、どこかで幸せでいてくれれば。

この2年間、ずっとそう自分に言い聞かせてきたんだから。

何を今さら・・・。




ぽつりぽつりと雨が降り出した。

そしてようやくバスがやってきた。

早く家に帰って、明日までに担当患者の資料を読み込まなければ。

ずっしりと肩にかかるバッグの重みと、それ以上に重い気持ちが乗りこんだ。

一番後ろの席に座り、優介はふと車道の反対側のバス停を見る。

するとそこに、ずっと待ち続けていた姿を見た。

美華だった。

間違いない・・・!

優介は思わずバンと窓ガラスに手をついた。

美華もまた優介に気づく。

優介は、 バスを降りようと立ち上がった。

すると美華は、黙って他人みたいにお辞儀をしてみせた。

その姿を見て、優介は躊躇して踏み出していた足を止める。

「ごめんね」って声が聞こえた気がした。

美華・・・、どうして・・・!!

この街に帰ってきてるのか!?




病気

美華の中でくすぶっていた諦めきれない昔見た夢を、現実のものにしようとしゃかりきになっていたのは優介のほうだった。

しかし希望の光が見えたとたんに、感謝されてもいいはずの自分をポイと捨てて一人羽ばたいて行った美華を、優介は何度も恨んで嫌いになろうと努力した。

だけど、どうしても嫌いにはなれなかった。

もし優介が美華の夢を叶えようとしなかったら、美華がその気になって東京に出るなんて言い出さなかっただろう。

もし美華が夢に破れたら、優介の元に戻ってくるかもしれない。

いろんな「もし」が浮かんでは消えていく。

だけど「もし美華に出会わなければ・・・」。

そう願ったことは一度もなかった。

そして美華に出会ってしまったなら、やはり何度でも美華を好きになって、美華の歌に魅了され、美華の夢が叶えばいいと望んだに違いないと優介は思う。

だから美華が本当に夢をつかみ、どこかで幸せでいてくれればいいと願った。

だけど美華は、この街に帰ってきていた。

夢を追うために東京に行くという話はどうなったのだ?

まさか自分と別れるための嘘だったのではないか?

美華の姿を見た日から、優介は実習に身が入らなかった。

今日から新しい科に移る。

最近入院したばかりの患者の担当になる。

病室に入り、息が止まるかと思った。

そこにいたのは美華だった。

優介が息が止まりそうになったのは、突然意外な相手と再会したからというだけではない。

今度受け持つ患者のカルテはしっかりと読み込んでいた。

心臓に重大な疾患を抱えている。

病気の症状を読み込むのに真剣になりすぎて、患者の名前を確認するのを忘れていた。

改めてカルテに目を落とし、信じがたい事実を確認する。

藍沢美華、 余命半年・・・。




一緒に

優介「こんな偶然あるんだね」

長い沈黙を破るように、優介が口を開いた。

美華は黙ったまま一点を見つめている。

優介は何と言っていいかわからなかった。

医者として何と言葉をかけていいのか。

優介「きっと神様が僕たちを引き合わせてくれたんだよ。一緒にがんばっていこうよ」

そんな薄っぺらい言葉しか出てこずに、言った後で後悔する。

美華「がんばるって何を?優介、まだ医者の卵のくせに何ができるの?知ってるんだよ私、もう治らないって」

優介の心臓の鼓動が早くなる。

優介「あきらめないで。僕にできることなら何でもするから」

美華は優介をキッと睨みつけて、鋭い言葉を投げつける。

美華「じゃあ一緒に死んでくれる?」

優介は何も答えられなかった。

美華「死んでよ!ねえ、一緒に死んでよ!!・・・ハッ、できないくせに」

美華は吐き捨てるように言った。

その目に、昔のような輝きはもう無かった。

あくる日。

美華「何、こんなところに連れてきて?」

優介は美華を病院の庭園に呼び出した。

美華は不機嫌そうにベンチに腰を下ろし、そっぽを向く。

美華に「一緒に死んで」と言われてわかったのだ。

今まで優介は患者の気持ちに同化して、ただただ苦しくなっていた。

だけど、どんなに医者が患者の気持ちに寄り添ったところで、医者と患者は同一ではない。

病気と戦うのは患者自身だ。

そして医者にできることは、限られている。

みんな医者のことを神のように思っているが、 実習を始めてから実際医者だって無力なただの人間なんだと思い知らされるばかりだ。

そんな多大な期待をかけられても困る。

だから、ずっと逃げたいと思っていた。

だけど病気の美華を前にして、自分が逃げるわけにはいかないと思った。

だって美華は、病気から逃げることができないのだから。

医者になるのをやめれば辛い現実から逃げられると思っていたのは、所詮病気なんて他人事だと思っていたからだ。

優介は、そんな弱い自分を恥じた。

では、自分は医者として美華に何をしてあげられるのか。

優介「僕は、美華と一緒に死んであげることはできない。

僕は美華と一緒に生きる。

だって、僕は医者だから」

キミだけのために生きて行けたなら

幸せの果てに 何想うのだろう

ボクの定義じゃ追いつかない想像以上の

溢れだす喜びが waiting for us

SMAP「幸せの果てに」

もう治らない患者にだって、残された時間を輝いて生きる権利がある。

ただ死を待つだけの時間を生きてほしくない。

もう美華にあんな尖った目で、悲しいことを言ってほしくない。

優介「どんなに辛くても、患者さんから目をそらしたりしない。患者さんの抱える絶望を一緒に受け止める。だけど、ただ一緒に泣き腫らしたりはしない。

幸せの定義なんて人それぞれだろう?ただ長く生きた人だけが幸せっていうわけじゃないかもしれない。

最期まで強く誇らしく輝いて人生を生き抜いてもらえるように、患者さんと一緒に生きる。そんな医者に僕はなりたい。それが僕の夢だ。

美華がそう思わせてくれた」




優介は、ベンチの後ろに置いていたギターを取り出した。

美華「これ・・・」

優介「そうだよ、あの時のギター。何度も捨てようと思ったけど、無理だった。また歌ってよ」

美華は悲しそうにうつむいた。

美華「無理だよ・・・。私、指が痺れてちゃんと動かないの・・・。だから夢も諦めてこっちに戻ってきたの。もう歌えないんだよ・・・」

優介は美華の隣に座り、ギターを美華の膝の上に乗せる。

優介「右手だけ動かしてくれればいいから」

優介は左手をギターの弦の前に構え、右手を美華の背中の後ろから回し美華の右手の上に重ねる。

優介に手を取られるがままに、美華の右手がギターの弦を弾く。

美華の手の動きに合わせて優介はギターの弦を押さえていく。

ギターはしっかりと音を奏でていく。

優介「あれから僕すげー練習したんだよ。美華が残していった書きかけの譜面ギターコードしか書いてなかったから、どんな曲なのかどうしても聞きたくて」

優介はそっと美華の右手から手を離したが、そのまま美華は力強く弦を弾き続けた。

美華はギターの音に、そっと自分の声をのせる。

園庭にいる人々が、二人の演奏に振り向く。

曲が終わる頃には自然と二人の周りには人だかりができていて、拍手が起こり、みんなが笑顔に包まれていた。

優介はもう一度、美華の手をそっと握る。

優介「僕たち、二人とも弱いとこあるけど、一緒なら強くなれると思わない?」

美華「優介に診てもらえる患者は、幸せだね」

涙で潤んだ美華の目には、あの頃の輝きが戻っていた。




夏に降る雪

「雪が見たい」と君が言った。

だけど君は冬まで生きられない。

僕はどうしても夏の終わりの空に雪を降らせなければならなかった・・・。

優介のお昼休みには、優介と美華は二人で園庭でギターを奏でるのが日課となっていた。

病院のスタッフや患者たちは、すっかり美華のファンになってしまっていた。

それは美華にとって、辛い闘病生活の中でとても励みになったようだ。

美華は何かに取り付かれたように新しい曲を書き綴った。

自分がこの世から消えてなくなっても、自分が生きた証を残したい。

それが残されたわずかな時間に、美華が最後に望むことだった。

美華の感じた喜び、苦しみ、願い、全てのものを、一曲一曲に閉じ込めて。

「これは、私の願う未来」

ある時、美華は優介に曲をプレゼントしてくれた。

タイトルは”キズナ”。

そこには、雪の中を歩く恋人同士の姿があった。

だけど、美華は冬まで生きられないことは、優介も美華本人も知っていた 。

はしゃぎながら波打ち際を歩く美華の後ろ姿を見ていた。

美華は、一日だけ外出届を取った。

優介が「連れて行きたいところがある」と言ったからだ。

季節外れの波に揺れてる 眩しすぎた夏の記憶

しぶきの中へ駆け出す君の ハシャぐ背中眺めてた

SMAP「ラストシーン」

もう夏も終わりで少し涼しくなってきているが、今日最後の花火大会がある。

ここの花火は「海上花火大会」と言って、海の上に花火が打ち上げられるのが特徴で、観客は浜辺に座り花火を見上げる形となる。

そして優介が今日ここに美華を連れてきた目的は、フィナーレで行われる「大空中ナイアガラ」だ。

空一面にパラパラと輝く細かな火の粉が、海に落ちると同時にすぅーっと消えていく。

美夏「雪みたい・・・」

あまりの美しさに、美華は放心したままポツリと呟いた。

そう、これはまさに夏に降る雪。

優介は、どうしても美夏の願いを叶えてあげたかったのだ。

優介はちらりと美華の横顔を見る。

ずいぶん痩せたが、花火に照らされる美夏の横顔は以前と変わらずとても美しかった。

そしてまたすぐに花火を見上げる。

目にいっぱい溜まった涙がこぼれ落ちそうになるのに気づいたから。

潤んだ目を隠すように

花火ばかり 見上げていたね

煌めいては 儚く散る

光とともに 涙は溶けた

SMAP「幸せの果てに」

ラストシーン

それから2週間後、美華は死んだ。

朝から降り続いていた雨が上がった午後だった。

初めて美華を自転車の後ろに乗せて街を駆け抜けたあの夕暮れと同じように、オレンジの粒がキラキラと街に輝いていた。

そして空には虹がかかっていた。

押し寄せる悲しい現実を拒むように、空はすごく綺麗だった・・・。

始まりも終わりもいつも雨だった。

きっとこの先、雨が降るたびに思い出すのだろう。

君の声、弾けるような笑顔、背中に感じた温もり、いつも突拍子もないことを言い出す天真爛漫すぎるところ、二人で見上げた星、暑すぎた夏の日の空の蒼、君と過ごしたその全てを。

今ひとり旅だった君に 何ができただろう

出典:SMAP「Song 2 〜the sequel to that〜」作詞作曲:市川喜康

儚い嘘で塗り替えたゆめをそっと消した午後

押し寄せる悲しい現実を拒むように

出典:SMAP「Song 2 〜the sequel to that〜」作詞作曲:市川喜康

SMAP「Song 2 〜the sequel to that〜」の歌詞はこちら

もし2年前に別れたままだったら、こんな悲しい思いをしなくてもすんだ。

もしあの別れのまま、君のことを大嫌いになれたなら。

だけど君と出会わない「もし」なんていらない。

どんなに険しい未来が待っていようと、僕は君と出会い恋をする。

すれ違ってもまた引き寄せられ、また恋をする。

僕は君が好きで、ずっとずっと君が好きで。

これから何度でもこの季節が巡ってくるたびに、君の声を思い出すだろう。

もう二度と聞くことのできない君の声を。

大キライなままでいたかった

いつか終わりが来ると知っていたのなら

出典:SMAP「ラストシーン」作詞:市川喜康、作曲:樋口了一

SMAP「ラストシーン」の歌詞はこちら

優介はいつまでも美華の握っていた。

その手にもう温度は残っていなかった。

一緒に生きた愛しい人のいないこの世界で、今日から僕は一人で歩いていく。

エピローグ

あれから20年の時が過ぎた。

優介は立派な医者になっていた。

医療は進み、今の医療技術と優介の腕があれば美華は助かっていただろう。

生まれてくるのがあと20年遅ければ・・・。

自分がもっと早く力をつけていれば・・・。

そんな時代や自分の無力さを恨んでも、もう美華は帰ってこない。

美華がいなくなった世界は、それでも着実に時を刻んでいる。

そして、優介も生きている。

あの頃よりももっと忙しさと重責に追われる毎日だが、もう逃げたいとは思わない。

それは美華がくれた強さだから。

繰り返すことの喜び 強さを知り

最期に僕は生き続けたいと望んでしまうだろうか

出典:SMAP「夏日夏歌」作詞作曲:市川喜康、編曲:小西貴雄




「パパ!今日は早く帰ってきてね!約束ね!」

愛美が妻に手を引かれて、振り返りながら歩き出す。

廊下まで出て見送りながら、愛美の背中を見つめる。

その時、耳に入ってきた愛美の鼻歌に電流が走ったように全身が弾かれた。

歌は時間をワープする。

”キズナ”だ・・!

それは、美華が最後に優介に残してくれた歌だった。

この歌は、みんなの前では歌っていない。

二人だけしか知りえない歌なのだ。

初めてこの曲を歌ってくれた後、

「私のいなくなった世界で、優介の記憶から私の記憶が消えてしまうのが怖い」

と美華は涙をこぼした。

「絶対に忘れるわけがない」

と優介は誓った。

美華が、自分に語りかけている・・・!

今でも私を忘れないで!私はここにいるよ!と。

優介「愛美っ!その歌、何っ!?どこで聞いた?誰に教えてもらった!?」

愛美はびっくりして、パチパチと瞬きをしながら答える。

「ここでお友達になったみふゆちゃんがいつも歌ってるお歌だよ。みふゆちゃんのお母さんが大好きな歌なんだって」

優介の妻は、よく娘の愛美を連れて病院に顔を出す。

忙しい父親と、少しでも触れ合わせてあげたいという母心だ。

そして、談話室で同じくらいの年頃のお友達ができた。

確かに優介も、愛美がその女の子と一緒に遊んでいるのを何度か見かけたことがあった。

この病院の入院患者の娘だそうだ。

優介は入院患者の氏名と科を聞いて、走り出していた。

優介「やっぱり・・・」

大学時代からの同期の友人に頼んでこっそりカルテを見せてもらうと、その患者は移植手術を受けていた過去があることがわかった。

20年前に。

そう、美華は死んだ後に臓器提供の意思表明をしていた。

それもまた、自分が生きた証を残したいと望む気持ちからの行動だったのだろう。

生きている・・!生きている・・・!

美華の魂が、今もどこかで生きている・・・!

しかも、こんなに近くにいたのだ・・・!

優介「この患者、何号室!?」

血走った目で問い詰める優介に、友人は残念というように両手を上げてみせた。

「今日、退院した」

そんなことってあるか・・・。

こんなにすぐそばにいたのに・・・。

「あ、虹だ!」

先に降りた子供の声に気づき、優介は続いてバスを降り空を見上げた。

いつの間にか、雨は止んでいた。

雨とバス停。

今でも条件反射で車道の向こう側のバス停を見てしまう。

すると赤い傘の女性が降りたところだった。

優介はハッとして目を凝らした。

女性が連れているのは、愛美と仲良くなった美冬ちゃんだ!

何度か見たことがあるから、間違いない。

ということは、あの女性が・・・・!!

気づいたら優介は走り出していた。

人をすり抜け、横断歩道を斜めに渡る。

優介「あの・・・っ!」

優介の声に、女性が振り向いた。

振り向いた女性の顔は、美華ではなかった。

当たり前だ、本人ではない。

でも、この人の中に美華が生きているのだ。

会えた。

やっと会えた。

もう二度と会えないはずの愛しい人に。

女性は優介を怪訝そうに見つめる。

優介「あ、すみません。うちの入院患者さんでしたよね?実はうちの娘がお嬢さんと仲良くさせていただいていて」

優介は、カバンの中から名札を取り出し見せた。

女性は、「あぁ!」というふうに安心した表情を見せた。

優介「娘が、お嬢さんに素敵な歌を教えてもらったと言って歌っていました」

優介は、さわりだけ歌ってみせた。

女性「あぁ、それ私がいつも歌っている歌です。すっかり娘も覚えてしまって。ずっと心の中にあって、自然と口ずさんでしまうんです。とってもいい歌なので、誰が歌っているか探してみたんですけど、タイトルもわからないし、歌詞をネットで検索しても出てこないんですよね。この歌ご存知なんですか?」

優介があまりにも正確に歌ったので、知っている曲だと思ったらしい。

優介は、高ぶった感情のままに、今までのいきさつを話そうかと口を開きかけた。

美冬「あ、パパー!」

女性にほうに息を切らしながら駆けてくる男性がいた。

「ごめん!仕事が長引いて迎えに行けなくて・・!」

「大丈夫よ、お母さんが美冬と一緒に来てくれたから」

男性がチラリと優介を見る。

女性「病院の先生なの。それで、娘さんが美冬と仲良くしてくれていたんですって。主人です」

男性と優介に、交互に紹介する。

男性「それはそれは、この度はお世話になりました」

男性が深々と頭を下げる。

優介「いえ、僕は違う科のものでして・・。では、これで失礼します。退院おめでとうございます。お元気で」

女性「あ、あの歌って・・・」

女性は本当にあの歌のことが知りたかったようで、もう一度聞いてきた。

優介「・・いえ、僕も知らないんです」

女性「そうですか、残念です・・」

女性はニコっと笑みを浮かべ会釈をして、そして優介に背を向けて歩き出した。

何を期待したんだろう・・。

あの人は、美華じゃない。

美華とは違う人生を生き、違う人を愛し、優介とは繋がりのない世界で生きている。

そして、優介にもまた家族がいるじゃないか。

そんな二人が、たまたま道の途中で交差しただけ。

だけど、その線は留まることなく、ただほんの一瞬交わって、すぐに全く違う方向へと伸びていく。

そして、どんどん離れて、もう二度と交わることはないのだろう。

優介は、しばらく虹のかかった空を見つめていた。

そして、我に返って手に持っているケーキの箱を見る。

今日は、娘の愛美の誕生日だ。

早く帰らなければ。

優介は、足早に歩き出した。

もうバス停を振り返ることはなく・・・。

新たな日に 踏み出す僕は

あの夏と何ら変わりはないのさ

追いかけたり 追われてたり・・

けれど守るべき人が 今日も帰りを待ってる

出典:SMAP「夏日夏歌」作詞作曲:市川喜康、編曲:小西貴雄

最初に君に出会ってから、僕たちの幸せな時間は6ヶ月で突然終わりを告げた。

そして、また二人の時間は動き出したが、皮肉にもまたしても二人が一緒にいられた時間は6ヶ月だった。

だけど、僕はこの6ヶ月間のことを決して忘れはしないだろう。

新たに愛する人ができたとしても。

あんなにも切なく、優しく、輝いた日々を。

いつも僕を振り回してばかりで、勝気に見えて本当は脆くて、だけど誰よりも強い気持ちで最後まで夢を追って生きた、僕の超絶愛しい年上の彼女のことを。

ただ愛し合う気持ちだけじゃ どうにもならないことも知ったよ

でも 君との思い出は消えないさ

また恋をしても・・・

出典:SMAP「君と僕の6ヶ月」作詞:三井拓、作曲:

馬飼野康二




「幸せになってね・・・優介」

振り向いた女性は小さく呟き、そしてまた美冬の手を取り歩き出した。

この小説のもとになったSMAPの曲

どんないいこと

SMAPの昔の名曲「どんないいこと」を語る!「雨」と「バス」でオレンジ3部作に繋がる世界観

シングル

SMAP008TACOMAX

Smap Vest

ウラスマには英語バージョンが収録。

幸せの果てに

SMAP015Drink!SMAP!

ラストシーン

SMAP014 S map

Song 2 〜the sequel to that〜

SMAP016 MIJ

SMAP 25YEARS

よわいとこ

21枚目アルバム「Mr.S」のDISC2に収録されている木村拓哉、稲垣吾郎のユニット曲。

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